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先週、国内主要電機各社の2011年度(平成23年度)第1四半期(2011年4~6月)と通期(2011年4月~2012年3月)予想が出揃いましたので整理しておきます。
東日本大震災や為替変動の影響の中、総合電機企業が先行して収益力を回復しているようです。
第1四半期(2011年4~6月)の業績をみると、以下の状況です。
- ・テレビ事業が苦戦している家電中心のソニー、パナソニック、シャープが最終赤字
- ・国内IT投資抑制が続くITサービス事業主力の富士通、NECも赤字
- ・総合電機の日立製作所、三菱電機、東芝が黒字を確保
日立製作所と三菱電機は、上期(2011年4~9月期)及び通期の業績見通しを上方修正しています。
その要因は、東日本大震災の影響から自動車関連事業が持ち直しているほか、新興国を中心に社会インフラ事業が好調であることによるのもです。
NEC
ITサービスは2%減であったが、スマートフォン普及に伴う関連事業が堅調
通信事業者の設備投資でキャリアネットワーク事業の売上高拡大
キャリアネットワークとパーソナルソリューション事業の黒字転換で赤字幅改善
持分法投資損益の改善などで当期純利益の赤字幅改善
富士通
官公庁向け中心に国内のシステム構築が不振
- ・国内企業のIT投資が震災影響などで、システム開発などの「サービス」事業が苦戦
- ・ハードウエアやミドルウエアなどの「システムプラットフォーム」事業は堅調
東日本大震災震による自動車生産が落ち込みで、カーナビが大幅減収
円高の影響により、電子部品が減収
日立製作所
電力システム部門で、原子力発電システムの売り上げが減少するなどし損益が悪化
ハードディスクドライブの価格下落も利益を圧迫
東日本大震災による自動車生産の落ち込みで、自動車関連部品や素材の出荷減少
部品不足で半導体製品や光ディスクドライブなどの販売も低迷
一方、新興国向けに建設機器や産業機械が堅調
東芝
東日本大震災の影響などで営業利益が大幅に減ったが、持ち分法投資損益や金融収支などの営業外損益が改善
デジタル家電、電子デバイス、社会インフラの主要部門が減収であったが、家庭電器事業はエアコンなど省エネ家電が好調で営業損益が黒字に転換
半導体フラッシュメモリーが円高の影響で、電子デバイス部門の営業利益減
ソニー
東日本大震災の影響などで一部の製品で生産が低下
米欧を中心に液晶テレビの価格が下落し苦戦、パソコンの販売も低迷
エレトロニクス事業環境の悪化により、コンスーマープロダクトとプロフェッショナルデバイス事業が大幅減収減益
パナソニック
東日本大震災の影響で、薄型テレビや携帯電話、カーナビシステムなどの販売低迷
テレビやカーナビなどのデジタルAVCの営業損益大幅悪化に加え、競争激化による価格下落や原材料価格の高騰により減益
エアコンや洗濯機など白物家電、建築関連の販売は堅調
三菱電機
中国や韓国などの設備投資需要を背景にファクトリーオートメーションが堅調
東日本大震災で自動車生産が落ち込み、自動車機器も低迷
パワー半導体も堅調、家電事業はエアコンや液晶テレビの販売増で増収増益
シャープ
東日本大震災による関連資材の不足などで、大型液晶パネル工場の操業停止、液晶事業の構造改革費用で特別損失で赤字転落
液晶テレビはアナログ停波前の駆け込み需要で販売台数は伸びたものの、販売価格下落で苦戦
液晶事業はスマートフォンや車載向けの中小型パネルが拡大したものの、大型液晶パネル工場の操業停止により減収
2011年度 第1四半期 連結決算発表
電機とITの決算 ≫ 国内電機8社の決算 2011年度 第1四半期と通期予想
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