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前々回は「世界の人口の変化」、前回は「日本の人口の変化」について、公開されている情報を利用して整理しました。
今後も増加し続けるアジア地域(2050年ごろから減少傾向)とアフリカ、これに対して日本はすでに減少過程にあり、今後は順位が大きく低下していく見込みです。
日本は、「少子高齢化」と「人口減少」の同時進行というかつて経験したこのない局面の中で、個人も企業も政府も発想を転換し、新たな社会システムを作り上げていかなければなりません。
そこで今回は、世代の構成と変化について、世界及び主要国の人口構成(人口ピラミッド)の変化を整理します。
データは、前々回と同じ国際連合経済社会局人口部が発表している「人口推計の2010年改訂:World Population Prospects, the 2010 Revision」の中位値(MEDIUM)を使用しています。
2025年の人口構成予測
今から13年後の2025年は、以下の人口構成になると予測しています。
- ・中国では、1979年に始まった「一人っ子政策」以降の世代(「80後」世代とも言う)が46歳となり、労働力の中心を担っています。
- ・アメリカでは、「X世代(1965~79年生まれ)」が46~60歳、「Y世代(1980~95年生まれ)」が30~45歳となり、労働力の中心を担っています。
- ・日本では、「団塊世代」は76~78歳で元気で活躍されている方もいらっしゃるかもしれませんが、「団塊ジュニア世代」が51~54歳となり現役で活躍し、その下で「ゆとり世代」が38歳にさしかかり労働力の中心を担っていく世代となります。
20~64歳人口と全人口に対する割合
しかし、2025年の「20~64歳人口と全人口に対する割合」では、
- ・人口でも割合でも中国やインドが圧倒しており、労働力にも勢いがあると想定できます。
- ・アメリカにしても、割合は減少傾向にありますが、人口では増加していますので、勢いは衰えないと想定できます。
- ・日本は、51.6%(2010年は58.2%)とかろうじて半数を上回る程度までに減少します。
- ・高齢者(65歳以上)を支える人数を試算(高齢者数20~64歳人口)すると、中国で4.7人、インドで8.6人、アメリカで3.0人に対し、日本は1.6人(厚生労働省の試算では1.8人)という構図になります。
人口構成の変化
さらに国別に1950年、2010年、2050年、2100年の人口構成の変化を確認すると、以下の通りとなっています。
中国の人口構成の変化
- ・「一人っ子政策」が1979年に始まり、以降の1980年代生まれの世代を「80後」とも言われています。
- ・「80後」世代は、現代的な高等教育を受けた最初の世代であり、中国が近代化に向けた転換期を目の前にして育ってきた世代です。
- ・2010年は「80後」世代が31歳となり、国内ではインターネットを利用するなど最先端技術で時代をリードする存在になっているとの評価もあります。
- ・2050年には「80後」世代は71歳に達し、労働の中心は「80後」世代から「90後(1990年代生まれ)」世代の人たちに移ります。
- ・「一人っ子政策」の負の現象の一つとして、男女の人口バランスが崩れていることが指摘されています。
この状況につきましては、改めて整理する予定です。
インドの人口構成の変化
- ・2023年ごろには、中国を抜いて世界第1位の人口になる見込みです。
- ・人口の増加は、ウッタル・プラデーシュ州やムンバイなどの一部の地域や都市の過密状態を加速したり、新たに数億人規模で貧困層を生み、貧困層の経済的不安定がさらに人口増加につながるなどの懸念もあります。
- ・一方では、生活環境や教育などに政策的に対応することにより、人口増加は経済成長を支える起爆剤となるとの見方もあります。
アメリカの人口構成の変化
- ・1945~64年頃の生まれを「ベビーブーム世代」、1965~79年頃の生まれを「X世代」、1980~95年頃の生まれを「Y世代」、1995年以降の生まれを「Z世代」と言われています。
- ・2010年は、「ベビーブーム世代」が46~65歳、「X世代」が31~45歳、「Y世代」が15~30歳となります。
なお、「Y世代」の特徴につきましては、書籍『ワーク・シフト』で紹介されている事項を後述しておきます。
- ・2050年には、「X世代」が71~85歳、「Y世代」が55~80歳となり、労働の中心は「Z世代」になります。
日本の人口構成の変化
- ・1947~49年生まれを「団塊世代」、1971~74年生まれを「団塊ジュニア世代」、1987年以降の生まれを「ゆとり世代」と言われています。
