書籍 AIエージェント革命 「知能」を雇う時代へ | シグマクシス(著)

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AIエージェント革命 「知能」を雇う時代へ

シグマクシス(著)
出版社:日経BP (2025/6/14)
Amazon.co.jp:AIエージェント革命

  • 話題沸騰の自律型AI「AIエージェント」
    技術からビジネス導入まで、この1冊ですべてわかる!!

    実績豊富なITコンサルが、いま知りたい疑問に答える

    豊富な図で、「AIエージェント革命」の衝撃とビジネス導入のノウハウを解説

本書は、AIをはじめとする先端技術を活用する新規事業や業務改革を推進するコンサルタントの著者らが、AIエージェントという複雑で広範なテーマについて、ビジネスとテクノロジーの両面から全体像を体系的に整理した一冊です。

企業の経営層や企画部門、現場リーダーの方々は、AIエージェントがもたらすビジネス上の本質的な変化を捉え、未来に向けた戦略を描くことができます。

また、企業のIT部門やエンジニア、AI技術の導入・開発に携わる方々は、AIエージェントに関する知識を体系的に深め、実践的な導入ノウハウを得ることができます。

本書は5章で構成しており、現在起こりつつあるビジネスインパクトと、その技術背景を整理し、自社への実践的導入への道筋を示したうえで、この革命が社会や働き方をどのように変えていくかを長期的な視座で提言しています。

  • ・第1章では、AIエージェントの特徴づけやビジネスへの影響を整理したうえで、実際の企業における導入事例や経営インパクトを考察しています。
  • ・第2章では、多くのユーザーが日頃行っている活動への影響が大きいと考えられる事例に加え、企業活動における注目すべき事例を紹介したうえで、今後の発展の可能性を探っています。
  • ・第3章では、AIエージェントを支える技術的な背景と構成を整理し、米ハギングフェイスのDeep Reseachを取り上げてマルチエージェントシステムがなぜ有効に機能するかを紹介しています。
  • ・第4章では、AIエージェントを企業に導入するうえで押さえておきべきプロセス、運用に向けて参考にすべき事項、主要なプラットフォームと選び方、導入と評価・運用について、著者らの導入経験を交えて具体的に解説しています。
  • ・第5章では、急速に進化するAI技術が未来のビジネスにどのような影響を及ぼすのかについて、特にビジネスの在り方がどのように変化するのかを中心に、起こりうる5年後の未来についてハードとソフトの両面から考察しています。

生成AIの登場は、「AIが創造性を持ちうる」ことを示し、世界に衝撃を与えた。

しかし、その多くはまだ、人間が詳細な指示(プロンプト)を与え、AIが応答するという、人間主導のインタラクションが中心であった。

AIエージェントは、この関係性を根底から覆す。

人間が設定するのは、最終的な「目標」である。

その目標達成に向けた具体的なステップの計画、実行、そして軌道修正は、AIエージェント自身が自律的に行う。

例えば、「競合他社の最新情報を調査し、分析レポートを作成して、関係者にメール送付する」といった一連の業務を、AIエージェントが人間のように(あるいはそれ以上に効率的に)実行する。

これは、単なる「自動化」や「効率化」という言葉では捉えきれない、「知的な労働」そのものの在り方を変える可能性を秘めているのだ。

だからこそ、私たちはこれを「革命」と呼ぶのだ。

AIエージェント革命

AIエージェント革命

『AIエージェント革命』を参考にしてATY-Japanで作成

AIエージェントの特徴づけ
Google(2024年9月)

もっとも基本的な形では、生成AIエージェントとは、利用可能なツールを使って世界を観察し、世界のなかで行動することで、ゴールを達成しようとするアプリケーションであると定義できる。

とりわけ、達成しようとするゴールや目標がきちんと与えられれば、エージェントは人間の介入とは独立して、自律的に行動することができる。

Amazon Web Services

AIエージェントは、環境と対話し、データを収集し、そのデータを使用して自己決定タスクを実行して、事前に決められた目標を達成するためのソフトウェアプログラムである。

Microsoft

エージェントとは言語モデルの上に重ねられたレイヤーのようなもので、情報を観察し収集して言語モデルに入力し、言語モデルと一緒に行動計画を生成してユーザーとコミュニケーションする。

また、許可されていれば、エージェントは独自に行動することもできる。

Open AIの発展段階のレベル分け(2024年7月11日 ブルームバーグ報道)

