書籍 モチベーション3.0

書籍 モチベーション3.0

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20100719

モチベーション3.0

ダニエル・ピンク(著)、大前 研一(訳)
出版社:㈱講談社

モチベーション3.0

持続する「やる気!」をいかに引き出すか!

21世紀版「人を動かす」モチベーション3.0は、ワクワクする自発的(内発的)な動機付け!

パソコンのOSのように人間を支配する決まりを表すと、
モチベーション1.0:生存本能に基づくもの
モチベーション2.0:工業化社会のアメとムチで駆り立てられたもの
モチベーション3.0:自分の内面から湧き出る「やる気」に基づくもの

これまでのOSが機能しなくなった現代を駆り立てるのは何か?
現代のクリエイティブな業務のOSは、モチベーション3.0である。

本書は、「フリーエージェント社会の到来」や「ハイ・コンセプト」など、数多くの話題作を生み出してきたダニエル・ピンクが、21世紀社会に適した動機付けについて解説しています。
さらに、従来のアメとムチがうまくいく特殊な状況として、規則的なルーチンタスク(アルゴリズム的な仕事)であれば効果があることも補足されています。

巻末には、
個人用と組織用のツールキット、薦める書籍15冊、代表的な識者6人と各人の考え、モチベーションに関するディスカッションに役立つ20の質問などが紹介されています。
組織のマネージャーが、これまでの動機付けと対比しながら、「内発的動機付け」について体系的に学ぶのに大変役立ちます。

先進国に残った作業の大半は、付加価値を求め、その都度違うことをする「クリエイティブ」な作業である。

そうした作業では、成果報酬がむしろマイナスに作用する。
成果を追い求めるあまり、短期思考に走ったり、視野が狭くなり、発想に自由度がきかなくなるからである。

人間には、新しいことややりがいを求める傾向、自分の能力を広げ、発揮し、探求し、学ぶという傾向が本来備わっている。

基本報酬ラインが不適切であるとか公平さを欠けば、被雇用者は自分の置かれた状況の不公平さや不安にばかり気を取られるので、意欲の喚起がきわめて難しくなる。

アメとムチの致命的な欠陥

1.交換条件付き報酬は自立性を失わせ、内発的動機付けを失わせる。

2.かえって成果が上らなくなる。

3.創造性をむしばむ。

4.金銭的報酬が利他的な行動を抑え、好ましい言動への意欲を失わせる。

5.目標設定は、ごまかしや近道、倫理に反する行為を助長する。

6.報酬には依存性がある。

7.短絡的思考を助長する。

アメとムチがうまくいく特殊な状況

創造的な思考を必要としないルーチンワーク

課題が機械的なスキルだけを必要としている場合

アメとムチの成功の可能性を高める方法

  • ・その作業が必要だという倫理的な根拠を示す。
  • ・その作業は退屈であると認める。
  • ・参加者のやり方を尊重する。

内発的な動機付け(モチベーション3.0)の構成要素

自立性

  • ・選択して、行動する。
    他社からの制約を受けずに行動でき、他者と円満に相互依存できる。
  • ・課題、時間、手法、チームに関して、自立性を持ったときに現れる。
  • ・自立性は伝染する。

マスタリー(熟達)

  • ・何か価値あることを上達させたいという欲求
  • ・フローで始まる。
    取組んでいる課題が、本質的に自分の能力と整合している場合の最適経験
  • ・マインドセット(心の持ち方次第)である。
  • ・長期目標を達成するための忍耐力と情熱が必要である。
  • ・達するほどに接近はできるが、接することのない漸近線である。   

目的

  • ・本質的に人生の意義や目的を探すものである。
  • ・利益に目的の最大化を加えるという決定は、企業の活力を回復させる。

クリエイティブな仕事に対する報酬の使い方

真に意欲を引き出す環境をそれまでに整えておく。

  • ・基本的な報酬ラインを十分に保証する。
  • ・働きやすい環境を用意する。

「条件付き」報酬が逆効果を招く場合には、「思いがけない」報酬を用意する。

賞賛やフィードバックなど、具体的でない報酬を検討する。

コントロールしようとせずに、役に立つ有効な情報を与える。

ダニエル・ピンク:タイプXからタイプIへの移行

タイプX:モチベーション2.0の前提

  • ・内部からよりは外部からの欲求によりエネルギーを得る。
  • ・活動から得られる外的な報酬と結びついている。

タイプI:モチベーション3.0の前提

  • ・外部からよりは内部からの欲求によりエネルギーを得る。
  • ・活動そのものから生じる満足感と結びついている。

タイプIの特徴

  • ・生まれながら備わっているものではなく、後天的に作ることができる。
  • ・長期的には、ほとんどの場合タイプXをしのぐ成長を上げる。
  • ・金銭や他社からの評価を軽視しているわけではない。
  • ・行動は、再生可能な資源である。
  • ・行動は、肉体的にも精神的にも大いに満足できる状態をもたらす。

第三の動機付けは、
自らの人生を管理したい、自分の能力を広げて伸ばしたい、目的を持って人生を送りたい、という人間に根ざした欲求である。

組織メンバーの内発的に動機付けする際のポイントに限らず、自分自身の人生観について考えるきっかけを与えてくれた一冊でした。

参考:ダニエル・ピンクの代表的な著書

フリーエージェント社会の到来」ダイヤモンド社 (2002/4)

ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代」三笠書房 (2006/5)

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