国内電機の2013年度第2四半期決算と通期予想、ソニー、パナソニック、シャープは増収でも、安定事業確立で成長を模索中

国内電機の2013年度第2四半期決算と通期予想、ソニー、パナソニック、シャープは増収でも、安定事業確立で成長を模索中

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国内の電機8社の2013年度第2四半期決算(2013年4月1日~9月30日)と通期予想が出そろいましたので、概況を整理します。

ここでは、ソニー、パナソニック、シャープの3社について、2013年度第2四半期(2013年4月1日~9月30日)の各社の決算概要を整理します。

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ソニー、パナソニック、シャープの3社の2013年度第2四半期(2013年4月1日~9月30日)の決算概要は、以下の通りとなっています。

ソニー

  • ・売上高は、前年同期に対して3,684億円(11.8%)増の3兆4,882億円
  • ・営業損益は、同146億円増の511億円
  • ・純損益は、同243億円改善の△158億円
  • ・通期決算予想は、ビデオカメラ及びデジタルカメラ、PC、液晶テレビの年間販売台数を下方修正したため、売上高で2,000億円減、営業損益で600億円減、純損益で200億円減と、全ての指標を下方修正しています。
    なお、グループ全体の構造改革費500億円は、変更なく見込まれています。
    売上高:7兆7,000億円、営業損益:1,700億円、純損益:300億円

パナソニック

  • ・売上高は、前年同期に対して681億円(1.9%)増の3兆7,063億円
  • ・営業損益は、同592億円増の1,466億円
  • ・純損益は、同8,545億円増の1,693億円
  • ・通期決算予想は、テレビやデジタルカメラ及び携帯電話などのデジタルコンシューマー関連事業の減収はあるものの、円安効果と住宅及び車載関連事業の増収を見込んで前回予想に対し売上高で2,000億円増、営業損益で200億円増、最終損益で500億円増と、全ての指標を上方修正しています。最終黒字は3期ぶり
    なお、今期の構造改革費を約1,200億円予定していましたが、半導体やデジタルカメラなどの赤字事業分を前倒しするとして約1,700億円まで積み上げしています。
    売上高:7兆4,000円、営業損益:2,700億円、純損益:1,000億円

シャープ

  • ・売上高は、前年同期に対して2,379億円(21.5%)増の1兆3,420億円
  • ・営業損益は、同2,027億円増の338億円
  • ・純損益は、同3,833億円改善の△43億円
  • ・通期決算予想は、前回予想を据え置いています。
    売上高:2兆7,000円、営業損益:800億円、純損益:50億円

ソニー

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売上高、営業損益、純損益

売上高、営業損益、純損益の全指標で、前年同期を上回っています。

  • ・売上高は、前年同期に対して3,684億円(11.8%)増の3兆4,882億円となっています。
    ケミカルプロダクツ関連事業の売却に加え、主に円安の影響及びスマートフォン販売台数の増加が寄与しています。

    なお海外売上比率は、70%となっています。
  • ・営業損益は、前年同期に対して146億円増の511億円となっています。
    主にモバイルプロダクツ&コミュニケーション(MP&C)分野やホームエンタテイメント&サウンド(HE&S)分野での大幅な損益改善、金融分野の大幅な増益が貢献しています。
    また、エムスリー株式の売却益128億円、SPE保有の音楽出版カタログの売却益103億円、タイ洪水損害に対する保険金71億円なども含まれています。
セグメント別

