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主要先進国の財政健全化見通しとユーロ圏各国の財政赤字を整理してみました。
特に日本は、6月18日に閣議決定された「新成長戦略」で掲げた目標値は、
2020年までに、
- ・計123兆円の新規市場と約500万人の雇用を創出
- ・名目の国内総生産(GDP)成長率を平均3%超、実質成長率を2%超に引き上げ
としています。
また、内閣府試算の概要(「経済財政の中長期試算」(平成22年6月22日内閣府))の成長戦略シナリオでも同様の成長率を目標としています。
しかし過去の実績を見ても、GDPの名目成長率が3%を上回ったのは1991年の4.9%で、それ以降一度も上回ったことがないことからすると、この成長率はかなり高い目標値だと思います。
また、主要先進国の資料による財政健全化見通し(財政収支対GDP比)と改善幅(年平均)は、以下の通りとなっています。
(参照:日本の財政関係資料 平成22年8月)
アメリカ :▲ 9.9%(2009年) ⇒ ▲4.2%(2013年) 約1.4%/年
イギリス:▲10.1%(2010年) ⇒ ▲1.1%(2015年) 約1.8%/年
フランス:▲ 8.0%(2010年) ⇒ ▲3.0%(2013年) 約1.6%/年
ドイツ :▲ 5.5%(2010年) ⇒ ▲3.0%(2013年) 約0.8%/年
イタリア :▲ 5.0%(2010年) ⇒ ▲2.7%(2012年) 約1.2%/年
カナダ :▲ 3.1%(2010年) ⇒ ▲0.1%(2014年) 約0.8%/年
日本 :▲ 6.4%(2010年) ⇒ ▲3.2%(2015年) 約1.0%/年
⇒ 0.0%(2020年) 約3.8%/年
また2010年4月22日に欧州統計局が公表した、昨年のユーロ圏16ヶ国の財政赤字は以下の通りで、ギリシャに友好的態度を示しているフランスは5位の7.5%で、逆に厳しい態度のドイツは3.3%となっています。
1位 アイルランド :14.3%
2位 ギリシャ :13.6%
3位 スペイン :11.2%
4位 ポルトガル : 9.4%
5位 フランス : 7.5%
6位 スロバキア : 6.8%
7位 キプロス : 6.1%
8位 ベルギー : 6.0%
9位 スロベニア : 5.5%
10位 イタリア : 5.3%
11位 オランダ : 5.3%
12位 マルタ : 3.8%
13位 オーストリア : 3.4%
14位 ドイツ : 3.3%
--------------------------------- ⇔ マーストリヒト条約:3.0%以内
15位 フィンランド : 2.2%
16位 ルクセンブルク: 0.7%
その他トピックス
1.イギリスが6月22日に発表した緊急予算案
- ・付加価値税の基本税率を2011年1月に2.5%上げ20%とする。
- ・銀行新税などの増税策と福祉給付抑制などの歳出削減を組合せ、2010年度に10%を超える財政赤字のGDP比率を15年までに1%に下げる。
2.アイルランド中銀が7月30日に発表した四半期報告
- ・国有化された2銀行の救済費用を含む2010年の財政赤字が、対国内総生産(GDP)で18.7%に達する見通し。
※マーストリヒト条約
財政赤字は、単年度で対GDP3%以内、累積で60%以内
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