レベル1.チャットボット:言葉で会話できるAI

レベル2.推論者:人間レベルの問題解決能力

レベル3.エージェント:行動できるシステム

レベル4.発明者:発明を支援できるAI

レベル5.組織:組織全体の仕事を行えるAI

Open AIが開発する大規模言語モデルGPT-4oのような技術はレベル1で、o1のような推論モデルによってレベル2に達する。

AIエージェントはレベル3に位置付けられるが、それを定義する明確な基準はなく、AIエージェントかどうかは程度の問題である。

エージェントらしさとは、4つの観点から評価される。

  • ・エージェントに与えられる目標の複雑さ
  • ・エージェントが活動する環境の複雑さ
  • ・エージェントの適応性
  • ・人間の介入を必要としない実行の自律性
主な開発プラットフォーム

フレームワーク型:プログラミングによる開発

ノーコード型:GUI操作による開発

RPA型:プロンプトによる開発

AIエージェントは個人の能力を拡張します。

やりたいことは簡単に何でもできるようになるし、やりたくないことを任せることもできます。

何でもエージェントに任せていくと人間に何が残るのでしょうか?

AIはデータを元に考えるため、意志を持つのは難しいといわれています。

「何かがしたい」「何かが好き」そんな単純な意志をベースにAIエージェントと協調しながら、既存の様々な組織・ルール・サービスの価値を再構築していく、過去の価値・自身の考え方に疑問を投じ新たな価値を創り上げていくことが、今後も変わらない価値となるのではないでしょうか。

まとめ(私見)

本書は、AIエージェントという複雑で広範なテーマについて、ビジネスとテクノロジーの両面から全体像を体系的に整理した一冊です。

  • ・企業の経営層や企画部門、現場リーダーの方々は、AIエージェントがもたらすビジネス上の本質的な変化を捉え、未来に向けた戦略を描くことができます。
  • ・また、企業のIT部門やエンジニア、AI技術の導入・開発に携わる方々は、AIエージェントに関する知識を体系的に深め、実践的な導入ノウハウを得ることができます。

特に、著者らの豊富な導入経験を交えて、AIエージェントを企業に導入するうえで押さえておきべきプロセスや運用に向けて参考にすべき事項を具体的に解説していますので、AIエージェントの最新動向だけでなく、導入に向けた実践的な知識を得ることができます。

著者らは、AIエージェントの価値は以下の3点に集約できるとして、ビジネスへの導入に当たっては、AIエージェントによる解決が向いている業務と向いていない業務を理解して、その提供価値を最大限発揮できるような業務を選定することが必要であると主張しています。

  • ・AIエージェントは大規模言語モデルに基づいているため、従来の情報システムとは異なり、文章、音声、画像の認識や生成が可能であり、あたかも人間に依頼するようなインターフェースを提供する。
  • ・また、単純な入出力ではなく、入力された要求に沿って必要なタスクを計画し、臨機応変に実行する。
  • ・そして、AIエージェントの実態はソフトウェアであるため、多数複製でき、同時に並行処理させることも、長時間稼働させることもできる。

今や企業においても生成AIを活用し始め、その活用範囲は拡大しています。

そして、生成AIおよびAIエージェントの技術進化は目覚ましく、企業への導入に必要な周辺技術も整備され、単に指示されたタスクを実行するだけのプログラムの域を越えて進化しています。

特にAIエージェントは、与えられた目標に基づいて自ら計画を立案し、必要な情報を収集・分析し、外部ツールや他システムと連携しながら自律的にタスクを遂行する「主体」となります。

生成AIをビジネスで活用していくうえでは、単独のツールとしての社内業務の置き換えや効率化だけでなく、企業価値の創造につながるような取り組みができるようになってきています。

具体的には、議事録や報告書などの作成といった既存業務の効率化だけでなく、業務プロセスの改革、さらには顧客対応業務の効率化や接点強化、新たな製品やサービスの創出とパーソナライズ化などへの拡大です。

そのためには、生成AIやAIエージェントを戦略的に活用することを想定した戦略を立案し、推進組織体制とガバナンス態勢を確立することが必要です。

そして、変革に向けた企業文化の醸成に加え、生成AIを適切に活用することへのメンバーのマインドセット転換とスキル開発も必要です。

なお、スキルは後から強化することができますが、文化的なミスマッチは克服が難しいので、それらを解決するためにもトップのリーダーシップが重要です。

本書でも紹介している通り、Open AIのAI発展段階(2024年7月11日 米ブルームバーグ報道)によると、AIエージェントは5段階中のレベル3であり、2035年にはAIが人間の能力を越えて、AIが組織運営を担うようになると予測しています。

