Ⅱ.「組織の記憶力」と「トランザクティブ・メモリー」

Ⅱ.「組織の記憶力」と「トランザクティブ・メモリー」

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Ⅱ.「組織の記憶力」と「トランザクティブ・メモリー」

組織の記憶力を高めるためには、どうすればよいのか

  • 組織も過去の経験から学習するが、学習のスピードには組織や産業で違いがある。
    組織も人と同様に、経験を蓄積するほど作業効率や生産性が高まる。
  • ・組織の記憶力を飛躍的に伸ばすためには、組織のメンバーの「誰が何を知っているか」を知っておくという「トランザクティブ・メモリー」を活用することが重要である。
  • 「他の人が何を知っているか」を自然に日頃から意識できる組織作りを目指す。
1.ラーニング・カーブ(学習効果曲線)

(1)経験を蓄積するほど、その作業効率や生産性が高まる右上がりの関係のことをいう。

組織学習
「組織が新たな知を獲得し、記憶させ、組織内外に移転させ、複数の知識を組み合わせ、新しい知識を創造する」という一連のプロセス。

(2)レイ・リーガンズ教授ら(2003年)

病院で過去行われた手術データの分析から、個人、チーム、病院組織という複数のレベルで組織学習が発生していることを研究。

(3)マービン・リバーマン教授とナタラジャン・バラスブラマニアン教授(2010年)

アメリカの全ての産業で企業の「ラーニング・カーブ」が存在し、学習効果の高い企業は利益率も高くなる傾向があるが、産業ごとに学習効果の差は違う。

2.トランザクティブ・メモリー

(1)ダニエル・ウェグナー教授がコンセプト化(1987年)

  • ①組織の記憶力に重要なことは、組織全体が何を覚えているかではなく、組織のメンバーの「誰が何を知っているか」を知っておくことである。
    「What」ではなく「Who knows what」である。
  • ②組織の記憶力を飛躍的に伸ばすためには、「トランザクティブ・メモリー」を活用することが重要である。
  • ③人は交流を深めれば「トランザクション・メモリー」を形成するが、強制的にゆがめれば組織全体の記憶効率が低下する可能性がある。

(2)ジョン・オースティン教授(2003年)

  • ①「トランザクティブ・メモリー」は、グループのパフォーマンスにプラスの影響をもたらし、その中でも「専門性」と「正確性」が重要である。
  • ②「トランザクティブ・メモリー」が効果的に働くためには、組織のメンバーそれぞれが専門性を高めていること、そして相手が「何を知っているか」を正しく把握していることが重要である。

参考

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