書籍 大前研一と考える 営業学

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20110801

大前研一と考える 営業学
営業こそプロフェッショナルを目指せ

ビジネス・ブレークスルー大学大学院 ビジネススクール教授陣、大前 研一 (著)
出版社:ダイヤモンド社

大前研一と考える 営業学

営業マンよ、「業者」から「パートナー」に進化せよ!
顧客に最も近い代理人となれ

営業のプロフェッショナルは、顧客主義を徹底し、組織の利己主義を抑え込み、
期待を上回るレベルで問題解決を提案し続ける。

プロフェッショナルとアマチュアを分けるものは、「顧客主義」であり、
これは高い専門性や倫理観などの一般的な要件にもまして重要であり、
これらすべてを持ち合わせている。

本著は、大前研一氏をはじめ、ビジネス・ブレークスルー大学教授の方々が、営業のプロフェッショナル化に必要とされる実践的な知識やスキルについて解説した一冊です。

管理職前の若手の方にとっては、営業力の基本や強化すべき全般的な知識を学ぶのに大変役に立ちます。

また、営業やメーケティングの中堅またはリーダーの方にとっては少し物足りないかもしれませんが、自身の日頃の活動を振り返る際に参考になります。

営業のプロフェッショナル化に取り組めば、以下の可能性も開ける。

これらの結果、必然的に企業の「戦略的自由度」が格段にアップする。

  • ・本当に顧客が求めているのは何かを厳しく問う顧客主義が、組織に定着する。
  • ・製品の販売ではなく、サービスと組み合わせたソリューション営業が主流となる。
  • ・体系的な知識の重要性が認識され、継続的な学習が進む。
  • ・個人間、チーム間で、知識や価値観の共有が促される。
  • ・一匹狼的な個人営業ではなく、チーム営業にシフトする。
  • ・顧客への価値のみならず、営業部門の組織能力と営業担当の個人能力の両方を高める、新しい業績評価指標が開発される。
  • ・組織内の不公平感が薄まり、納得性の高い人事制度や報酬体系が整う。

戦略的自由度

実行可能な経営戦略の選択肢の幅が広がる。

その結果、変化への対応力が高まり、おのずと競争力も上昇する。

営業のプロフェッショナル化において身に着けるべき基本スキル

マーケティングリテラシー:マーケティングに関する体系的な知識

ロジカルコミュニケーション:論理的に考え、伝達する力

新規需要の創造

営業に期待される新たな、そして重要な役割、それは「新規需要の創造」
営業だからこそ、顧客の意向を吸い上げて、新規の需要を創造できる。

問題解決型営業の三段階

[出所:フォアサイト・アンド・カンパニー]

第一段階:既存の製品やサービスを効果的に販売することに注力する。

第二段階:次は何を売ればよいかを考え、それを提案する。

第三段階:新規需要の創造に向けて、明快なコンセプトを開発する。

企業が生き残り、さらに発展していけるかどうかは、

営業担当一人ひとりの考える力をどれくらい伸ばせられるか

そして、常に時代に即した営業体制の構築を「学び続ける組織」にできるか


 

マーケティングは共通言語

顧客にも、社内の他部門にもわかる共通言語

「顧客の立場になって考える」基本ルールを共有

企業は、製品やサービスを通じて、あなたを100%満足させますという『誓約』を販売しており、また顧客はこの『誓約』を購入している。[セオドア・レビット]

マーケティングと営業の関係

[出所:プラネットプラン]

環境分析 → ターゲット選定 → マーケティングミックス → アクションプラン → 実行

←-------------------→
       マーケティング戦略
               ←-----------------→
                             営業戦略

営業の仕事 = 新規顧客獲得 + 既存顧客のロイヤリテ向上

営業活動の収益性向上、営業利益額向上に貢献

顧客ロイヤリティが長期的に高い収益をもたらす好循環

[参考:F・ライクヘルド『ハーバードビジネスレビュー』1993年3-4月号]

 顧客ロイヤリティ向上 → 顧客獲得・維持コスト減少 → 利益率向上 → 報酬増加
     ↑                             ↓
 顧客サービス向上 ← 従業員の経験・ナレッジ蓄積 ← モラール向上と勤続年数伸長

