NECの2019年度(2020年3月期)通期決算は増収増益、当期利益は1,000億円で過去最高益

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NECの2019年度(2020年3月期)通期決算

 

NECから2019年度(2020年3月期)通期決算と2020年度(2021年3月期)通期業績予想が発表されましたので、概況を整理します。

NECは、前年同期に対して、売上収益や営業利益益及び当期利益の全ての指標で増収増益となり、当期利益は1,000憶円で過去最高益を記録しました。

売上収益は、前年同期に対して1,818億円(6.2%)増の3兆952億円

営業利益は、前年同期に対して698億円増の1,276億円

調整後営業利益は、前年同期に対して759憶円増の1,458億円

税引前利益は、前年同期に対して467憶円増の1,240憶円
前期に関連会社株式売却益を計上していた影響があるものの、営業利益が改善したことによる

親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期に対して603憶円増の1,000憶円

親会社の所有者に帰属する調整後当期利益は、前年同期に対して642憶円増の1,112憶円

2019年度の配当については、本業の利益である営業損益が期初公表値を上回ったことなどから、期初の公表値より1株当たり10円増配の1株につき70円(中間配当金は1株につき30円)としています。

なお、2020年度については、年間配当金は1株につき80円(中間配当金は1株につき40円)を予定しています。

 

NECの2019年度通期連結業績

NECの2019年度(2020年3月期)通期決算

 

売上収益は前年同期比1,818億円(6.2%)増の3兆952億円、営業利益は同698億円増の1,276億円、調整後の営業利益は同759憶円増の1,458億円

  • ・売上収益は、パグリック事業(社会公共、社会基盤)、エンタープライズ事業、ネットワークサービス事業、システムプラットフォーム事業、グローバル事業の全セグメントが増収となったことによります。
  • ・営業利益1,276億円の増益は、売上収益が増加したことに加え、前期に事業構造改善費用を計上していたことなどによります。
  • ・営業利益調整の減少要因は、NECエナジーデバイス株式譲渡・非連結化で130憶円減少に加え、一過性費用として中長期的な企業価値向上に資する総額270憶円の施策を実行し、新型コロナウィルスで50憶円のマイナス影響
  • ・増加要因は、2018年度の一過性費用で500憶円、2019年のの構造改革効果で255憶円、ビジネスPCの特需で100憶円、オペレーション改善で350憶円

なお、2019年度の一過性費用270憶円の内訳は以下の通りです。

  • ・DX・5G関連開発の先行投資やセキュリティ強化、環境整備と人材育成、収益・体質改善施策などで105憶円
  • ・4Q追加施策として、中南米などの構造改革や資産クリーンアップ、エネルギー事業でのパートナーリングに向けた資産クリーンアップ、宇宙事業における棚卸評価減などで165憶円

税引前利益は同467億円増の1,240億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同603億円増の1,000億円、親会社の所有者に帰属する調整後当期利益は同642億円増の1,112億円

なお、国内受注の動向は、以下の通りとしています。

  • ・パブリック事業の内、社会公共がが前年同期比103%(前年同期:116%)、社会基盤が同109%(同94%)
  • ・エンタープライズ事業が同96%(同108%)
  • ・ネットワークサービス事業が同105%(同98%)
  • ・システムプラットフォーム事業が同108%(同106%)

 

セグメント別の業績

セグメント別の業績は以下の通りで、全6セグメント全て増収増益となっています。(今期、パブリック事業を社会公共と社会基盤に分割)

 

社会公共は増収増益

  • ・売上収益は前年同期比384億円(13.4%)増の3,246億円、調整後営業利益は前年同期から114億円増の186億円
  • ・売上収益は、自治体向け、医療向けITサービスを中心に増加
  • ・調整後営業利益は、売上増に加え、収益性改善などにより増益

社会基盤は増収増益

  • ・売上収益は前年同期比92億円(1.5%)増の6,311億円、調整後営業利益は前年同期から85億円増の539億円
  • ・売上収益は、航空宇宙・防衛向けが増加
  • ・調整後営業利益は、売上の増加に加え、収益性の改善などにより増益