生成AIに関連するハート・ソフトの両面の進化によって、よりパーソナライズされたリアルタイムの意思決定を支援し、競争力を高めるられるようになります。

生成AIはデータ処理や分析を得意としていますが、その中で人間は、創造性や人間関係の構築といった、人間ならではの強みを活かすことが重要です。

これからも生成AIをどのように取り入れるか、そしてどのように活用するのかが、企業の成長を左右するといっても過言ではないと思います。

トップのリーダーシップに基づいて、生成AIを戦略的に活用することを想定した戦略を立案し実行していくことが必要となります。

そして自分自身は、今後のビジネス環境の中で、「自分は何をすべきなのか」「どのように貢献するのか」を考え、対応し続けていかなければなりません。

本書は、AIエージェントという複雑で広範なテーマについて、ビジネスとテクノロジーの両面から全体像を体系的に整理し、企業に導入するうえで押さえておきべきプロセスや運用に向けて参考にすべき事項を解説していますので、未来へのアクションにつなげるための羅針盤となる一冊です。

目次

はじめに ようこそ、「知能」を雇う時代へ

第1章 AIエージェントがビジネスに与える影響

AIエージェントとは何か
・米IT大手による特徴づけ
・AIエージェントの特徴づけ5点
・オープンAIはAIの発展段階でレベル分け

世界的なレポートにみる生成AIのビジネスインパクト
・生成AI市場は年平均48%で急成長
・生成AIが影響を与える産業
・生成AIが影響を与える領域
・生成AIが影響を与えるタスク

実企業における経営インパクト
・国内メガバンクの全従業員数及び部門別内訳

第2章 AIエージェント活用サービス事例

一般ユーザー向け活用サービス
・PC操作の自動化(Computer Use / Operator)
・調査の自動化(Deep Research)
・申請の自動化(DoNotPay / 補助金Express)

企業向けサービス事例
・データ分析の自動化(Data Science Agent)
・顧客対応の自動化(Pactum / 自動交渉AI / Rexera)
・研究活動の支援/実行(The AI Scientist / AI co-scientist)

第3章 AIエージェントの技術基盤

AIエージェントの背景となる技術
・深層学習の発明と言語モデルへの応用
・スケーリング則で言語モデルの
・大規模化が加速
・大規模言語モデルの能力や適用範囲が拡張
・推論能力の強化

AIエージェントの技術的構成
・AIエージェントを構築する共通アーキテクチャー4要素
・マルチエージェントシステムの動作例
・マルチエージェントシステム構築のステップ
・AIエージェントを構成する要素技術

米ハギングフェイスのDeep Researchの動作例
・オープンソースDeep Researchとは
・オープンソースDeep Researchの構造
・マルチエージェントシステムによる性能向上の今後

コラム 「AIエージェント」の歴史と2つのタイプ
・タスクをこなすエージェントの原点
・シミュレーションで動くもう一つのエージェント
・重なり合う2つのAIエージェント

第4章 AIエージェントの導入と運用

AIエージェントの導入準備
・AIエージェントが「向いている」業務
・AIエージェントが「向いていない」業務
・候補とする業務の収集と目的の設定

主要な開発プラットフォームと選び方
・フレームワーク型「LangGraph」
・フレームワーク型「AutoGen」
・フレームワーク型「Agents SDK」
・ノーコード型「Dify」
・RPA型「Operator」

LangGraphを用いたAIエージェントの導入
・アプリケーションの目的と入出力の定義
・タスクの分割と処理フローの設計
・LangGraphによる設計
・RAG用データの整備
・大規模言語モデルの選択
・外部ソースの要否
・稼働環境の設計

AIエージェントの評価と運用

第5章 AIエージェントが拓く未来

未来予測

エキスパートインタビュー「欲しい、好きという気持ちが最大の価値になっていく」
・清水 亮 氏 ギリア ファウンダー・顧問 Free AI 共同創業者

「魚や蜂のエージェントが実装される世界」
・爪長 美菜子 氏 NTT 執行役員 研究開発マーケティング本部 アライアンス部門長

おわりに AIとの協調と価値の再構築

参考

AIエージェント革命 「知能」を雇う時代へ | 日経BOOKプラス

はじめに:『AIエージェント革命 「知能」を雇う時代へ』 | 日経BOOKプラス

シグマクシスによる書籍『AIエージェント革命』が本日発売 | 株式会社シグマクシス

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