◇4Pと4C、STP

[4P:ジェローム・マッカーシー『ベーシックマーケティング』,1960年]
 [STP:フリップ・コトラー]

製品:Product ⇒ 顧客が享受する価値:Customer value

価格:Price ⇒ 顧客が負担するコスト:Customer cost

流通:Place ⇒ 利便性:Convenience

販促:Promotion ⇒ コミュニケーション:Communication

サービスビジネスの場合には、以下を追加

  • ・物的証拠:Physical Evidence(サービスの質の手がかりとなる有形なもの)
  • ・人材:People(サービスに関係する人全般)
  • ・プロセス:Process(仕事のやり方、進め方)

S:セグメンテーション(Segmentation)

T:ターゲティング(Targeting)

P:ポジショニング(Positioning)

顧客の代替不可能なパートナーになる

顧客と同じ視点を持ち、顧客の課題を発見し、顧客の利益を最優先する。

顧客自身でも、他の人でも生み出せない価値を提供する。

コンピテンシーレベル

自分の持っている能力・資質を効果的に活用することで、成果につなげる力のレベル
   ↓
コンピテンシーを安定的に発揮する

  • ・解がない状況:形式的操作、抽象化
  • ・ダイバーシティ状況:マインドセット、シナジー創出力
  • ・ストレスフルな状況:コーピング、エンゲージメント

レベル1:誰かから指示されたことを、その通りに確実に実行する。

レベル2:ある状況において、やるべき当然のことを自主的に実行する。

レベル3:状況を的確に判断することで、その状況の中でできうるアプローチの中から最適なものを選び出し、実行する。

レベル4:閉塞状況、困難な状況でもあきらめず、打破する方法を独自の工夫で考え出し、実行する。

レベル5:パラダイム転換し、すべての成果がそこに集まるような独自で新しい状況をつくる。

レベル1~3:状況従属行動、レベル4:状況容認行動、レベル5:状況創造行動

プロデューサー型営業

商品そのものを売るだけでなく、その活用方法と活用による成果まで広げた営業

→ 受け身で待っているだけでなく、自分で仕事をプロデュースしようとする姿勢、
   「自分が顧客であれば、この製品・商品をどう使うか」を考える。

真の顧客パートナーに必要なパワー = 正当パワー

他者に影響を与える他パワー:準拠パワー、権威パワー、強制パワー、報酬パワー

営業チーム力の向上は、

組織としての結果を導く過程についての集団知をいかに蓄積し活用できるか

その構成員である個人がいかに成長できるか

組織の三要件

[展開:チェスター・バーナード『行動科学的組織論』]

目的を共有すること

目的を実現しようとする協同意欲を持つこと

協同のためのコミュニケーションがあること

営業チームのリーダー

チーム活動を通じて人が育ち、

その結果として全体のチーム力が向上し、

長期的に業績が上がる。

という、よいサイクルを定着させるプログラムを工夫する。

チーム型リーダー

= 業績への関心が高い + 人への関心、人間関係への関心が人一倍高い

マネジアル・グリット理論によるリーダーの類型

[提唱:テキサス大学 ロバート・ブレーク、ジェーン・ムートン,1960年]

(人間に対する関心・業績に対する関心)

1・1型:無関心型、放任型

1・9型:カントリークラブ型

5・5型:バランス型

9・1型:鬼隊長型

9・9型:チーム型

目次と各章のポイント

第1章 営業のプロフェッショナル化(大前研一氏)
    営業プロフェッショナルのコンセプトと必要なスキル

第2章 問題解決型営業のすすめ(斎藤顕一教授)
    問題解決型営業の考え方とその方法論

第3章 営業のマーケティング・マインド(須藤実和教授)
    マーケティング・マインドのみがき方、ブランドの番人という新たな価値

第4章 営業のセルフ・マネジメント力(川上真史教授)
    セルフ・マネジメントの基礎、パートナーとなるための思考や行動スタイル

第5章 営業チーム力の向上(後正武教授)
    営業力向上のための組織運営とリーダーの役割

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