エンタープライズは増収増益

  • ・売上収益は前年同期比237億円(5.5%)増の4,555億円、調整後営業利益は前年同期から13億円増の372億円
  • ・売上収益は、金融業向けの増加や売上計上部門の変更の影響などにより増収
    (Office 365を中心としたライセンスの商流変更などの特殊要因を除くと1%増)
  • ・調整後営業利益は、売上増による増益

ネットワークサービスは増収増益

  • ・売上収益は前年同期比495億円(10.8%)増の5,098億円、調整後営業利益は前年同期から175億円増の382億円
  • ・売上収益は、5Gの導入を見据えた固定ネットワーク領域の増加に加え、一過性の大型案件があったことなどにより増収
  • ・調整後営業利益は、NECネッツエスアイで一過性の損失計上があったものの売上増により増益

システムプラットフォームは増収増益

  • ・売上収益は前年同期比485億円(9.7%)増の5,487億円、調整後営業利益は前年同期から288億円増の489億円
  • ・売上収益は、企業向けパソコンを中心にハードウェアが増加したことなどにより増収
  • ・調整後営業利益は、売上増に加え、構造改革効果などにより増益

グローバルは増収改善

  • ・売上収益は前年同期比844億円(20.6%)増の4,938億円、調整後営業利益は前年同期から188億円改善して38億円の損失
  • ・売上収益は、KMD新規連結によるセーファーシティの増加、海洋システムの増加などにより増収
  • ・調整後営業利益は、セーファーシティ、サービスプロバイダソリューション、ワイヤレスソリューション海洋システムなどが改善
    セーファーシティでは香港の政治情勢や為替変動の影響を受けており、競争環境が激化しているディスプレイ、不採算案件を計上したエネルギーといった課題事業への対策を講じていたものの赤字継続

その他は減収増益

  • ・売上収益は前年同期比720億円(35.4%)減の1,317億円、調整後営業利益は前年同期から96億円減の94億円

 

その他

海外売上比率:24.3%の7,520億円(前年同期:23.7%の6,891億円)

キャッシュフローの状況

  • ・フリー・キャッシュフロー:前年同期比1,903億円改善の1,778億円
    営業活動によるキャッシュ・フロー:同1,976億円改善の2,619億円
    投資活動によるキャッシュ・フロー:同73億円支出増の840億円の支出
  • ・財務活動によるキャッシュ・フロー:917億円の支出
  • ・現金及び現金同等物:同809億円増の3,593億円

資産、負債、資本の状況

  • ・資産:前年同期比1,600億円増の3兆1,233億円
  • ・負債:同1,229億円増の6,754億円
  • ・資本:同548億円増の1兆1,145億円
    親会社所有者帰属持分:同517億円増の9,107億円
    自己資本比率:同0.2ポイント増の29.2%

 

2020年度(2021年3月期)の通期決算予想

NECの2020年度通期決算予想

 

2020年度(2021年3月期)の通期決算予想は、新型コロナウイルス感染症の影響を精査中としながら、2018年1月に公表した「2020中期経営計画」に基づき計画しています。

  • ・売上収益は、前年比2.1%減の3兆300億円
  • ・営業利益は、同224億円増の1,500億円
    調整後営業利益は、同192億円増の1,650憶円
  • ・当期利益は、同100億円減の900億円
    調整後当期利益は、同122億円減の990憶円

通期計画に対する考え方は、マクロ環境の変化に対して一定の強靭性を持った事業計画を策定し、中期経営計画で掲げた利益目標を確保し、増配を計画しています。

  • ・売上収益は、19年度のPC特需の反動に加え、ディスプレイ事業の非連結化により減収
  • ・調整後営業利益は、5Gなどの投資増を見込むものの、一過性費用の減少、不採算案件の抑制により増益
  • ・調整後当期利益は、19年度の一過性の税金費用の減少

 

