NECと富士通の2018年度(2019年3月期)第1四半期決算、営業損益はNECが赤字に対し富士通は大幅増

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国内電機8社の2018年度(2019年3月期)第1四半期決算と通期予想が出そろいましたので、概況を整理します。

以下では、ICT領域中心のNECと富士通の第1四半期(2018年4月1日~6月30日)の概況を整理します。

NECは、前年同期に対して、売上収益は増収、営業損益は赤字が改善したものの、当期損益は減益して赤字となりました。

エンタープライズ、パブリックを中心に好調で、特に金融、流通、製造などの民需分野では受注が極めて好調であり、本業では計画通りに進捗しているとしています。

富士通は、売上収益は減収したものの、営業損益、当期損益ともに増益となりました。

各セグメントともに計画通りの進捗であったものの、特殊要因を除くと若干の赤字となったとしています。

 

NEC

2018年度第1四半期連結業績

売上収益は前年同期比5.2%増の6,130億円、営業損益は前年同期の144億円の赤字から改善したものの107億円の赤字

税引前損益は同71億円の黒字から48億円の赤字に転落し、当期損益も同78億円の黒字から58億円の赤字に転落

  • ・税引前損益及び当期損益の赤字転落は、金融損益などが156億円減益したことが影響しています。
  • ・156億円減益の内訳は、前年同期に計上したNECトーキンで148億円、ルネサスエレクトロニクスで43億円の株式売却益などです。

セグメント別の業績は以下の通りですが、今回の決算から「グローバル」セグメントが新設されています。

海外事業に集中し、成長させていくために、事業責任と権限を一元化したマネジメント体制でスピードを向上させることが目的であるとしています。

  • ・パブリックは増収増益(売上収益は前年同期比8.7%増の1,955億円、営業損益は同33億円増で25億円の黒字に転換)
    社会公共領域では中堅中小向け、社会基盤領域では航空宇宙や防衛向けが増加
  • ・エンタープライズは増収減益(売上収益は同9.5%増で962億円、営業損益は同14億円減で36億円)
    コンビニエンスストア向けが好調な流通・サービス業向け、保険業が好調な金融業、製造業を含めた全ての領域で売上増、システム構築サービスも増益となったものの、AI及びIoT関連の投資費用の増加などにより全体では減益
  • ・ネットワークサービスは減収減益(売上収益は同0.7%増で776億円、営業損益は同16億円悪化で22億円の赤字)
    通信事業者の設備投資が低調だったのに加え、5Gなどの投資費用が増加
  • ・システムプラットフォームは増収減益(売上収益は同0.1%増で1,084億円、営業損益は同21億円悪化で36億円の赤字)
    システムデバイスは減収したものの、サーバ・ストレージ、企業ネットワークなどが増収
    ハードウェアの一時的な収益性悪化などにより減益
  • ・グローバルは増収減益(売上収益は同0.8%増で971億円、営業損益は同5億円悪化で82億円の赤字)
    海洋システムが減少したものの、セーフティの増加などにより増収
    買収した英ITサービス企業のNorthgate Public Services(NPS)の新規連結効果もありセーフティの売上収益は前年比倍増
  • ・その他は増収増益(売上収益は同19.1%増で382億円、営業損益は同50億円増で32億円と黒字化)

その他

  • ・海外売上比率:25.6%の1,571億円(前年同期:28.0%の1,631億円)
  • ・新事業開発を加速し、スピードをあげた商用化につなげるために、NEC X,inc.をシリコンバレーに設立してオープンイノベーションによる事業化を推進
  • ・カルチャー変革の実行としてProject RISEを始動
    経営陣を中心に結果を厳しく問う評価制度を導入して事業責任をより明確化し、全社員に適用する行動基準を再策定

 

2018年度の通期決算予想

2018年度の通期研鑽予想は、前回値を据え置いています。

  • ・売上収益は前年比0.5%減の2兆8,300億円、営業損益は同139億円減の500億円、当期損益は同209億円減の250億円
  • ・構造改革費用として、一過性の悪化要因400億円を織り込んでいます。
  • ・優先するのは利益確保であり、2020年度の営業利益率5%の達成を、マネジメントとしてコミットして、実行していくとしています。
  • ・また、営業利益率5%を達成した時点では、海外事業も相当の規模および利益を得ることができるようになるとしています。

 

