書籍 大前研一の新しい資本主義の論点

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20100818

大前研一の新しい資本主義の論点
-「ニューノーマル」という秩序の登場-

大前 研一(編著)
DIAMONDハーバード・ビジネス・レビュー編集部
出版社:ダイヤモンド社
大前研一の新しい資本主義の論点

世界の何が変わったのか、新しい現実を知る必要がある。

本書は、大前研一氏の論文「ポスト金融危機の経営戦略」に加え、『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌に過去掲載された中から、世界金融危機後の新しい現実について書かれた論考が集められています。

大前研一氏が、編集部の要請を受けて「ポスト21世紀」にふさわしい論文を編纂し、「第一部 経済と環境」「第二部 企業」「第三部 グローバリゼーションと新興経済」「第四部 技術と環境」の4部構成で、28本の論考で構成されています。

各国の政治指導者や企業アドバイザーたちの論考を確認することができ、マクロ経済やグローバル化などの現状分析や今後の戦略構想の参考になります。

「ポスト金融危機の経営戦略」(2010年 大前研一)

主要国・地域のGDP成長率」「各国の景気刺激策」「新興国のGDP成長率」などのデータから読み取れる世界経済の変化は、端的に言えば「主役の交代」である。

  • ・内需が堅調な中国やインド、インドネシアといった新興国は、今後も高い成長率を示すと予想されている。
  • ・2010年以降、BRICsを含む新興国が世界を牽引することになる。
    BRICs(ブラジル、ロシア、インド、中国)
    +VISTA(ベトナム、インドネシア、南アフリカ、トルコ、アルゼンチン)
    +その他新興国(NEXST11、中南米、アフリカなど)
  • ・中国を先頭に、「お互いが負けてはいられない」という新たな意識が生まれて、新興国の一つの起爆剤になっている。
BOP(ボトム・オブ・ザ・ビラミッド)の中所得者層を狙え

中所得者層は、すでに日本の中流以上の購買力を持っており、かつての日本の高度成長期時代のビジネスモデルでも十分戦える。

世界の所得別人口構成

  • ・富裕層(年間所得2万ドル):約1.75億人
  • ・中所得者層(3千ドル)   :約14億人
  • ・BOP層(3千ドル以下)    :約40億人
「新興市場の未来」(2009年 アナンド・P・ラマン)

世界経済の次なる成長、新興国の構造変化と先進国の対策

  • ・変化:新興国と先進国との分離 ⇒ 対策:新興国に引き続き注力する。
  • ・変化:同族経営の再評価 ⇒ 対策:新興市場担当リーダーの要件を変える。
  • ・変化:「合従連衡」戦略の新たなトレンド ⇒ 対策:新興国大企業と協力する。
  • ・変化:持続的成長への投資 ⇒ 対策:世界中で環境にやさしい製品を
  • ・変化:アフリカの魅力 ⇒ 対策:アフリカの潜在能力を引き出す。
「GEのリバース・イノベーション」

(2009年 ジェフリー・R・イメルト)

新興国の成功なくして、先進国の勝利はない

  • ・これまでの「グローカリゼーション」に加え「リバース・イノベーション
  • ・グローカリゼーション:先進国が市場全体の大半を占めていた時代
    優れた製品を自国で開発し、全世界に向けて販売し、地域特性に応じて改良する。
  • ・リバースイノベーション:新興国の市場が拡大してきた時代
    新興国市場で成功した機能限定した低価格製品をグローバル展開する。
  • ・リバースイノベーション成功の原則
    ①成長が見込まれる地域に権限を移転する。
    ②ゼロから新製品を開発する。
    ③新会社と同じく、ゼロから事業を立ち上げる。
    ④独自の目的、目標、評価基準を設定する。
    ⑤経営陣の直轄組織とする。
 

上記以外にも、本書には多くの興味深い論文が掲載されています。

 

数年前にMBAでマクロ経済を履修して以来、世界的な金融危機や新興国の成長、そして日本においてはデフレや円高と世の中は大きく変わってきました。

最近、マクロ経済やグローバルビジネス関係の書籍を数冊読んできましたが、著者の様々な視点からの考察は大変参考になりました。

グローバル視点で時代の流れを読み、これからの日本、所属する業界や企業が「どの様に対応していくべきなのか」、その中で個人として「どの様に行動するべきか。どんな貢献ができるか」を考えていきたいと思います。

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