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NECの2018年度(2019年3月期)第3四半期決算(2018年4月1日~12月31日)と通期予想が発表されましたので、概況を整理します。
NECは、前年同期に対して、売上収益と営業損益は増収増益となり、当期損益は減益しています。
パブリックが伸長したものの、システムプラットフォーム、ネットワークサービスが減益となっています。
国内ITサービスの受注は、第3四半期累計で前年同期比8%増で、中でもエンタープライズは9%増、パブリックは7%増となっています。
「国内の事業環境は良好であり、エンタープライズおよびパブリックには追い風が吹いているので、年間計画に対する上振れが期待でき、現時点では足元は数字については減速の兆候はない」としています。
NECの2018年度第3四半期連結業績
売上収益は前年同期比3.2%増の2兆347億円、営業損益は同16.9%(24億円)増の167億円
税引前損益は同34.2%(138億円)減の265億円、当期損益も同56.5%(99億円)減の77億円
- ・営業損益24億円の増益は、特別転進支援施策の実施に伴う事業構造改善費用を計上したものの、売上収益が増加したことによります。
- ・税引前損益138億円の減益は、営業損益が改善したものの、前年同期に関連会社株式売却益を計上したことなどによるものです。
- ・当期損益99億円の減益は、税引前利益が悪化したことなどによるものです。
セグメント別の業績
セグメント別の業績は以下の通りで、売上収益は全セグメントが増加したことが増収に寄与し、営業損益の増益はネットワークやシステムプラットフォームが減少したものの、他のセグメントが改善したことによります。
パブリックは増収減益
- ・売上収益は前年同期比3.6%増の6,481億円、営業損益は前年同期から77億円増の278億円
- ・売上収益は、社会公共領域は消防・防災向けが増加し、社会基盤領域は航空宇宙・防衛向けに全般的に増加
- ・営業損益は、事業構造改善費用30億円を計上したものの、売上の増加や不採算案件の減少などにより増益
エンタープライズは増収増益
- ・売上収益は前年同期比9.1%増の3,177億円、営業損益は前年同期から1億円増の252億円
- ・売上収益は、製造業向け、コンビニエンスストア向けを中心にした流通・サービス業向け、保険・証券向けを中心にした金融業向けいずれも増加
- ・営業損益は、AIやIoT関連の投資費用10億円の負担増に加え、事業構造改善費用10億円を計上したものの、システム構築サービスの増益などにより、全体で増益
ネットワークサービスは増収減益
- ・売上収益は前年同期比0.8%増の2,651億円、営業損益は前年同期から26億円減の61億円
- ・売上収益は、ITサービスは減少したものの、ネットワークインフラの増加により増収(但し、通信事業者の設備投資が低調に推移)
- ・営業損益は、ネットワークインフラの収益性は改善したものの、ITサービスの特定プロジェクトにおいて損失を計上したことや事業構造改善費用20億円を計上したことにより減益
システムプラットフォームは増収減益
- ・売上収益は前年同期比0.9%増の3,756億円、営業損益は前年同期から101億円減の45億円
- ・売上収益は、企業向けパソコンが増加したことなどにより増収
- ・営業損益は、売上が増加したものの、事業構造改善費用80億円を計上したことにより減益
グローバルは増収改善
- ・売上収益は前年同期比0.4%増の3,204億円、営業損失は前年同期から67億円改善したものの98億円の赤字
- ・売上収益は、海洋システムやディスプレイが減少したもののセーフティが増加して全体で増収
- ・ワイヤレスソリューションも改善し、NPSとの新規連結の効果もあり、サービスプロバイダーソリューションやワイヤレスソリューションは横ばいで、海洋システムは増収。
ディスプレイは、北米でのサムスン、LG電子との競争激化や米中貿易摩擦の影響により減収
- ・営業損益は、事業構造費用10億円を計上したものの、モバイルバックホールやセーフティの収益改善などにより、全体では改善
その他は増収増益
- ・売上収益は前年同期比7.8%増の1,078億円、営業損益は前年同期から100億円増の66億円
その他
海外売上比率:25.4%の5,171億円(前年同期:27.2%の5,356億円)
2018年12月にKMD Holdingの買収を発表し、NEC Safer Citiesを強化
NEC、NPS(Northgate Public Services Limited)との三者連携を進め、新たな顧客価値の創出につなげる。
- ・投資額 1,360億円(2019年2月末の買収完了を予定)
- ・買収完了後はNEC、NPSとKMDのシナジー創出を加速
NEC、NPSとKMDのクロスセルで北欧、近隣諸国をはじめ、グローバルに展開
収益構造改革の進捗
2019年3月末までに約3000人の人員減少、2020年3月までに筑波研究所の稼働を停止
- ・2018年12月28日を退職日とした実施した特別転進支援施策に対し、2170人が応募(約200億円の費用を計上、当初計画では300億円)
- ・グループ外企業への出向・転籍など約400名(2019年3月末までに完了)
- ・照明事業の譲渡
NECライティング株式会社の全事業の譲渡を決定(2019年4月1日を予定)
- ・筑波研究所の稼働停止で約50億円の費用を計上(調整額)
2020年3月末を予定し、研究リソースの配置最適化を図る。
2018年度の通期決算予想
2018年度の通期決算予想は、前回値を据え置いています。
- ・売上収益は、前年比0.5%減の2兆8,300億円
- ・営業損益は、同139億円減の500億円
- ・当期損益は、同209億円減の250億円
第3四半期までの累計では、社内計画に対して売上高は670億円の上振れ、営業損益では190億円の上振れがあるものの、年度内に実行可能な施策をぎりぎりまで検討し、実行していきたいとしています。
また、グローバル事業のリスクを好調な国内でカバーし、通期予想を達成する見込みです。
グローバル事業は、第3四半期累計で280億円の営業損益改善を見込んでいたものの67億円の改善にとどまっています。
セーフティやワイヤレスソリューションは計画通りに進んでいるものの、サービスプロバイダーソリューション、エネルギー、ディスプレイはリスクが残っているとしています。
また、改元や消費増税の影響については、「若干のプラス要素になものの、そのあとの反動を覚悟しておかなくてはならない」としています。
なお、第4四半期において以下の収益改善施策を実施することにより、来年度のリスク低減と2019年度の収益改善につなげるとしています。
NECプラットフォームズの生産拠点再編(一関と茨城)、NECライティングの構造改革、オフイスフロアの効率化、海外拠点の効率化に加え、開発投資の前倒し
2018年度(2019年3月期)第3四半期決算と通期予想
電機各社の決算発表
2019.02.06 2018年度第3四半期決算:富士通
2019.02.05 2018年度第3四半期決算:NEC
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