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今週、国内の主要電機8社が、2010年4~6月期決算を発表しました。
NEC、富士通、日立製作所、東芝、ソニー、パナソニック、三菱電機、シャープの電機8社の6月期決算と今年度予想を整理し、同じような事業構造の富士通とNECを比較してみました。
以前、「2004年度の電機6社の決算」「富士通とNECの比較」をまとめた時に比べ、市場環境も各社の状況も変わっています。
参考
2005.3.3 国内 の主要電機6社業績と動向
2005.3.4 富士通とNECの比較
国内電機8社の2010年4~6月期決算
液晶テレビや半導体などの主力製品が国内外で好調に加え、前期に実施した人件費削減などのの合理化効果で、NECを除く各社が最終損益が黒字に転換しています。
今年度末の業績予想については、ソニー・パナソニック・三菱電機の3社が上方修正していますが、その他の企業は欧米景気の先行き不透明感のため、慎重な姿勢をとっているようです。
同じような事業構造である富士通とNECを比較してみると
・富士通は、全セグメントで黒字のスタート
・NECは、社会インフラ以外の全セグメントで赤字
富士通は先行してきた改革の成果が出てきた感がありますが、NECは改革途中ではあるものの当初目標は達成してるようです。
富士通
売上高は前年同期比0.3%増の1兆472億円と横ばいでしたが、営業利益は同471億円増の100億円の増益でした。
当初計画を上回り、全セグメントで黒字スタートを切ることになりました。
情報通信事業の「テクノロジーソリューション」分野の売上高は、前年同期比1.0%減の6657億円、営業利益は同199億円増の85億円となっています。
国内市場は需要を取り戻しつつありますが、海外市場が厳しい状況のようです。
特に、他社と同様に円高の影響を受けている上、英国の政府向け商談が止まっているようです。
同時に2010年4~9月期(第2四半期)の予想を変更しています。
為替の影響で、売上高を当初予想の2兆2,000億円から2兆1,800億円に減額しました。
一方営業利益は、当初予想の250億円から350億円に増額しました。
「ネットワークプロダクト」と「電子部品」事業で、当初の計画値を上回っいることが要因と考えます。
NEC
売上高は、前年同期比14.2%減の6,675億円という結果でした。
営業損益は前年同期から168億円改善したものの232億円の赤字、また経常損益は同46億円改善し405億円の赤字でした。
純損益は、同93億円悪化して431億円の赤字となっています。
売上高が減少し、営業損益・経常損益の赤字が改善した主な要因は、NECエレクトロニクス(現ルネサスエレクトロニクス)が連結子会社でなくなったことです。
売上高では目標未達のセグメントもいくつかありますが、営業損益ではキャリアネットワークが未達で終わった程度で、プラットフォーム事業と社会インフラ事業が伸長傾向にあり、全体では当初目標は達成しているようです。
ITサービス事業
市場が引き続き投資抑制傾向にあるためか、売上高が前年同期比3.8%減。
営業損益も、クラウド関連の投資額を増やした結果、51億円悪化の57億円損失となっています。
プラットフォーム事業
仮想化によるシステム統合案件やセキュリティ案件が牽引しており、売上高8.3%増加し、営業損益はコスト削減の効果もあり、97億円改善して44億円損失となっています。
キャリアネットワーク事業
NGNへの投資一巡や海洋システムの契約遅れなどの影響により、売上高17.6%減少し、営業損失も65億円悪化の60億円損失となっています。
社会インフラ事業
交通・消防などが堅調で売上高2%増加し、営業損益はコスト削減効果により10億円改善し3億円利益となっています。
パーソナルソリューション事業
携帯電話機器が競争激化のあおりを受けて減収となった一方で、高付加価値PCが好調でトータルの売上高は 0.7%減となっています。
営業損益は、携帯電話の売上減や、LifeTouchなどの新端末開発費用の増加が響き、93億円悪化の4億円損失となっています。
2010年は中期経営計画「V2012」に向けた最初の年となっていますが、注力領域に挙げている「クラウド、グローバル、新規事業」の取組み結果が、今後のNECを左右しそうです。
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