富士通

2018年度第1四半期連結業績

売上収益は前年同期比6.0%減の8,677億円、営業損益は前年同期から746億円増の796億円

  • ・売上収益は、PCなどのユビキタス事業の再編影響で480億円の減少、本業では国内SIビジネスは増収となったものの、ネットワークやLSIの所要減の影響により約△70億円
  • ・営業損益は、本業ではLSI及びネットワークなどで約48億円の減少したものの、特殊事項として退職給付制度変更影響で919億円の増加、事業譲渡影響で125億円減
  • ・営業損益の事業譲渡の125億円減の内訳は、ニフティのコンシューマ事業で約170億円減、PC事業で約115億円増、PC及び携帯端末事業再編影響で約70億円減

税引前利益は同896億円増の970億円、当期純利益は同706億円増の728億円

  • ・PC事業譲渡に伴う株式再評価影響で約115億の増益

セグメント別の業績は、以下の通りです。

  • ・テクノロジーソリューションは減収減益(売上収益が前年同期比1.2%減で6,643億円、営業損益は同22.4%減で40億円)
  • ・テクノロジーソリューションの内、サービス事業の売上収益が前年同期並の5,745億円、営業損益が同33.2%増で110億円
    (内、ソリューション/SIの売上収益が同4.6%増の2,289億円、インフラサービスの売上収益は同2.7%減の3,456億円)
  • ・テクノロジーソリューションの内、システムプラットフォームの売上収益が同8.7%減で898億円、営業損益は同39億円悪化で70億円の赤字
    (内、システムプロダクトの売上収益は同3.5%増で518億円、ネットワークプロダクトの売上収益は同21.4%減で379億円)
  • ・ユビキタスソリューションは減収減益(売上収益が同25.1%減で1,153億円、営業損益は同97.1%減で1億円
    売上収益では、携帯端末事業の再編と個人向けPC事業が連結売上の対象外となり、事業再編影響が約480億円の減収となったものの、再編影響を除くと約8%の増収
    (営業利益への事業再編の影響は約70億円減益であったものの、これを除くと国内及び海外ともに法人向けPCが好調で、17億円の増益)
  • ・デバイスソリューションは減収減益(売上収益は同3.0%減で1,313億円、営業損益は同79.3%減で7億円)
    LSIの売上収益は同11.7%減の615億円、電子部品の売上収益は同6.3%増の701億円
    スマートフォン向けLSIの所要が低調に推移し、電子部品はPCや製造装置向けの需要が増加したものの、為替が円高に推移したことが影響して減益

その他

  • ・海外売上比率:38.7%の3,356億円(前年同期:36.3%の3,348億円)
  • ・2018年6月21日に退職給付制度を変更
    富士通企業年金基金の一部制度変更を行い、これまでの確定給付型年金(DB)から第3の企業年金制度のリスク分担型制度へと移行

 

2018年度の通期決算予想

2018年度の通期研鑽予想は、前回値を据え置いています。

  • ・売上収益は前年比4.8%減の3兆9,000億円、営業損益は同425億円減の1,400億円、当期損益は同593億円減の1,100億円
  • ・第1四半期に退職給付制度の変更、PC事業譲渡に関する利益計上はあるものの、ビジネスモデル変革費用を含めた様々な施策を検討している段階で、特殊要因を含めても通期の業績予想の変更は行わないとしています。
  • ・また、2018年5月からサービス提供を開始した「FUJITSU Quantum-inspired Computing Digital Annealer(デジタルアニーラ)」については、PoCの引き合いが多くあり、今後人材を育成し、協創サービスに育てたいとしています。
  • ・なお、中核事業はサービスであリ、テクノロジーソリューションの領域になるとして、経営資源の全てを投資していくことになるとしています。
  • 一方、ユビキタス事業やデバイス事業は非中核事業であり、資源は集中できないとし、独立した事業として立て直しをする上で投資できない以上、外部の資本に依存するしかないとしています。

 

2018年度(2019年3月期)第1四半期決算と通期予想

 

電機各社の決算発表

富士通 株式会社(2018年7月26日発表)

日本電気 株式会社(2018年7月31日発表)

株式会社 日立製作所(2018年7月27日発表)

株式会社 東芝(2018年8月8日発表)

ソニー 株式会社(2018年7月31日発表)

パナソニック 株式会社(2018年7月31日発表)

三菱電機 株式会社(2018年7月30日発表)

シャープ 株式会社(2018年7月31日発表)

 

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