Ⅲ.研究手法論から得られる、経営分析の実践への教訓

Ⅲ.研究手法論から得られる、経営分析の実践への教訓

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Ⅲ.研究手法論から得られる、経営分析の実践への教訓

「見せかけの経営効果」にだまされないために

  • ・経営方針と業績の関係は、別の第三の要因が出発点になっていて、見かけ上、経営効果があるように見えるだけかもしれない。
  • ・戦略と業績データを見せられ、その戦略に経営効果があるという主張を聞かされたときには、「内生性」や「モデレーティング効果」を考慮しているかを念頭におく。
  • ・安易に結果を受け入れるのではなく、自分自身で因果関係を確認する
ベンチマークでは、
  • ・対象企業の戦略と業績とを安易に結びつける前に、なぜその企業がその戦略を選んだのか背景を徹底的に分析し、別の要因が業績に影響を与えていないか疑ってみる。
  • ・その経営効果は、どのような条件でも常に成立するかを疑ってみる。
    業界トップの企業だけを調査するのではなく、業績が好調でない企業も対象に加える。
1.過去に発表された研究成果を否定

マイルズ・シェイバー教授(1998年)

(1)「経営戦略が業績に与える効果」を回帰分析した過去の研究の多くは間違っている可能性がある。

(2)「独自資本の方が買収よりも、その後の海外子会社の業績にプラスの影響を与える」という因果関係ではなく、重要な出発点は「企業の優れた技術力」であるという「内生性の問題」をはらんでいると提唱。

(3)内生性の問題(Endogeneity problem)
回帰分析の説明変数と誤差項に相関があり、回帰分析の有効性に重要な一致性の条件を満たさないこと。

2.複雑な因果関係を組み入れた経営効果を分析

ダグラス・ミラー教授(2006年)

(1)「事業の多角化は、企業価値にプラス効果がある」ではなく、「多角化が企業価値に与える経営効果そのものが、知的財産という別の要因に影響されている」ことを研究。

(2)モデレーティング効果
ある変数から別の変数への効果の強さが、さらに別の変数によって左右される。
経営戦略の効果は、ある条件を企業が満たしたときにだけ成立することが少なくない。

参考

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