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先日ご紹介した書籍『ワーク・シフト(WORK SHIFT) 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>』の中で、「働き方に大きく影響する『5つの要因(32の要素)』」が紹介されていました。
この内、「要因3.人口構成の変化と長寿化」は、他の要因に対しても、自分たちや子供たちや孫たちの働き方、さらには生活に対しても密接に関わると思いますので、公開されているデータを利用して整理しました。
今回は「世界の人口の変化」について整理し、次回以降では「日本の人口の変化」「世界及び主要国の人口構成(人口ピラミッド)」「主要国の平均寿命」について整理する予定です。
なお、ここでは、あくまでも大きなトレンドを確認することを目的としています。
過去の人口を含めて、世界の総人口を推定することは困難と言われており、関係機関や研究者によって数値の違いがあることはご承知おきください。
今回使用したデータは、国際連合経済社会局人口部が発表している「人口推計の2010年改訂:World Population Prospects, the 2010 Revision」の中位値(MEDIUM)です。
国連は2年ごとに将来人口推計を発表しており、今回使用したデータは2011年5月に発表されたのもです。
今回の発表では、初めて将来予測を2100年まで拡大しており、2100年の世界人口は101億2,493万人、2083年には100億人、2043年には90億人、2025年には80億人を越えると予測しています。
そして、70億人を超えたのは2012年と推計していますが、
- ・国連人口基金(UNFPA)の2011年版「世界人口白書」では2011年10月31日に到達したと推計し、
- ・アメリカ国勢調査局の推計では2012年3月12日ごろ
としています。
2050年の世界人口の予測
また、2050年の世界人口の予測について、前回予測(2008年改訂)と前々回予測(2006年改訂)と対比すると、以下の通り若干の増加となっています。
2010年改訂:93.1億人、2008年改訂:91.5億人、2006年改訂:91.9億人
予測によれば、中国は2027年(14億3,051万人)、インドは2062年(17億1,871万人)を超えてからは減少に転じています。
強権的な手法で「一人っ子政策」を開始した中国、近代的不妊手術を無料で行っているインドですが、2010~15年の6年間の合計特殊出生率の予測値は中国が1.6でインドが2.5となっており、成果もあがっているかのように見受けられます。
しかし、この様な急激な人口抑制策は確実に超少子高齢化時代を招くので、どのような対策を講じていく予定なのか疑問に感じます。
- ・アジア地域の人口は、2050年ごろから減少に向かうと予測されていますが、
- ・アフリカの人口は依然増加を続け、2010年約10億人(全体の15%)から2050年には約22億人(同24%)、2100年には36億人(同35%)に達する見込みです。
アフリカの人口増加の背景には、貧困や伝統的な女性差別、乳児死亡率の高さなど、多くの社会的課題があるようですので、世界の国々の協力も含めた総合的な対策を講じていく必要があると考えます。
最後に、2011年版「世界人口白書」に『70億人の世界、7つの課題』が記述されていますので、ご紹介しておきます。
世界人口が70億人を超え、今後も増え続けていくことが予測される中、今後取り組んでいかなければならない解題が提言されています。
現代に生きている私たちが、これからの子供たちや孫たちの時代に備えて、全世界に向けて取り組んでいくことが必要です。
70億人の世界、7つの課題
いま、私たち一人ひとりが協力するとき
人類にとって節目となるこの出来事は、重要な挑戦(challenge)であると同時に機会(opportunity)でもある。1.貧困と不平等:悪循環を断ち切るために
貧困と不平等の撲滅が人口増加を緩和する。2.女性と少女:エンパワーメントが発展を促す
女性と少女への抑圧をなくすことがあらゆる面の発展を加速する。3.若者:未来への原動力
エネルギーに満ち溢れ、新しいテクノロジーに対し柔軟な若い世代がグローバルな政治と文化を形成する。4.リプロダクティブ・ヘルス/ライツ:すべての命を守るために
すべての子どもが望まれて生まれ、出産が安全なものであれば、家族はより小さな規模になり、より強くなる。5.環境:地球環境の保護が、私たちの生活を支えていく
私たち一人ひとりの生活は、地球環境によって左右される。だからこそ、環境を守らなければいけない。6.高齢化:前例のないチャレンジ
高齢者の健康を守り、生産性を高めることにより、高齢化社会の抱える様々な課題を軽減できる。7.都市化:これから都市はますます大きくなる
これから増える20億人が都市に住む可能性に備え、計画する必要がある。
『ワーク・シフト(WORK SHIFT) 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図<2025>』
リンダ・グラットン(著)、池村 千秋(翻訳) 、出版社:プレジデント社(2012/7/28)
働き方に大きく影響する「5つの要因」
要因1.テクノロジーの進化
要因2.グローバル化の進展
要因3.人口構成の変化と長寿化
要因4.社会の変化
要因5.エネルギー・環境問題の深刻化
要因3.人口構成の変化と長寿化
要素1.Y世代の影響力が拡大する。
要素2.寿命が長くなる。
要素3.ベビーブーム世代の一部が貧しい老後を迎える。
要素4.国境を越えた移住が活発になる。
参考:世界の人口に関する主なサイト
国際連合経済社会局人口部
「World Population Prospects, the 2010 Revision」
・Home
・Tables in EXCEL-Format Population
国連人口基金(UNFPA) 東京事務所
・Home
・2011年版「世界人口白書」、国連人口基金(UNFPA)、2011年10月26日
アメリカ国勢調査局
・Home
≫ ワーク・シフトの要因「人口構成の変化と長寿化」を調べてわかったこと
2012.9.27 世界の人口の変化
2012.9.28 日本の人口の変化
2012.10.1 世界及び主要国の人口構成(人口ピラミッド)
2012.10.2 主要国の平均寿命と高齢化の推移
2012.10.5 主要国の男性割合、中国の婚期(20~39歳)人口の変化
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