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NECが、2022年度(2023年3月期)第3四半期決算(2022年10月1日~12月31日)と通期業績予想を発表しましたので、概況を整理します。
NECの第3四半期累計(9ヶ月)は、前年同期に対して増収増益となりました。
- ・売上収益は、国内ITサービス需要の好調やネットワークサービスの拡大に加え、為替の影響で、前年同期に対して1,729億円(8.2%)の増収となりました。
- ・調整後営業利益は、ネットワークサービスでの海外5G戦略的受注の一過性損失と戦略的費用による減益があったものの、同75億円の増益となりました。
第3四半期累計(9ヶ月)は、以下の通りです。
売上収益は、前年同期に対して1,729億円(8.2%)増の2兆2,693億円
営業利益は、同98億円増の571億円(対売上収益比率:2.5%)
調整後営業利益は、同75億円増の834億円
税引前利益は、同85億円増の576億円
親会社の所有者に帰属する当期利益は、同14億円増の264億円
親会社の所有者に帰属する調整後当期利益は、前年同期並みの443億円
2022年度(2023年3月期)の通期決算予想は前回予想を据え置いています。
なお、第3四半期(累計)の部材不足による調整後営業利益への影響は+30億円とプラスに転じ、為替影響は+115億円(第1四半期は△5億円、第2四半期は+65億円)としています。
NECの2022年度第3四半期(累計)連結業績
売上収益(累計)は前年同期比1,729億円(8.2%)増の2兆2,693億円、営業利益は同98億円増の571億円、当期利益は同14億円増の264億円
売上収益は、
- ・社会公共セグメントが減収となったものの、社会基盤、エンタープライズ、ネットワークサービス、グローバル、その他で増収となりました。
- ・社会公共の売上収益は、第2四半期は減収となったものの、第3四半期は中堅・中小企業向けや好況・医療向けの増加により増収となりました。
- ・ネットワークサービスは、グローバル5Gは海外売上が拡大し増収したことに加え、第3四半期に知財収益 100億円を計上したことにより増収となりました。
調整後営業利益は、前年同期比75億円増の834億円
- ・前年同期比75億円増益の内訳は、資産売却による2021年度一過性損益△80億円、オペレーション△246億円の計△326億円に対し、資産売却などの2022年度一過性損益+110億円と為替影響+115億円および部材不足影響+30億円に加え知財収益+145億円の計+400億円となっています。
- ・部材不足に関しては、第1四半期の△10億円、第2四半期の△5億円だったのに対し、第3四半期は+30億円に転じています。
税引前利益は前年同期比85億円増の576億円、親会社の所有者に帰属する当期利益は同14億円増の264億円、親会社の所有者に帰属する調整後当期利益は前年同期並みの443億円
なお、ハードウェアを含む国内受注の動向は以下の通りで、ITサービスが企業向けの旺盛な需要が牽引して上期で110%となり、全体では114%としています。
- ・社会公共事業が前年同期比115%
都市インフラ、中堅中小企業向けで好調継続
- ・社会基盤事業が同108%
防衛向けの複数案件の計上により増加
- ・エンタープライズ事業が同111%
旺盛な需要を受けて好調継続
- ・ネットワークサービス事業が同107%
1Qは固定系の大型反動減も2Qは5G需要拡大、3Qに知財収益を計上
- ・グローバル事業が同120%(海洋システムとディスプレイを除く)
Netcracker社の大型案件が牽引して増加
セグメント別の業績
セグメント別の業績は以下の通りで、前年同期に対して、社会公共が減収増益、ネットワークサービスが増収減益したのに対し、社会基盤とエンタープライズおよびグローバルが増収増益となりました。
社会公共は減収増益
- ・売上収益は前年同期に対して43億円(1.5%)減の2,861億円、調整後営業利益は前年同期から9億円増の125億円
- ・売上収益は、公共・医療向けや中堅・中小企業向けで増加したものの、都市インフラ向けの前年度大型案件の反動減により減収
- ・調整後営業利益は、売上減も費用の投入見直しにより増益
社会基盤は増収増益
- ・売上収益は前年同期に対して353億円(8.5%)増の4,497億円、調整後営業利益は前年同期から73億円増の381億円
- ・売上収益は、宇宙・防衛向けに加え、日本航空電子工業㈱も増収
- ・調整後営業利益は、売上増に加え、日本航空電子工業㈱も増益
エンタープライズは増収増益
- ・売上収益は前年同期に対して177億円(4.3%)増の4,315億円、調整後営業利益は前年同期から77億円増の421億円
- ・売上収益は、製造業向けや流通・サービス業向けの増加により増収
- ・調整後営業利益は、売上増および事業譲渡益の計上により増益
ネットワークサービスは増収減益
- ・売上収益は前年同期に対して109億円(3.1%)増の3,610億円、調整後営業利益は前年同期から164億円減の△6億円
- ・売上収益は、NECネッツエスアイ㈱は前年並みだったものの、グローバル5Gの拡大や知財収益により増収