2020年度はGIGAスクール構想により、教育分野向けPCの導入が加速し、NECとして教育分野で40%のシェア獲得を目指すものの、利益に対する貢献は厳しいとしています。

東京オリンピック/パラリンピックの延期による影響については、2016年度から2020年度までに2,000億円の売上目標に向けて施策を打ってきており、2019年度までは見込みを上回る推移で、2,000億円に対しては1~2割の過達になる見込みであるとしています。

なお、延期に伴う2020年度業績への影響には盛り込んでいないとし、事前の準備はほぼ整っており、2020年度業績への損益への影響はないとしています。

新型コロナウイルス感染拡大への対応では、「危機下におけるキャッシュマネジメント」と「業績インパクトの極小化」を挙げています。

  • ・キャッシュマネジメントでは、4月23日に無担保普通社債として350億円を発行。3,280億円のコミットメントラインを通じて、手元流動性を確保するなど
  • ・業績インパクトの極小化では、新型コロナウイルス終息後の「New Normal」に向けた取り組みを加速
    新たな社会の在り方の実現に向けて、DXや生体認証、AI、5GなどのNECの技術をフルに生かし、ソリューション提供力を駆使してNew Normalな社会に貢献

テレワークソリューションでは、テレワーク環境の整備だけでなく、セキュリティ対策やAIチャットボットによる問い合わせ対応などを提案

マスクを外さず本人確認が可能なマスク対応顔認証システムを開発
2020年3月には、NECグループ社員向けに同社本社ビルに導入し、2020年度上期中に製品化を予定

新型コロナウイルスに対応したワクチンの設計、開発にも貢献
がんワクチン開発に使用するAI予測技術を適用し、ワクチン開発の加速を目的とした提携活動を開始

 

セグメント別の業績予想

社会公共は増収増益

  • ・売上収益は前年同期比4億円(0.1%)増の3,250億円、調整後営業利益は前年同期から84億円増の270億円
  • ・売上収益は、自治体向け、医療向けITサービスは減少も、消防防災・交通向けの増加により、好調であった前年並の水準を計画
  • ・調整後営業利益は、収益性改善および前年度に計上した一過性費用の減少により増益を見込む

社会基盤は減収増益

  • ・売上収益は前年同期比11億円(0.2%)減の6,300億円、調整後営業利益は前年同期から21億円増の560億円
  • ・売上収益は、前年並を見込む
  • ・調整後営業利益は、一過性費用の減少により増益を見込む

エンタープライズは増収増益

  • ・売上収益は前年同期比45億円(1.0%)増の4,600億円、調整後営業利益は前年同期から58億円増の430億円
  • ・売上収益は、製造業向け、流通・サービス業向け、金融業向けいずれも前年並を見込む
  • ・調整後営業利益は、不採算案件の再発防止と費用効率化により増益を見込む

ネットワークサービスは増収減益

  • ・売上収益は前年同期比2億円(0.0%)増の5,100億円、調整後営業利益は前年同期から22億円減の360億円
  • ・売上収益は、前年度に一過性の大型案件があったものの、固定ネットワーク領域、移動ネットワーク領域の増加により前年並を見込む
  • ・調整後営業利益は、5G関連の投資増により減益を見込む

システムプラットフォームは減収減益

  • ・売上収益は前年同期比487億円(8.9%)減の5,000億円、調整後営業利益は前年同期から59億円減の430億円
  • ・売上収益は、前年度に更新需要のあったビジネスPCの減少により減収を見込む
  • ・調整後営業利益は、売上減による減益を見込む

グローバルは減収改善

  • ・売上収益は前年同期比338億円(6.8%)減の4,600億円、調整後営業利益は前年同期から238億円改善して200億円の黒字
  • ・売上収益は、サービスビスプロバイダソリューション、海洋システムなどで増加もディスプレイの非連結化により減収を見込む
  • ・調整後営業利益は、前年度に計上した一過性費用の減少、構造改革効果などにより黒字化を見込む

 

2020中期経営計画達成に向けた2019年度の取り組み

2018年1月発表時点の計画

NECの「2020中期経営計画」

2020年5月12日発表時点の進捗

NECの「2020中期経営計画」進捗

 