セグメント別では、4分野が増収増益、2分野が増収減益、2分野が減収減益となっています。

  • ・MP&C分野は、スマートフォンの販売台数の大幅増により前年同期比37.8%増の8,075億円
    営業損益は、スマートフォンの大幅な増収により562億円の増益で50億円
  • ・HE&S分野は、液晶テレビの販売台数の大幅に減収したものの、円安の影響により前年同期比10.5%増の5,389億円
    営業損益は、液晶テレビにおける高付加価値モデル導入による製品ミックス改善及び費用削減により170億円の改善で△87億円
  • ・音楽分野は、円安に加え、音楽制作でのデジタル配信売上及び最近のリリース作品の好調により前年同期比14.6%増の2,269億円
    営業損益は、最近リリースの作品の好調により53億円の増益で204億円
  • ・金融分野は、ソニー生命の特別勘定の運用損益の大幅改善により前年同期比16.8%増の4,976億円
    営業損益は、ソニー生命の一般勘定の運用益改善などにより264億円の増益で852億円
  • ・ゲーム分野は、PS2やPS3及びPSPのハードウェアが減収したものの、円安とPS3のソフトウェアの増収などにより前年同期比2.8%増の2,736億円
    営業損益は、PS4導入に向けた研究開発費増加及びVitaの戦略的価格改訂の影響により143億円の悪化で△155億円
  • ・映画分野は、劇場興行及び映像ソフト収入が減少したものの、円安及びインドや米国テレビでの広告収入増加により前年同期比0.4%増の3,367億円
    営業損益は、音楽出版からログの売却益があったものの、劇場興行と映像ソフト収入の減少、米国テレビ向け番組制作費の増加などにより170億円の減益で△140億円
  • ・イメージングプロダクツ&ソリューション(IP&S)分野は、市場縮小によるビデオカメラやコンパクトデジタルカメラの減収により前年同期比8.2%減の3,564億円
    営業損益は、ビデオカメラの減収により80億円の減益で68億円
  • ・デバイス分野は、ゲーム向けシステムLSIの減収とケミカルプロダクツ関連事業の売却により前年同期比13.5%減の4,043億円
    営業損益は、タイ洪水による損害の保険収益減少に加え、前年同期にケミカルプロダクツ関連事業の売却益が計上されていたことにより229億円の減益で227億円

なお今回初めて、映画や音楽の分野別売上高や作品別の興行収入などを開示しています。

  • ・映画分野の内訳は、映画製作が1,687億円、テレビ番組制作が853億円、テレビ局などメディアネットワークが824億円となっています。
  • ・音楽分野の内訳は、制作が1,587億円、楽曲のライセンスなどの出版が308億円、アニメーション作品の制作など映像メディアプラットフォームが323億円となっています。
その他

スマートフォンを除く主なエレトロニクス製品の年間見通しを前回予想から下方修正し、ゲーム機は据置型と携帯型の両方とも上方修正しています。

  • ・ビデオカメラは230万台(前年度370万台)と前回予想を20万台下方修正
  • ・デジタルカメラは1,200万台(同1,700万台)と前回予想を50万台下方修正
  • ・スマートフォン4,200万台(同3,300万台)と前回予想を維持
  • ・パソコンは580万台(同760万台)と前回予想を40万台下方修正
  • ・液晶テレビは1,400万台(同1,360万台)と前回予想を100万台下方修正
  • ・据置型(PS3、PS2)は1,500万台(同1,650万台)と前回予想を500万台上方修正
  • ・携帯型(Vita、PSP)は500万台(同700万台)と前回予想を200万台上方修正

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パナソニック

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売上高、営業損益、純損益

売上高、営業損益、純損益の全指標で、前年同期を上回っています。

  • ・売上高は、前年同期に対して681億円(1.9%)増の3兆7,063億円となっています。
    国内通信事業者向けスマートフォンの新製品開発中止やヘルスケア事業の譲渡に加え、薄型テレビなどのデジタルコンシューマー関連事業が減収したものの、グローバルでの市場回復による車載関連事業の伸長と国内住宅関連事業の堅調、円安効果が寄与しています。

    なお海外売上比率は、51.8%となっています。
  • ・営業損益は、前年同期に対して592億円増の1,466億円となっています。
    固定費削減や合理化に加え、円安効果が寄与しています。
セグメント別

