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かつて、国内コンピュータメーカが用意した大型汎用機を複数顧客が使用し、CPUやディスク、プリンタ等を使用した分だけ支払っていた時があった。
当時はコンピュータが高価なもので、個別に購入することが難しかったこともあるが、大型のコンピュータを業務量の変動に応じて使用でき、その使用した分だけ支払うというサービスは、顧客にとっては効率的だったと思う。
それがオープンシステムでも、さらにオンデマンドで利用可能になってきそうだ。
しかも、ハードだけのオンデマンドではなく、データベース・ミドルソフト、Webアプリケーションまでもオンデマンドでサービスされるのは近いかもしれない。
これが、ユーティリティサービスという。
ユーティリティサービスは、大企業・中堅企業向けだけではなく、むしろ中小企業向けには最適なサービスかもしれない。
IBMは以前から、NECもストレージではユーティリティサービスを開始しているし、富士通・日立等の国内メーカも開始(もしくは発表)している。
ユーティリティサービスは先かと考えていたが、実現に向けた課題も解決しつつある。
課題
- ・ハードのグリッド・コンピューティング技術
オープン系のサーバを複数連携し、仮想的に一つのコンピュータとして使用できるようにした技術も実用段階に入りつつある。(これまでのオープン系サーバではできなかった)
- ・OS・DBMS・ミドルのライセンス
これまではCPU単位でライセンス契約が必要であったが、契約ライセンス数の範囲内であればCPUは問わない「フローティング・ライセンス」が制度化されてきている。
- ・その他、課金や顧客単位のサービスレベル確保等の仕組みをつくる必要があるが、そのうちに解決されるだろう。
現在、ユーティリティサービスを実施しているのは、主に以下のサービスがある。
- ・日本テレコム:ULTINA On Demand Platform
- ・NTTコム:AGILIT
- ・CSK:USiZE
- ・その他、IIJの「リソース・オンデマンドDCサービス」
全ての企業がユーティリティサービスを利用するとは限らないが、自社でコンピュータを導入し、管理しなければならない等の負荷が軽減されるメリットはある。
しかも無制限のハード資産をオンデマンド使用でき、使用分だけ支払うのは、かなり魅力的なはずだ。
現在は、このサービスが始まりつつある段階で、サービスを持つベンダーが優位に顧客を獲得することができる。
しかし、サービス提供者が増えて当たり前の時代になると、残されるのは価格競争のみ。
現在の電気や水道と同様に、低価格でITインフラや業務システムがオンデマンドで使用できる時代が来るだろう。
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