Ⅰ.マイケル・ポーター教授の競争戦略後の「攻め」の競争行動

Ⅰ.マイケル・ポーター教授の競争戦略後の「攻め」の競争行動

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Ⅰ.マイケル・ポーター教授の戦略だけでは、通用しない

競争戦略の最先端で語られる「攻め」の競争行動

  • 競争戦略論
    「持続的な競争優位(Sustained Competitive Advantage)」を獲得すること。
  • ・しかしマイケル・ポーター教授のいう「持続的な競争優位」は、ハイパー・コンペティションを含む様々な競争環境下では、実現できなくなっている。
  • ・現在の優れた企業は、長い間安定して競争優位を保っているのではなく、一時的な優位(Temporary Advantage)をくさりのようにつないで、結果として長期的に高い業績を得ているように見えている。
  • 「守りの戦略」と「攻めの競争行動」は、相矛盾するものではなく両立する可能性がある。
1.競争戦略(SCPパラダイム)

マイケル・ポーター教授(1980年代)

(1)SCPパラダイム:Structure(構造)、Conduct(遂行)、Performance(業績)
企業は優れたポジショニングをとることで、持続的な競争優位を獲得できる。

(2)ポジショニング

  • ①事業を行う上で適切な産業を選ぶ。
  • ②自社がいる産業の中で、できる限りユニークなポジショニングをとる。

(3)ライバルとの競争を避けるための戦略「競争しない戦略」は、「守りの戦略」である。

2.ハイパー・コンペティション

リチャード・ダヴェニ教授(1994年)

(1)企業間競争が激化することで競争優位の持続性が難しくなってくる状況。

(2)その状況下では

  • ①企業間競争を持続できる期間は短くなってきている。
  • ②一度競争優位を失ってもまた取り戻すことが重要である。
  • ③理論的には、より積極的な競争行動をとる企業の方が高い業績を実現できる。
3.現在の優れた企業は、一時的な競争優位をくさりのようにつないでいる。

ロバート・ウィンギス教授とティモシー・ルエフリ教授(2000年初頭)

(1)アメリカでは「持続的な競争優位」を実現する企業は存在するが、その数は2~5%にすぎない。

(2)持続的な競争優位を実現する企業は少なく、近年になるほど競争優位を実現できる期間は短くなっている。

(3)現在の優れた企業は、一時的な競争優位をくさりのようにつないで、結果として長期的に高い業績を得ているように見えている。

4.コンペティティブ・ダイナミクス研究

ウォルスター・フェリアー教授(2001年)、ケン・スミス教授とカーティス・グリム教授(2008年)、ミン・ジャー・チェン教授ら(2010年)

(1)企業が積極的に競争行動することは、企業の業績向上につながる。
競争行動(Competitive Action)
ライバルや消費者の目に見えるような自社製品及びサービスに関する「動き」のこと。

(2)さらに企業が積極的に競争行動を仕掛けた場合、それがライバルの反撃的な競争行動を誘発する。

(3)複数市場競争(Multi-Market Competition)
ビジネスでは、同じ業界内の企業同士でも、主要な顧客のいるセグメントがライバル企業と重複していることもあれば、ライバル企業との重複が少ないこともある。

(4)市場セグメントの重複度が高い企業同士は、互いに積極的な競争行動がとりにくくなる。

参考

マイケル・ポーター教授の主な書籍をご紹介した記事(当サイト)

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