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中堅・中小企業の「事業シフト」戦略
生き残っていく企業の戦略構築のポイント
伊藤 昌直(著)
出版社:ダイヤモンド社
4つのステージに分けて自社事業をシフトする「攻め」の戦略!
既存技術・既存マーケットのままで
未来永劫、存続し得る企業は存在しない!
本著は、㈱タナベ経営のトップコンサルタントの一人である著者が、「永続発展する価値ある企業づくり」のために、事業シフト戦略を4つのステージに分け、事例に解説を加えながら戦略展開法を示し、経営理念と経営戦略、中期経営計画書作成のポイントについて整理した一冊です。
自社事業の1T4Mを見極めよ!
事業戦略に必要な、1T1M(テクノロジー・マーケット)を「攻めの戦略」、
3M(マネジメント・マネー・マン)を「守りの戦略」として、
それぞれの着眼点を解説し、最終的なまとめとなる中期経営計画書のフレームワークを紹介しています。
本著に出てくる理論は目新しいものはなく、出てくる事例も概要のみでしたが、事業戦略の検討ポイント、中期経営計画に関する作成プロセスや資料フォーマットを再確認する際の参考となります。
1T4Mは企業経営に必要な5つの要素
T:テクノロジー(固有技術)
M:マーケット(市場)、マネジメント(経営管理)、マネー(収益構造)、マン(組織・人材)
既存事業の現状分析と戦略・中期ビジョン構築の進め方
現状分析:マーケットの魅力度、事業成功のカギ、自社の競争力、ポジショニング
↓
事業戦略構築(攻め):4つのステージ別事業戦略の構築
↓
存在価値分析:経営理念の整備
↓
経営戦略構築(守り):財務戦略、経営管理戦略、人材組織戦略の構築
↓
中期ビジョン構築:中期経営計画書としてまとめ
4つのステージ
マーケット(市場および顧客)
[既存] [新規]
技 [既存] ①既存事業シフトステージ ②マーケットシフトステージ
術 →競争力の高い既存市場へ →成長市場へ
・
商 [新規] ③商品・サービスシフト ④新規事業シフトステージ
品 ステージ →他にない新たな事業へ
→付加価値の高い商品へ
その他、参考となった記述
損益分岐点操業度を70%以下にするポイント
ニッチマーケット参入のための営業戦略構築のポイント
組織営業の進め方
新規事業参入のための着眼
経営分析の進め方
組織の発展段階に応じた発展モデル
事業別競争優位戦略表~全社戦略展開図
本著では、事業戦略検討から中期経営計画書作成に至るまでのポイントやプロセスが一通り整理されていていますが、実務者にとっては物足りない内容かもしれません。
また事例研究として、中堅・中小企業の事例が紹介されてはいますが、一般的な内容となっているのが残念です。
公開できる部分は限られているのかもしれませんが、コンサルティング事例やその中でのポイントなど、経験からくる考察が記述されていればよかったと思います。
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