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国内電機8社の2018年度(2019年3月期)第2四半期決算と通期予想が出そろいましたので、概況を整理します。
以下では、ICT領域中心のNECの第2四半期(2018年4月1日~9月30日)の概況を整理します。
NECは、前年同期に対して、売上収益と営業利益は増収増益となり、当期損益は減益したものの黒字に復活しました。
特に、計画に対して売上収益で350億円、営業利益で40億円改善し、いくつかの領域で改善の効果が表れているとしています。
エンタープライズ、パブリックを中心とした好調が増収に寄与し、当期損益の減益は前年同期に計上したNECトーキン、ルネサスエレクトロニクスの株式売却益の影響などによるものとしています。
NECの2018年度第2四半期連結業績
売上収益は前年同期比3.8%増の1兆3,364億円、営業利益は同90.1%(66億円)増の138億円
税引前損益は同29.3%(90億円)減の218億円、当期利益も同51.3%(97億円)減の92億円で第1四半期赤字から黒字に復活
- ・営業利益66億円の増益は、主要事業分野は減益となったものの、グローバルで60億円とその他で63億円したことによります。
- ・税引前利益90億円の減益は、金融損益などで156億円減益したことが影響しています。
- ・156億円減益の内訳は、その他で38億円増益したものの、前年同期に計上したNECトーキンで151億円、ルネサスエレクトロニクスで43億円の株式売却益などによるものです。
セグメント別の業績
セグメント別の業績は以下の通りで、売上収益はパブリックやエンタープライズが増加したことが増収に寄与し、営業利益の増益はパブリックやネットワークが減少したものの、グローバルやその他事業が改善したことによります。
パブリックは増収減益
- ・売上収益は前年同期比3.8%増の4,197億円、営業利益は前年同期から23億円減の123億円
- ・社会公共領域は前年並みで、社会基盤領域は航空宇宙・防衛向けが増加
- ・社会基盤領域では、前年度に一過性の利益を計上したことなどが影響して減益
エンタープライズは増収減益
- ・売上収益は前年同期比10.3%増の2,117億円、営業利益は前年同期から1億円減の157億円
- ・製造業、コンビニ向けの流通・サービス業、保険・証券が好調だった金融業向けが増加
- ・AIやIoT関連で20億円の投資負担増があったものの、システム構築サービスの増益により前年並みを確保
ネットワークサービスは増収減益
- ・売上収益は前年同期比1.6%増の1,760億円、営業利益は前年同期から21億円減の34億円
- ・ITサービスは減少したものの、ネットワークインフラの増加により増収
- ・ネットワークインフラの収益性は改善したものの、ITサービスの特定プロジェクトの一過性の損失として30億円を計上したことにより減益
システムプラットフォームは増収減益
- ・売上収益は前年同期比0.5%増の2,426億円、営業利益は前年同期から13億円減の40億円
- ・ビジネスPCが増加して増収となったものの、新製品の立ち上げに伴う投資費用の増加により減益
グローバルは増収改善
- ・売上収益は前年同期比0.6%増の2,133億円、営業損失は前年同期から60億円改善したものの50億円の赤字
- ・海洋システムやディスプレイが減少したもののセーフティが増加して全体で増収となり、ワイヤレスソリューションの収益性が改善して全体で増益
- ・セーフティはNPSの新規連結や既存体制での案件獲得により前年同期比75%増と大幅に増収し、サービスプロバイダーソリューションは欧州のTier1キャリアからの大型受注を獲得するなどにより受注が増加
- ・ワイヤレスソリューションは売上横ばいで、海洋システムは一時的に減少しているものの、アジアと米国を結ぶ1万6,000kmの光海底ケーブル「BtoBE Cable System」の供給契約を締結して今後の売り上げ拡大を見込む
その他は増収増益
- ・売上収益は前年同期比12.0%増の730億円、営業利益は前年同期から63億円増の60億円
その他
海外売上比率:25.7%の3,438億円(前年同期:27.3%の3,519億円)
10月24日、サムスン電子とのグローバル市場に向けた5Gポートフォリオ拡大に関する協業を発表
それぞれの強みを生かして、5G標準に準拠した製品を共同開発し、これをグローバル市場に展開していくとしています。
IBMによるRed Hatの買収について
- ・Red Hatとは日本市場においてWin-Winの関係を構築してきており、これまでと変わらないとしています。
- ・クラウド指向が強くなる中、NECがマルチクラウドのシステムインテグレーションとしての役割を発揮することが重要としています。
2018年度の通期決算予想
2018年度の通期決算予想は、前回値を据え置いています。
- ・売上収益は、前年比0.5%減の2兆8,300億円
- ・営業利益は、同139億円減の500億円
- ・当期利益は、同209億円減の250億円
構造改革費用として、一過性の悪化要因400億円を織り込んでいます。
営業利益を減益予想としているのは、構造改革費用を一過性の悪化要因としてあげていること、成長投資を見込んでいることが理由として、上期終了時点では概ね計画通りに進捗するとしています。
上期の国内ITサービスの受注は、金融、公共、製造を中心に好調に推移しており、上期受注は前年同期比7%増となっており、通期の売り上げ貢献に期待しているとしています。
グローバル事業は、上期損益では約60億円の改善を達成して計画通りに推移しており、下期も220億円の改善を見込んでおり引き続き収益改善への取り組みを強化するとしています。
2020中期経営計画の進捗
2020中期経営計画では、「収益構造の改革」「成長の実現」「実行力の改革」の3点を重点課題として取り組んでおり、それらの進捗状況は以下の通りとしています。
収益構造の改革
- ・12月28日を退職日とする特別転進支援施策を10月29日から11月9日まで実施
- ・ワイヤレスソリューション(パソリンク)事業では、収益性改善に向けた取り組みを実行中
上期においては、黒字化を最優先テーマとして、利益率にこだわった案件の選別、機種の絞り込みなどを実施したことにより、第2四半期では収益改善が進みブレークイーブンに来ており、下期も収益性改善に向けた取り組みを加速して2018年度中に方針を決定予定
- ・エネルギー分野では、NECエナジーデバイスの売却先が決定したものの、NECエナジーソリューションズは改革途上にあり、収益性改善に取り組み中
成長の実現
- ・グローバル事業の成長エンジンに位置づけている「NEC Safer Cities」が、NPS(Northgate Public Services Limited)との新規連結やオーガニックでの案件獲得により、「セーフティは、順調に売り上げ、損益の改善が進捗中
- ・NPSとの連携では、英国警察向けITソリューションでトップシェアを獲得し、英国ソフトウェア企業であるi2Nの買収、米国の生体認証システム企業のTascentに出資
- ・オーガニックの取り組みでは、上期に米国政府案件、APACや欧州、インドで空港・航空会社向け案件を受注し、インドネシアでのアジア競技大会にシステムを提供
実行力の改革
- ・「創業119年目の大改革」として、社内改革プロジェクト「PROJECT RISE」を推進中
- ・社員の力を最大限に引き出すために、2018年度の取り組みとして以下3点を展開中
「目指す姿への変革を促す行動指標『Code of Values』の設定」
「成長を促す人事評価制度の確立と経営層の適用」
「業務やプロセスの50%削減を目指すキャンペーンの全社展開」
2018年度(2019年3月期)第2四半期決算と通期予想
電機各社の決算発表
2018.11.10 富士通の経営方針の2018年度進捗レビュー
2018.11.09 2018年度第2四半期決算:富士通
2018.11.08 2018年度第2四半期決算:NEC
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