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テレワークの法的問題点はその業務形態にあると考えられ、その主な問題点は以下にあげられます。
①企業において直接の指揮命令を受けて就労する形態をとらないため、労働基準法などの適用を受ける労働者なのかどうかが問題となる。
②労働基準法の労働者でないとしても、具体的な就労形態によっては労働者に対するのと同様の、あるいは類似の保護が必要な場合がある。その際、テレワーク従事者がそうした場合にあてはまるか否かが検討されなければならない。
③個人事業としてテレワークに従事する場合(いわゆる「在宅就業」など)に生じがちなトラブルとして、発注者との間のトラブルをどう防ぐかも問題となる。
特に③の問題に関しては、すでに厚生労働省がトラブルを防ぐためのガイドラインを策定して、業務契約書のモデル等を公開しています。
また厚生労働省は、テレワークはこれからの障害者や高齢者等の通勤困難者の就労形態として積極的活用すべきであるとの観点から、「テレワーク相談センター」を設置してテレワークに従事したい人やテレワーカーを雇いたい事業主等の相談にのる等の積極的な支援を実施しています。
1.労働法適用のポイント
テレワーク従事者が労働基準法等の労働法の適用を受けるか否かは、就労実態と法の適用要件との関係によるため一概には言えません。
労働基準法に関しては、事業または事務所において使用され、賃金を支払われる者が適用対象としての労働者となるため、これらの要件にテレワーク従事者があてはまるか否かが主たる問題となります。
このうち事業等への帰属に関しては労働者台帳等により把握されるが、これも実態によるため事業主の恒常的な指揮監督のもとにあると判断されれば満たしうる要件ですが、「使用されている」かどうかも結局指揮命令を受ける立場にあるかどうかが決め手となると考えられます。
この要件に関しては、すでに管理職や専属契約を締結して業務に従事する者等について「労働者性」という概念があてはまるか否かの検討が進んでおり、テレワーク従事者についても一応の判断は可能であると考えられます。
さらに、受け取っている対価が賃金と言えるかどうかも問題となるが、完全歩合制のような形態で働く労働者であってもそれが労務給付の対価とみなされる場合は労働基準法の適用を受けるため、テレワーク従事者についても、純粋に仕事の結果のみに対する料金であることが明らかである場合を除いて、対価が賃金とみなされるのではないかと考えられます。
そして、労働者災害補償保険法や安全衛生法等も適用対象の労働者の概念は労働基準法と同様であるため、労働基準法の適用を受けるのであれば他のほとんどの労働法も適用されます。
テレワークに関する考察
3.労働法適用のポイント
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