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スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン
- 人々を惹きつける18の法則 -
カーマイン・ガロ(著)、井口 耕二(訳)
出版社:日経PB社
聴衆を魅了し続ける世界一の経営者
誰にも思いつかなかった「世界一のアイデア」でも、周りを説得できなければ意味がない。
iPhone、iPad、iPodを成功に導いたプレゼンの極意を解き明かす。
本書は、心に残る名スピーチとプレゼン能力で知られている経営者スティーブ・ジョブズの話し方の秘密を、プレゼンの専門家のカーマイン・ガロが解説しています。
ジョブズの実際のスピーチを例にあげ、プレゼンでの言葉とスライドを対比し、その中での名言やプレゼンストーリーを分析することにより、聴衆を魅了するテクニックを明らかにしています。
講演で多くの聴衆に話しをする場面に限らず、特定の個人や会議などで説明する場面、さらに私生活の様々な場面でも、「聞き手の心を動かし、やる気を起こしてもらう」ためには、聞き手を説得するプレゼンは重要です。
ジョブスの能力全てを身に着けることはできないかもしれませんが、本書で紹介されているテクニックを活用することで、効果的なコミュニケーターになるための助けになると思います。
なお、本書で紹介されたスピーチの内、主なスピーチを本稿下段にYouTubeから引用しておきますので、本書の解説と合わせてご覧下さい。
本書は、「ストーリーのつくり方、体験を生み出すヒント、体の使い方やしゃべり方」の大きく3つの幕(18のシーン)で構成されており、それぞれについて具体的に解説しています。
第1幕 ストーリーを作る
1.計画はアナログでまとめる ⇒ プレゼンソフトを使う前に筋書きを考える
2.一番大事な問いに答える ⇒ 「なぜ気にかける必要があるのか」に答える
3.救世主的な目的意識を持つ ⇒ モノが顧客の暮らしをどう改善するか
4.ツイッターのようなヘッドラインを作る ⇒ 簡潔(70文字)に、具体的に
5.ロードマップを描く ⇒ 聴衆に知ってほしいポイントを3つにグルーピング
6.敵役を導入する ⇒ どの問題を解決しようとしているのか。なぜ必要か
7.正義の味方を登場させる ⇒ 今までより優れたやり方、イノベーション
第2幕 体験を提供する
8.禅の心で伝える ⇒ スライドはシンプルかつビジュアル、箇条書きは避ける
9.数字をドレスアップする ⇒ 聴衆に関する文脈を数字で語り、ドレスアップ
10.「びっくりするほどキレがいい」言葉を使う ⇒ コピーの文句をすっきり
11.ステージを共有する ⇒ オーケストラ型プレゼンテーション、顧客の推薦
12.小道具を上手に使う ⇒ デモが重要な役割、デモは全力で行う
13.「うっそー!」な瞬間を演出する ⇒ ドラマ性、予想外の情報と感動
第3幕 仕上げと練習を行う
14.存在感の出し方を身に着ける ⇒ ボディーランゲージやしゃべり方
15.簡単そうに見せる ⇒ 十分な練習とリハーサル、想定される質問への準備
16.目的に合った服装をする ⇒ 理想の人と同じ服装を選ぶ、場の文化を尊重
17.台本を捨てる ⇒ メモは使わない。聴衆に語りかけ、アイコンタクト取る
18.楽しむ ⇒ 聞き手は学びと娯楽を求めている。自分も楽しむ
傑出したプレゼンテーションを作る要素
1.ヘッドライン:印象に残る形で、「何がどうする」という短文にまとめる
2.パッションステートメント:話す題材に対して情熱を持つ
3.キーメッセージ3つ:受け取って欲しいメッセージを3つにまとめる
4.メタファーとアナロジー:どう表現すれば効果的か。例えと比較
5.デモ:実際に見て、触れて、体験しすると聴衆は喜ぶ
6.パートナー:パートナーも壇上に上げる
7.実例と推薦:成功例を紹介する
8.ビデオクリップ:社員や利用者の楽しいビデオを2~3分で流す
9.フリップチャート、小道具、実物で説明:その場で見る、触る、使う
アリストテレスの人を説得するステップ
1.聞き手の注意を-ストーリーやメッセージを提出する。
2.解決あるいは回答が必要な問題あるいは疑問を提出する。
3.提出した問題に対する解答を提出する。
4.提出した解答で得られるメリットを、具体的に記述する。
5.行動を呼びかける。
ビデオを使ったトレーニングのヒント
1.アイコンタクト
- ・メモを読まずにすむよう、内容は基本的に記憶しておく。
- ・スライドは、きっかけとしてのみに使う。
2.ボディーランゲージ
- ・身振り手振り、しぐさなどは力強く。明確で、自信にあふれているか。
- ・言葉に込めた自信はボディーランゲージにも反映されているか。
3.つなぎ言葉
- ・「あー」「えー」「そのー」などの言葉を頻繁に口にしていないか。
- ・自分の癖に気づき、直す。
4.しゃべり方
- ・音量と抑揚に変化をつける。声の大小、スピードに変化をつける。
- ・先を急がず、プレゼンテーションに一息つかせる。
5.エネルギー
- ・元気いっぱい、その話ができることがうれしいか。
- ・声に張りがあり活気があるか、笑顔で、歩き方にも躍動が感じられるか。
ややこしくするのは自信のないマネージャーだ
トップクラスの人々は、意識的に練習する。
具体的な目標を設定し、他人から意見を聞き、長期的に良くなる方へ進もうと努力を続ける。
一つひとつのスキルを繰り返し、何年も練習する。
頂点に立つ人は、努力が他人より多いという程度でも、すっと多い程度でもない。
圧倒的に多い。
本書で紹介されているスティーブ・ジョブズのスピーチとそのテクニックは、一朝一夕で身につくはずがありません。
生まれ持った才能もあるのでしょうが、多くは練習の賜物だと思います。
紹介する製品やサービスなどに心底惚れ込み、その素晴らしさを他の人に理解してもらいたいという気持ちに基づいて、そのプレゼンテーションを何度もトレーニングして体に覚えこましすことが必要です。
スライドを使ってしゃべることだけがプレゼンテーションではなく、相手に伝えたい事を話す言動全てが、プレゼンテーションとなっていくのではないかと思います。
「練習と本番を繰り返す」ことで、プレゼンテーションのスキルは必ず上達すると信じています。
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