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NECから2019年度(2020年3月期)第2四半期決算(2019年4月1日~9月30日)と通期予想が発表されましたので、概況を整理します。
NECは、前年同期に対して、売上収益や営業損益及び当期損益の全ての指標で増収増益となりました。
好調な事業環境を背景に全セグメントで増収増益し、社内想定値からも上振れしたようです。
売上収益は、前年同期に対して1,126億円(8.4%)増の1兆4,490億円
- ・パブリック事業で前年同期比で4.4%増の4,181億円
特に、自治体や中央官庁、医療機関、放送局向けを中心に好調が持続
- ・エンタープライズ事業で同11.8%増の2,349億円
金融業向けの増加や売上計上部門の変更により増収
- ・ネットワーク事業で同11.0%増の2,256億円
5G導入を見据えた固定ネットワーク領域を中心に増収
営業損益は、前年同期に対して330億円増の469億円
- ・調整項目として、買収に伴う無形固定資産の売却費で85億円、M&A関連コストで2億円
- ・調整後営業損益は554億円(前年同期:187億円)
なお、当期の構造改革効果は合計で150億円で、内訳は特別転進支援施策で91億円、海外拠点の効率化及び工場再編効果やオフィスフロア効率かなどの施策で58億円となっています。
NECの2019年度第2四半期連結業績
売上収益は前年同期比1,126億円(8.4%)増の1兆4,490億円、営業損益は同330億円増の469億円
税引前損益は同243億円増の461億円、当期損益も200億円増の292億円
- ・売上収益は、パグリック事業、エンタープライズ事業、ネットワークサービス事業、システムプラットフォーム事業、グローバル事業の全セグメントが増収となったことによります。
- ・営業損益330億円の増益は、売上収益が増加したことなどによります。
また、調整後の営業損益は554億円で、調整項目の内訳は買収に伴う無形固定資産の償却費83億円とM&A関連コスト2億円となっています。
- ・当期の構造改革効果は合計で150億円で、内訳は特別転進支援施策で91億円、海外拠点の効率化及び工場再編効果やオフィスフロア効率かなどの施策で58億円となっています。
セグメント別の業績
セグメント別の業績は以下の通りで、その他事業が増収減益のみで、他の5セグメント全て増収増益となっています。
なお、4月1日付けの組織再編に伴い、セグメントの一部が変更されています。
- ・パブリックの主管子会社などを、その他セグメントに移行
- ・システムプラットフォームの企業ネットワーク事業を、ネットワークサービスへ移行
- ・システムプラットフォームのセキュリティ関連事業を、その他セグメントへ移行
- ・グローバルの海外向けUC事業を、システムプラットフォームへ移行
パブリックは増収増益
- ・売上収益は前年同期比176億円(4.4%)増の4,181億円、調整後営業損益は前年同期から134億円増の263億円
- ・売上収益は、日本航空電子工業が減収となったものの、社会公共・社会基盤領域ともに増加
- ・調整後営業損益は、自治体向けITサービスや航空宇宙・防衛領域などの増加により増益
エンタープライズは増収増益
- ・売上収益は前年同期比248億円(11.8%)増の2,349億円、調整後営業損益は前年同期から15億円増の175億円
- ・売上収益は、金融業向けの増加や売上計上部門の変更の影響などにより増収
(特殊要因として、Office 365を中心としたライセンス商流変更による影響が約150億円計上されているが、特殊要因を除くと4%増)
- ・調整後営業損益は、売上増による増益
ネットワークサービスは増収減益
- ・売上収益は前年同期比224億円(11.0%)増の2,256億円、調整後営業損益は前年同期から66億円増の116億円
- ・売上収益は、5G導入を見据えた固定ネットワークの整備が活発化したことに加え、子会社のNECネッツエスアイの増加、ITサービス領域の増加などにより増収
- ・調整後営業損益は、売上増により増益
システムプラットフォームは増収減益
- ・売上収益は前年同期比376億円(16.7%)増の2,637億円、調整後営業損益は前年同期から158億円増の208億円
- ・売上収益は、企業向けPCやサーバーを中心としたハードウェアが増加したことなどにより増収
特に、Windows10への切り替え需要の拡大によって、企業向けPCが大きく伸長
- ・調整後営業損益は、売上増に加え、構造改革効果により増益