セグメント別では、2部門が増収増益、1部門が増収減益、1部門が減収減益となっています。

  • ・エコソリューション部門は、国内での消費税増税前の駆け込み需要でエナジーシステムやハウジングシステム事業の販売好調により前年同期比7%増の8,557億円
    営業損益は、円安のマイナス影響があったものの、販売増及びコスト削減などにより217億円の増益で414億円
  • ・オートモーディブ&インダストリアルシステムズ部門は、海外自動車生産の好調と円安効果により前年同期比6%増の1兆3,559億円
    営業損益は、販売増により302億円の増益で582億円
  • ・アプライアンス部門は、中国での家庭用エアコンの販売が減少したものの、円安効果により前年同期比5%増の6,104億円
    営業損益は、合理化やコスト削減を推進したものの、円安のマイナス影響により115億円の減益で172億円
  • ・AVCネットワーク部門は、テレビやデジタルカメラ及び携帯電話などのデジタルコンシューマー関連事業の販売不振により前年同期比9%減の7,554億円
    営業損益は、パネル事業は改善したものの、販売減少により33億円の悪化で△165億円
その他

中期計画では、2019年3月期に「自動車関連」「住宅関連」「家電」の3本柱として、各売上高を2兆円まで引き上げる計画としています。

その一環として、今回トルコの配電器具大手のヴィコ(2013年12月期売上高約150億円)を約460億円での買収を発表しています。
手薄な中東などで同社の販路を活用して、配電器具に加え照明や換気扇などの展開を見込んでいます。

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シャープ

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売上高、営業損益、純損益

売上高、営業損益、純損益の全指標で、前年同期を上回っていますが、純損益は依然赤字となっています。

  • ・売上高は、前年同期に対して2,379億円(21.5%)増の1兆3,420億円となっています。
    スマートフォンのラインナップ拡充、国内市場向け太陽電池、モバイル端末向け中小液晶パネルや高性能カメラの販売好調が寄与しています。

    なお海外売上比率は、59.4%となっています。
  • ・営業損益は、前年同期に対して2,027億円増の338億円となっています。
    人件費を中心とした固定費や総経費の削減、設備投資の抑制などによるものです。
セグメント別

セグメント別では、2部門が増収増益、1部門が増収減益、1部門が減収減益となっています。

  • ・プロダクトビジネスの売上高は、前年同期比13.2%増の8,211億円
    デジタル情報家電は、液晶カラーテレビの販売が欧米で低迷したものの、国内及び新興国で伸長、携帯電話は海外メーカーとの競争激化で減収したことにより前年同期比1.1%減の3,345億円
    健康環境は、エアコンや冷蔵庫などの販売好調により前年同期比3.2%増の1,598億円
    太陽電池は、国内の住宅用及びメガソーラーなどの産業用の販売伸長により前年同期比80.8%増の1,682億円
    ビジネスソリューションは、国内外でのカラー複合機の好調に加え、米国でのインフォーメーションディスプレイの伸長により前年同期比14.1%増の1,584億円
  • ・デバイスビジネスの売上高は、前年同期比37.4%増の5,208億円
    液晶は、スマートフォンやタブレット端末向けの中小液晶パネルに加え、大型液晶パネルの好調により前年同期比46.0%増の3,938億円
    電子デバイスは、スマートフォン向けカメラモジュールセンサー、LEDの販売伸長により前年同期比16.2%増の1,269億円
その他

主な製品の年間販売見通しは、以下の通り前回予想を据え置いています。

  • ・液晶カラーテレビは800万台(前年度803万台)
  • ・携帯電話は550万台(前年度611万台)

資金面では、シンジケートローン3,600億円の契約更改を行うとともに、追加資金枠1,500億円の設定資金枠を締結し、9月の無担保転換社債型新株予約権付社債の償還を完了しています。

2013年度第2四半期決算と通期予想

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電機各社の決算発表

富士通 株式会社

日本電気 株式会社

株式会社 日立製作所

株式会社 東芝

ソニー 株式会社

パナソニック 株式会社

三菱電機 株式会社

シャープ 株式会社

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