2018年1月に発表した「2020中期経営計画」に基づいて、「収益構造の改革」「成長の実現」「実行力の改革」に取り組み、様々な変革を実施

「収益構造の改革」では、成長軌道への回帰に必要な投資を実現するため、収益改善に向けて課題事業への対応等の構造改革をさらに実施

  • ・2020年1月に、日本アビオニクス㈱の普通株式をすべて売却
  • ・2020年3月に、映像ソリューション事業を担う子会社であるNECディスプレイソリューションズ㈱の株式の過半数をシャープ㈱に譲渡することに合意
  • ・ワイヤレスソリューション事業においては収益性重視の事業の推進やセラゴンネットワークス社との協業による開発費削減などの収益改善施策を実行

「成長の実現」では、生体認証技術やAI(人工知能)技術等のデジタル技術を活かした事業の推進を通じて社会価値創造への取り組みを実施

  • ・2019年7月に、世界最大の航空連合であるスターアライアンスと生体認証技術を活用した本人確認プラットフォームの開発に関する協業を発表
  • ・2019年8月に、㈱ローソンの深夜省人化店舗の実証実験に参画し、顔認証AIエンジンを用いた入店管理システムや関連する技術・サービスを提供
  • ・2019年9月に、㈱セブン銀行と顔認証による本人確認やQRコード決済に対応した次世代ATMを展開するとともに、この次世代ATMを用いた日本初となる顔認証によるATMでの口座開設の実証実験を実施
  • ・㈱NTTドコモ、楽天モバイル㈱に第5世代移動通信システム(5G)ネットワークの構築のための基地局装置・無線子局の出荷を開始するとともに、5Gを地域限定で利用する「ローカル5G」事業にも本格参入し、企業や自治体に対してネットワークインフラからアプリケーションまでをトータルソリューションとして提案する活動を開始

「実行力の改革」では、最新技術を活かした顧客価値創造への挑戦と社員の力を最大限に引き出す改革への取り組みを実施

  • ・最新技術を活かした顧客価値創造への挑戦としては、ヘルスケア事業強化の一環として、がんなどの先進的免疫治療法に特化した創薬事業に本格参入することを宣言
  • ・個別化ネオアンチゲンワクチンの治験を開始したほか、開発途上国の新生児の出生証明・登録、ワクチン接種記録等を可能とする幼児指紋認証の実用化に向けた活動を実施
  • ・社員の力を最大限に引き出す改革として、社員を成果と行動の両面からフェアに評価し、その貢献に報いるパフォーマンスマネジメント制度をグループ会社に展開
  • ・社員が自らのキャリアを切り拓き、成長する意欲を高める仕組みとして、社員の職務経歴と各組織の募集ポジションを社内公開しジョブマッチングをはかる「NEC Growth Careers」を導入
  • ・組織間のコラボレーションを促し、より創造的な働き方を可能にするワーキングスペースである「BASE」の設置、コアタイムのない「スーパーフレックス」の導入、テレワーク週間や全社一斉テレワーク・デイを通じたテレワーク推進など、働き方の変革を加速するための制度改革や環境整備を推進

 

参考:電機各社の決算発表

富士通 株式会社(2020年5月14日発表予定)

日本電気 株式会社(2020年5月12日発表)

株式会社 日立製作所(別途発表予定)

株式会社 東芝(2020年6月5日発表予定)

ソニー 株式会社(2020年5月13日発表予定)

パナソニック 株式会社(2020年5月18日発表予定)

三菱電機 株式会社(2020年5月11日発表)

シャープ 株式会社(2020年5月19日発表予定)

 

 

電機とITの決算

2020.05.14 2019年度通期決算と2020年度通期予想:富士通(2020年度予想は未定)

2020.05.12 2019年度通期決算と2020年度通期予想:NEC

 

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富士通の2019年度(2020年3月期)通期決算は減収増益で純利益53.1%増、国内好調で本業では増収増益

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