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先週にかけて国内電機大手の株主総会が開催され、各社2012年度決算内容及び今後の回復への期待を込めた厳しい質疑が展開されました。
そこで、電機大手8社の2012年度(2013年3月期)決算から、営業利益に対する為替影響と海外売上構成について各社の状況を整理します。
昨年からの円安傾向における営業利益への影響は、輸出が多い自動車業界8社合計で約2,500億円の効果があったのに対し、早くから工場の海外移転などの円高対策を講じていた電機大手8社の合計は38億円の効果にとどまっています。
グローバル競争で勝っていける製品の開発に加え、進出先の社会情勢や為替変動を考慮した海外展開など、電機各社の復活は今後の舵取りにかかっています。
2012年度の営業利益と為替影響、主な生産海外移転
営業利益 | 為替の影響 | |
---|---|---|
NEC | 1,146億円 | 30億円 |
スマートフォンの国内生産を打ち切り | ||
富士通 | 952億円 | △50億円 |
日立製作所 | 4,220億円 | 200億円 |
テレビの国内生産を打ち切り | ||
東芝 | 1,943億円 | 20億円 |
インドに火力発電用大型タービン工場建設 | ||
テレビの国内生産を打ち切り | ||
ソニー | 2,301億円 | △192億円 |
携帯電話の国内生産を打ち切り | ||
パナソニック | 1,609億円 | 30億円 |
中国にリチウムイオン電池の新工場を建設 | ||
インドとブラジルに白物家電の新工場を建設 | ||
三菱電機 | 1,520億円 | 非表示 |
シャープ | △1,462億円 | 0億円 |
中国にカラーコピー機の新工場を建設 |
電機各社の海外売上構成
各社の中期計画を見ても、社会インフラや製品など各社の注力事業は異なりますが、各社とも新興国を中心として積極的な海外展開を計画しています。
しかし、これまでも議論されてきたように、国内モデルの改良を海外へ展開するのではなく、各地域の社会情勢や生活スタイルに応じた製品を開発し、地域に根付いた展開をすることが必要です。
各社の復活を期待しています。
NEC
- ・海外売上比25%を早期実現を目指す
社会ソリューション事業へ集中し、アジアに注力
グローバル5極体制を進化させ、現地手動型ビジネス展開を加速
富士通
日立製作所
- ・2012年度41%→2015年度50%
- 新興国 欧米 国内
2012年度 25% 16% 59%
2015年度 32% 18% 50%
東芝
- 新興国 欧米 国内
2011年度 24% 31% 45%
2014年度 32% 33% 35%
ソニー
パナソニック
三菱電機
- ・『グローバル環境先進企業』を目指して、海外売上比率40%への挑戦
環境・エネルギー、社会インフラ、グローバル展開
- ・地域戦略
中国:拠点間連携・事業間連携による総合力の発揮
インド:強い事業を核にした成長市場開拓
タイ:グローバル供給拠点の更なる強化、成長市場のニーズをとらえた市場戦略立案/販売体制構築
新興国(トルコ、メキシコ、インドネシア、インド、ブラジル)
更なる成長に向けた事業間連携の強化と新たな事業機会の開拓
シャープ
- アジア 中近東 中国 米州 欧州
2012年度 21% 4% 20% 38% 17%
2015年度 31% 8% 22% 29% 10%
参考:電機各社の決算発表
参考:当サイト
富士通とNECの2012年度通期(2013年3月期)決算、富士通は5期連続の減収、NECは増収増益で3期ぶりの最終黒字
2013年5月21日 当サイト
国内電機各社の2011年度(平成23年度)決算にみる各社の海外売上
2012年5月16日 当サイト
電機とITの決算 ≫ 2012年度決算にみる国内電機各社の海外売上
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