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先日、「世界及び主要国の人口構成(人口ピラミッド)」の変化を整理しました。
今回は、「総人口に対する男性人口の割合変化」を確認し、特に「中国の婚期(20~39歳)男女人口の変化」について整理します。
使用するデータは、前回と同じ国際連合経済社会局人口部が発表している「人口推計の2010年改訂:World Population Prospects, the 2010 Revision」の中位値(MEDIUM)です。
総人口に対する男性人口の割合変化
「総人口に対する男性人口の割合変化」は、以下の通りの予測となっています。
- ・中国は、2020年ごろまで約52.0%程度で、以降減少していきます。
2010年:51.9%→2025年:51.7%→2050年:51.0%→2100年:50.5%
- ・インドは、1965年前後に52.2%で最大となり、以降減少して2098年ごろには50.0%を下回る予測です。
2010年:51.7%→2025年:51.4%→2050年:50.8%→2100年:49.9%
- ・アメリカは、一時期(1980~2005年)49.0%を下回りますが、以降大きな変化なく49.0%台を維持していくと予測しています。
2010年:49.0%→2025年:49.5%→2050年:49.4%→2100年:49.3%
- ・日本は、1990年ごろに49.0%を下回り、以降減少して2035年ごろに47.0%となり、再度増加に転じると予測しています。
2010年:48.1%→2025年:47.4%→2050年:47.1%→2100年:48.0%
この中で中国は、一見大きな変化はないように見えますが、婚期(20~39歳)男女の人口変化を確認すると、興味深い傾向がありました。
中国の婚期(20~39歳)男女人口の差
中国の婚期(20~39歳)男女人口の差が、2031年に最大の約3,055万人に!
男性の人口が、女性の人口を最大の約3,055万人上回ると予測しています。
- ・男女差は、2018年ごろに約2,000万人に開いて、その差は2031年の約3,055万人まで広がり、2050年ごろに再び約2,000万人に狭まる予測です。
- ・男女合わせた人口は、2020年の約4億1,548万人から2045年までに約2億9,262万人まで減少する予測です。(25年間で対2020年の30%、約1億2,000万人減)
勝手な想像ですが、結婚できない男性が大量に出る可能性があります。
さもなければ、高齢での結婚、もしくは海外の女性との結婚ということになるかもしれません。
前回も触れましたが、1979年に始まった「一人っ子政策」の負の影響の一つです。
就職できない男性が増加
さらに別の意味においても、婚期を逃す可能性もあると考えています。
それは、就職できない男性が増加していることです。
高度な人材養成という理念の基で、1996年以降に4年制大学、短大、高等専門学校などの高等教育機関を国が増やし、その結果学生も増加してきましたが、新卒者を受け入れるほどまでに産業側が追いついていない状況です。
【参考】
- ・学校数:1998年約1,000校 → 2008年約1,800校
- ・進学率:2008年約23%(日本:2007年で約54.6%)
- ・新卒者:1998年約108万人 ⇒ 2009年約611万人(日本:約65万人)
- ・普通大学志願者数:2011年約933万人(平均合格率72.3%)
(2010年は約957万人、平均合格率は68.7%)
- ・高校卒での留学:2012年約43万人(近年、毎年20%以上の伸び率)
これから1990年代生まれの人たちの「90後」が、大学を卒業していきます。
その数は約680万人(2011年約660万人)で、以前からの就職浪人を合わせると、その数は約1,000万人に達するとも言われています。
この様な状況の中、現在の中国は製造業が未だ中心であり、高等教育を受けたプライドの高い人たちが就職を希望する「ホワイトカラーの職種」や「サービス産業」が拡大していくには、もうしばらく時間を要しますので、この人材需給のミスマッチは今後も大きくは変わらないと考えています。
日本は、人口変化から見ると男女差は大きな変化なし
一方日本は、人口変化から見ると男女差も大きな変化なく推移していきます。
- ・男女差は、1999年ごろに約50万人を超えて2010年ごろの約63万人まで広がり、2050年ごろに約50万人を下回わる予測です。
- ・男女合わせた人口は、1999年の約3,492万人を境に2025年までに約2,441万人まで減少する予測です。(約25年間で対1999年の30%、約1,000万人減)
日本では、女性の社会進出、草食男子の増加など、さらには結婚観が変わり、婚期の高齢化や独身者の増加が危惧されており、中国とは別の意味で心配な面もあります。
この様に中国は、「一人っ子政策」の影響による大量の男性(同世代の女性不足)、高等教育は受けたものの就職できない状況の中、結婚できない男性が大量に出てくる時代が想定できます。
「90後」の世代は「先進的、個性的、反抗的、自己中心的」などとも言われ、就職に対する価値観も変わってきているようです。
そうなると、能力のある男性、あるいは富裕家庭に生まれた男性に限らず、多くの中国出身の男性が他国で働き、その国の女性と結婚して家庭を持つ状況が増えていくかもしれません。
日本男性も、がんばらないといけません。
参考
書籍『ワーク・シフト 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図』
リンダ・グラットン(著)、池村 千秋(翻訳) 、出版社:プレジデント社(2012/7/28)
参考:世界の人口に関する主なサイト
国際連合経済社会局人口部
「World Population Prospects, the 2010 Revision」
・Home
・Tables in EXCEL-Format Mortality
・On-line Database Detailed Indicators
・Population by age groups and sex (absolute numbers)
厚生労働省
・社会保障改革 社会保障制度を取り巻く環境と現在の制度
人口ピラミッドの変化 [240KB]
≫ ワーク・シフトの要因「人口構成の変化と長寿化」を調べてわかったこと
2012.9.27 世界の人口の変化
2012.9.28 日本の人口の変化
2012.10.1 世界及び主要国の人口構成(人口ピラミッド)
2012.10.2 主要国の平均寿命と高齢化の推移
2012.10.5 主要国の男性割合、中国の婚期(20~39歳)人口の変化
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