- ・2010年は、「団塊世代」が61~63歳となり定年を迎え、「団塊ジュニア世代」が36~39歳で企業においては中心的な存在となっています。
- ・2050年には、「団塊ジュニア世代」は76~79歳、「ゆとり世代」が63歳となり定年を迎える年になります。
世界の人口ピラミッド
これまでのまとめ
南アジアは世界最大の人口を誇る地域となる。
- ・当面は世界1位が中国で同2位がインドという順で進んでいきますが、2023年ごろにはインドが中国を抜いて世界1位となると予測されています。
- ・またパキスタンやバングラデシュも人口が増加し、パキスタンはブラジルやインドネシアを抜いて世界4位になると予測されています。
アフリカも人口が増加する地域として際立ってくる。
- ・現在は世界7位のナイジェリアが最上位ですが、2100年にはナイジェリアが同3位に、タンザニアとコンゴ民主共和国が同10位以内に入ると予測されています。
- ・2010年から2100年までの人口増加率では、世界全体で46.8%増ですが、タンザニア、ウガンダ、ナイジェリア、コンゴ民主共和国などのアフリカ諸国は100%(2倍)以上の増加すると予測されています。
先進国は、人口減少が進む。
- ・アメリカは人口増加率が目立っていますが、ヒスパニック系の出席率が高いのが影響しているようですので、これまでと同様とは言えないかもしれません。
- ・ヨーロッパでも、ドイツ、イタリア、そしてロシア、ウクライナなども人口が減少すていくと予測しています。
- ・東アジアの日本、中国、韓国も、少子高齢化の影響で人口は減少すると予測しています。
日本は、「少子高齢化」と「人口の減少」が同時進行
日本は、「少子高齢化」と「人口の減少」が同時進行で急速に進んでいきます。
厚生労働省「社会保障制度を取り巻く環境と現在の制度」の人口ピラミッドの変化を見ても、高齢者(65歳以上)一人支える20~65歳は、2010年で2.6人なのに対し、2025年では1.8人、2060年では1.2人となります。
この様な予測となっている中、個人も企業も政府も発想を転換し、新たな社会システムを作り上げていかなければなりません。
特に企業においては、付加価値重視の経営に転換していくことが必要となりますが、その中で、私たち、さらには子供たちや孫たちの世代には、働き方も変えていかなければなりません。
本日10月1日は「国際高齢者デー(International Day of Older Persons)」です。
国連人口基金から、「21世紀の高齢化:祝福すべき成果と直面する課題」と題する報告書が世界に向けて発表されたそうです。
次回は、「主要国の平均寿命の変化」について、整理する予定です。
参考
書籍『ワーク・シフト 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図』
リンダ・グラットン(著)、池村 千秋(翻訳) 、出版社:プレジデント社(2012/7/28)
本書で紹介されている「Y世代」の特徴(2025年には、45~60歳)
- ・それ以前のどの世代よりも、長い思春期を経験した世代。
- ・以前の世代よりも、経済のグルーバル化を明確に理解している世代。
- ・コスモポリタン化したライフスタイルの世代。
- ・本当の意味で、世界中の人々が結びついた世代。
- ・バーチャルなコミュニティを舞台に活動する世代。
- ・学習と成長の機会が得られることに、仕事での重きを置く世代。
- ・協力志向が高い世代(ベビーブーム世代:競争意識が高い)
- ・短期志向で、プロジェクト単位で働く意識が強い世代
(X世代:長期志向で、キャリア全体の事を考えて勤める)
参考:世界の人口に関する主なサイト
国際連合経済社会局人口部
「World Population Prospects, the 2010 Revision」
・Home
・Tables in EXCEL-Format Mortality
・On-line Database Detailed Indicators
・Population by age groups and sex (absolute numbers)
厚生労働省
・社会保障改革 社会保障制度を取り巻く環境と現在の制度
人口ピラミッドの変化 [240KB]
≫ ワーク・シフトの要因「人口構成の変化と長寿化」を調べてわかったこと
2012.9.27 世界の人口の変化
2012.9.28 日本の人口の変化
2012.10.1 世界及び主要国の人口構成(人口ピラミッド)
2012.10.2 主要国の平均寿命と高齢化の推移
2012.10.5 主要国の男性割合、中国の婚期(20~39歳)人口の変化
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