グローバルは増収改善
- ・売上収益は前年同期比461億円(23.3%)増の2,436億円、調整後営業損益は前年同期から36億円改善して9億円
- ・売上収益は、KMDの新規連結によりセーファーシティが増加、海洋システムの増加などにより増収
- ・調整後営業損益は、セーファーシティ、サービスプロバイダソリューション、ワイヤレスソリューション海洋システムなどが改善し、上期での黒字を達成
その他は減収減益
- ・売上収益は前年同期比360億円(36.3%)減の631億円、調整後営業損益は前年同期から14億円増の65億円
その他
海外売上比率:25.3%の3,663億円(前年同期:25.7%の3,438億円)
キャッシュフローの状況
- ・フリー・キャッシュフロー:前年同期比728億円増の556億円
営業活動によるキャッシュ・フロー:同910億円増の1,053億円
投資活動によるキャッシュ・フロー:同182億円減の△497億円
- ・財務活動によるキャッシュ・フロー:同1,045億円減の△618億円
- ・現金及び現金同等物の四半期末残高:同1,006億円減の2,700億円
資産、負債、資本の状況
- ・資産:前年同期比205億円増の2兆9,837億円
- ・負債:同1,294億円増の6,819億円
- ・資本:同17億円減の1兆580億円
親会社所有者帰属持分:同2億円減の8,587億円
自己資本比率:同0.2ポイント減の28.8%
2019年度(2020年3月期)の通期決算予想
2019年度(2020年3月期)の通期決算予想は、前回値を据え置いています。
上期業績は、社内想定値からは上振れしたが、将来の収益性改善、成長に向けての追加投資、体質改善に向けた施策を検討していくため、業績予想は据え置き。
その中で、社内想定値については、通期計画に対しても上振れを目指す。
- ・売上収益は、前年比1.3%増の2兆9,500億円
- ・営業損益は、同522億円増の1,100億円
- ・当期損益は、同253億円増の650億円
通期計画に対する考え方は、以下の通りとしています。
国内
- ・好調な事業環境を背景に上期は全セグメントで増収増益
- ・上期は期初の想定を超える増益を実現、通期計画に対しても上振れを目指す。
グローバル
- ・セーファーシティ、サービスプロバイダSL、ワイヤレスSLなどの改善により上期黒字化を達成
- ・上期のエネルギー、ディスプレイは想定に届かず、通期計画に対するリスクの解消に努める。
2020中期経営計画の進捗
グローバル事業の状況
- ・ワイヤレスSL、サービスプロバイダSLの上期黒字化
- ・セーファーシティ
NPS、KMDのM&A後のPMIは順調
スターアライアンス協業
- ・サービスプロバイダSL
欧州Tier1キャリア向け仮想化プロジェクトが着実に進捗
生体認証関連の取り組み
- ・NISTの顔認証技術評価で5度目となる第1位評価を獲得
- ・お客様との共創活動を推進
顔認証技術を搭載したセブン銀行向け次世代ATMの導入を開始
ローソンが実施するスマート店舗(深夜省人化)実験において入店管理システムなどを提供
- ・グローバルな社会課題解決への貢献
国連WFPの食料支援の受益者管理システムに関する技術パートナーシップを締結
Gaviワクチンアライアンス、英国ベンチャー企業と途上国の予防接種率向上に向けた生体認証活用で覚書を締結
5Gを見据えた取り組み
- ・NTTドコモ向けに5G基地局(RU)を出荷開始
- ・楽天モバイルより5G基地局(RU)を受注
- ・ローカル5Gを活用した産業のDX実現に向けて多数の企業と共創活動・実証実験を推進中
- ・ラグビーワールドカップ2019で次世代の業務用無線システムを試験提供
実行力の改革に向けた活動を継続
- ・働きやすい環境づくり
Co-workingスペース「BASE」を設置
テレワーク環境の推進(テレワーク・デイズに4万人参加)
コアタイムのない「スーパーフレックス」を導入
- ・行動基準「CodeofValues」と評価方式「9Blocks」を国内外の関係会社にも展開
- ・執行役員のポジション数削減、1年任期の委任契約に変更、役員報酬制度の刷新と開示
- ・IR Dayなどステークホルダーを巻き込んだ改革
2019年度(2020年3月期)第2四半期決算と通期予想
参考:電機各社の決算発表
2019.11.03 2019年度第2四半期決算と通期予想:NEC
2019.11.02 2019年度第2四半期決算と通期予想:富士通
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