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先週の土曜日は、お茶の加工販売をされている中小企業を訪問しました。
以前「IT経営」セミナーに参加された社長からの依頼で、管理職以上の方々を対象とした社内勉強会の講師でした。
勉強会の目的は「ITを積極的(戦略的)に利活用することの重要性」を理解して頂くことで、当初はIT戦略企画の手順や具体的な事例をご紹介するだけのつもりでしたが、予想に反して活発な意見交換の場となりました。
議論が特に集中したのは、販路拡大でした。
現在は、イベント企画や卸売(一部小売)企業と取引されていますが、「特定の得意先に依存していたのでは、先方の影響を受けやすく限界もある」という危機感を持たれている様子でした。
そこで、「得意先を幅広く拡大するためには、IT活用が有効ではないか」という意見が出て、議論に火がつきました。
この企業も、会社案内や商品紹介等のホームページを作成されており、最近はホームページを見た企業からの問合せが増えてきたそうです。
そこで、Webによる直販売、関係サイトへのリンク、更にはメール等でプロモーションをかけたいということでした。
経営資源が限られている中小企業にとっては、販路拡大のためにインターネットを活用することは有効な手段の一つです。
そのためには、留意することが多くあることをお話しました。
インターネットという手段を使えば効率的なプロモーションができ、問合せや受注が増える可能性もあります。
しかし、受け付けた情報を、「回答という情報」や「納品する商品(物)」として変換処理するための仕組みと体制を確立しなければなりません。
入り口が大きくなっても処理能力が小さくて対応できなければ、逆に信用を失います。
リアルビジネスであれば、営業の方々が粘り強く対応されるので、お客様はすぐには離れていかないかもしれませんが、インターネットではクリック一つです。
今回の議論の中で、皆さんに課題定義しました。
そもそも貴社は、
- ・どんなお客様に商品を販売したいのですか。
- ・商品の品揃えや生産(出荷)はできますか。
- ・在庫や出荷情報等は、精度ある情報として共有できていますか。
そして、
- ・商品や業務のどこまでをWebで対応しますか。
- ・Webの仕組みを運営する体制はできそうですか。
- ・随時、Web内容を更新したり、メールを書けそうですか。
- ・お客様からの問合せ等へは、迅速に対応はできそうですか。
さらに、インターネットを利用した販売に関係する法令では、「特定商取引法」「特定電子メール法」「個人情報保護法」等への対応も重要です。
特に通信販売や電子メール(広告宣伝メール)に関しては、「特定商取引法」「特定電子メール法」が改正され、12月1日から施行されました。
これらへの対応も忘れてはいけません。
社内の仕組みや体制、そして何よりもお客様との接点を大切にする姿勢。
「企業としての戦略を再確認すべき」と皆さん理解され、今後具体的に検討されることになりました。
【参考】
- ・特定商取引法:「特定商取引に関する法律」経済産業省
- ・特定電子メール法:「特定電子メールの送信の適正化等に関する法律」総務省
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