- ・調整後営業利益は、売上増だったものの、5Gのグローバル展開に向けた費用増や資産クリーンアップおよび戦略受注案件による一過性費用により減益したのに加え、NECネッツエスアイ㈱も減益
グローバルは増収増益
- ・売上収益は前年同期に対して683億円(19.3%)増の4,228億円、調整後営業利益は前年同期から34億円増の215億円
- ・売上収益は、デジタル・ガバメント(DG)/デジタル・ファイナンス(DF)領域およびサービスプロバイダソリューション事業や海洋事業が増収
- ・調整後営業利益は、売上増により減益
企業価値の持続的向上に向けた経営基盤改革
指名委員会等設置会社への移行(2023年6月開催予定の定時株主総会での承認を前提)
- ・監督機能の強化
取締役会の過半数を独立社外取締役(社内5名 / 社外7名)することに加え、多様な経験を持つ社外取締役を拡充
- ・経営意思決定の迅速化
経営と監督の役割分担による経営スピードの向上、CxO機能の強化
中計の達成に向けた組織最適化(2023年4月1日付)
- ・中計の重点成長領域をBU/部門化
DG/DF領域のビジネスユニット化、国内外の通信事業者向け事業の一元化、ヘルスケア・ライフサイエンス領域の事業部門化
- ・コアDX基盤の提供力強化
NEC Digital Platformの責任組織を一元化
- ・国内の行政デジタル化/ナショナルセキュリティ対応の強化
官公庁向け、地方自治体向けIT事業の一元化、航空宇宙・防衛向け事業のビジネスユニット化
その他
海外売上比率:29.3%の6,650億円(前年同期:26.2%の5,490億円)
キャッシュフローの状況
- ・フリー・キャッシュフロー:前年同期に対して642億円減の△916億円
営業活動によるキャッシュ・フロー:同648億円減の△595億円
投資活動によるキャッシュ・フロー:同6億円増の△321億円
- ・財務活動によるキャッシュ・フロー:同1,463億円増の597億円
- ・現金及び現金同等物の期末残高:同82億円減の4,056億円
資産、負債、資本の状況(2022年12月末)
- ・資産:2022年3月末に対して1,275億円増の3兆8,892億円(流動資産は同1,011億円増の1兆9,378億円、非流動資産は同262億円増の1兆9,513億円)
- ・負債:同1,152億円増の2兆903億円
- ・資本:同122億円増の1兆7,988億円
親会社所有者帰属持分:同443億円増の1兆5,578億円
親会社所有者帰属持分比率:同1.2ポイント減の39.0%
D/Eレシオ:同0.11ポイント減の0.50
ネットD/Eレシオ:0.13ポイント減の0.24
2022年度(2023年3月期)の通期決算予想
2022年度(2023年3月期)の通期決算予想は、前回予想を維持しています。
売上収益は、前年比1,159億円(3.8%)増の3兆1,300億円
調整後営業利益(Non-GAAP)は、同140億円増の1,850億円(営業利益率:5.9%)
調整後当期利益(Non-GAAP)は、同522億円減の1,150億円
EBITDAは、同260億円増の3,300億円
フリーキャッシュフローは、同959億円増の1,800億円
国内ITサービス
- ・第3四半期までの受注は旺盛なITサービス需要により好調に推移
- ・好調な受注環境を背景に、売上・調整後営業利益ともに年間予想からの改善
ネットワークサービス
- ・グローバル5Gの売上収益は国内・海外ともに4Qで大きく拡大し年間予想を達成の見込みで、調整後営業損益は一過性費用や戦略的費用の増を国内向け5Gを中心とした第4四半期売上増により挽回
- ・グローバル5G以外の売上収益は年間予想を達成の見込み、調整後営業利益はマイナス要因を知財収益の計上によりカバー
セグメント別の業績予想
社会公共は増収増益
- ・売上収益は、前年度比74億円(1.7%)増の4,500億円
- ・調整後営業利益は、同11億円増の370億円(営業利益率:8.2%)
社会基盤は増収増益
- ・売上収益は、前年度比366億円(6.0%)増の6,450億円
- ・調整後営業利益は、同108億円増の700億円(同 10.9%)
エンタープライズは増収増益
- ・売上収益は、前年度比103億円(1.8%)増の5,850億円
- ・調整後営業利益は、同85億円増の660億円(同 11.3%)
ネットワークサービスは増収減益
- ・売上収益は、前年度比185億円(3.6%)増の5,300億円
- ・調整後営業利益は、同85億円減の270億円(同 5.1%)
グローバルは増収増益
- ・売上収益は、前年度比344億円(7.1%)増の5,200億円
- ・調整後営業利益は、同117億円増の380億円(同 7.3%)
その他
- ・売上収益は、前年度比88億円(2.2%)増の4,000億円
- ・調整後営業利益は、同7億円増の140億円(同 3.5%)
調整額
- ・調整後営業利益は、同103億円減の△670億円
- ・前回予想から、調整後営業利益△180億円下方修正
参考:電機各社の決算発表
2023.02.04 2022年度第3四半期決算と通期予想:NEC
2023.02.03 2022年度第3四半期決算と通期予想:富士通
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