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デジタル・リーダーシップ
ソーシャルメディア時代を生き残るコミュニケーション戦略
ポール・A・アルジェンティ、 コートニー・M・バーンズ(著)、北村 秀実(翻訳)
出版社:日本経済新聞出版社
デジタル・リーダーシップ
企業が、組織が甦る!ソーシャルメディア時代の経営指南。
危機管理、マーケティング、CSRなどの重要な経営機能は、すべて情報が左右する。
強い意志決定は、リーダーシップとコミュニケーションから生まれる。
ソーシャルメディア時代に企業が直面する課題と解決の方向性を、豊富な事例を紹介しながら示しています。
- ・ブランドと企業のレビュテーション(評判)管理をどうするか
- ・ソーシャルメディア時代に対応した、危機管理のベストプラクティスは
- ・従業員とのきずなと透明性を尊ぶ、組織文化をつくるには
- ・ステークホルダーを「自社のエバンジェリスト(熱烈な支持者)」に変えるには
- ・時差や言語の障壁を越えて、従業員とのコミュニケーションを実践するには
- ・優秀な人材を採用し、その才能を自社で発揮し続けてもらうには
- ・顧客の多様なニーズや欲求に根ざした、企業メッセージを開発するには
本著は、米国でコーポレート・コミュニケーション分野の研究や教育の第一人者であるダートマス大学タックビジネススクールのポール・A・アルジェンティ教授が、デジタル環境における企業のコミュニケーション戦略の本質を解説しています。
ソーシャルメディアの台頭で激変するビジネス環境を理解し、自社を変革・成長させたいリーダーには、コミュニケーション戦略についての課題解決に役立つ一冊です。
本著のポイント
デジタルコミュニケーションは、単に情報を伝達するための新しいチャネルの一つにとどまるものではなく、伝達したい情報コンテンツを開発する手段を誰がコントロールするのか、主体が変わるという意味で革命的である。
企業に関するメッセージをコントロールする力が企業の側からステークホルダーの側に移りつつあることを本質的に理解しなければ、企業はコミュニケーションの舵取りを誤ってしまう。
デジタル化による革命的変化を、企業がコミュニケーション活動に組み込むと、あらゆる実務の現場で従来の仕事の仕組みやルールが変わっていく。
デジタル化にともなう大きな変化を企業の脅威と見るのではなく、活用すべき機会としてとらえることが、これからのビジネスで最も重要な挑戦である。
イノベーティブなビジネスモデルの類型
エンタープライズモデル
社内で行う業務を見直しコラボレーションを通じて、より大きな価値の提供を目指し事業を特化、再構築するモデル
収益モデル
新たな価値提案と価格決定モデルを通じ、収益を生み出す仕組みを変革するモデル
インダストリーモデル
既存業界の再定義、異業種への新規参入、全く新しい業種を創造するモデル
企業にとってのWeb2.0
Web1.0の時代 | Web2.0の時代 |
---|---|
プッシュ型ビジネスモデル制約有り | プル型ビジネスモデル |
商用ソフトウェア | オープンソースソフトウェア |
顧客サービス | カスタマー・セルフサービス |
ベストセラー商品 | ロングテール |
既存メディア | ソーシャルメディア |
1対1の顧客リレーション | 顧客コミュニティリレーション |
集中型の製品開発 | 分散型の製品開発 |
従来のマーケティング:作られたメッセージを一方通行のチャネルによってコミュニ
↓ ケートされ、顧客に伝えられる。
↓
↓← 多数のデジタルチャネルが登場し、あらゆる壁が崩壊
↓ 企業にとってレビュテーションを守り、強いブランドを築くことが重要
↓
統合型マーケティング・コミュニケーション(IMC)
顧客や他のステークホルダーとのポジティブな関係性を構築するために、全ての
コミュニケーションを体系立てて管理することであり、ニーズ、動機、態度、
行動を理解した個人へのマーケティングを重視する。
・組み合わせるべき要素:顧客中心、データ主導、統合、効果的ブランド構築
・キャンペーンの構成要素:リアルタイムメディア視聴、戦略的キャンペーン、
ビロー・ザ・ライン(マスメディア以外の手段)
インターナル(組織内)コミュニケーション
環境変化対応の切り札は企業文化 = 企業の強さは従業員で決まる
- ・ブランド再構築には、結束力ある組織文化が不可欠である
- ・従業員のエンゲージメントが、ロイヤリティと変化への対応力を高める
デジタル化が、環境やCSR活動を加速する
ステークホルダーは企業責任の取り組みについての意識を高めており、社会的大儀に対するブランドのコミットメントに基づいてブランドを評価している。
ステークホルダーは、環境の視点を持った企業の活動(社会や環境、企業統治に関連した取り組み)を調べるために、頻繁にウェブに目を向けている。
企業リーダーは、正当な企業責任の取り組みについてのメッセージを、ステークホルダーに向けたコミュニケーション活動として組み込んでいくことが求められる。
デジタル社会のクライシス・マネジメント
= デジタル知らずのリーダーは、組織を滅ぼす
不測の事態を予測するだけでは不十分である。
クライシスが発生した時に、コーポレートコミュニケーション機能が、メッセージ発信をコントロールできる手腕と機会が必要である。
- ・自社の弱点を突き止め、レビュテーションへの攻撃に備える
- ・サイバー空間のクライシスを予防、管理し、軽減する
本著には多くの事例を紹介しながら、デジタルコミュニケーションの重要性について解説されています。
急速にグローバル化した市場、激動する経済、多様なステークホルダーの影響力、そしてフェイスブック、ツイッター、ユーチューブなど、様々なデジタルコミュニケーション・プラットフォームが出現しています。
企業がステークホルダーとの関係性を構築・維持するためには、全社的なコミュニケーション戦略を確立し、デジタルコミュニケーション・プラットフォームを適切に活用することが効果的です。
そのためには、企業のコミュニケーション部門が担っている全ての機能に、さらにインターナルコミュニケーションから企業としてのレピュテーションに至るまで、デジタルコミュニケーションやソーシャルメディアを適切に活用し、企業価値を向上していく取り組みが必要であると思います。
【参考】
本著で取り上げられている主な企業事例
アディダス、IBM、ギャップ、グーグル、コカ・コーラ、サウスウェスト航空、ジョンソン・エンド・ジョンソン、スターバックス、ソニーUSA、ダウ・ジョーンズ、デル、ナイキ、ニューヨーク・タイムズ、HP、BMW、フィリップスなど
原題:Digital Strategies for powerful corporate communications
2009年夏に米国で出版され、グローバル企業の経営幹部をはじめ多くのビジネスリーダーやコミュニケーション実務家から幅広い支持を得ている。
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