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NECから2019年度(2020年3月期)第3四半期決算(2019年4月1日~12月31日)と通期予想が発表されましたので、概況を整理します。
NECは、前年同期に対して、売上収益や営業損益及び当期損益の全ての指標で増収増益となりました。
好調な事業環境を背景に全セグメントで増収増益し、売上収益で1,000億円、調整後営業利益で150億円上振れし、中長期的な企業価値向上のため100億円の追加施策の計画を発表しています。
売上収益は、前年同期に対して1,410億円(6.9%)増の2兆1,756億円
- ・パブリック事業で前年同期比で4.0%増の6,442億円
特に、社会公共領域、社会基盤領域ともに増加
- ・エンタープライズ事業で同7.7%増の3,395億円
金融業向けの増加や売上計上部門の変更により増収
- ・ネットワークサービス事業で同10.5%増の3,414億円
5G導入を見据えた固定ネットワーク領域を中心に増収
営業損益は、前年同期に対して612億円増の779億円
- ・調整項目として、買収に伴う無形固定資産の売却費で127億円、M&A関連コストで2億円
- ・調整後営業損益は906億円(前年同期:240億円)
なお、当期の構造改革効果は合計で220億円(前年同期:250億円)で、内訳は特別転進支援施策で135億円、海外拠点の効率化及び工場再編効果やオフィスフロア効率かなどの施策で85億円となっています。
NECの2019年度第3四半期連結業績
売上収益は前年同期比1,410億円(6.9%)増の2兆1,756億円、営業損益は同612億円増の779億円
税引前損益は同524億円増の788億円、当期損益も415億円増の492億円
- ・売上収益は、パグリック事業、エンタープライズ事業、ネットワークサービス事業、システムプラットフォーム事業、グローバル事業の全セグメントが増収となったことによります。
- ・営業損益612億円の増益は、売上収益が増加したことなどによります。
また、調整後の営業損益は906億円で、調整項目の内訳は買収に伴う無形固定資産の償却費125億円とM&A関連コスト2億円となっています。
- ・当期の構造改革効果は合計で220億円で、内訳は特別転進支援施策で135億円、海外拠点の効率化及び工場再編効果やオフィスフロア効率かなどの施策で85億円となっています。
なお、国内受注の動向は、以下の通りとしています。
- ・パブリック事業が前年同期比102%(前年同期:107%)
- ・エンタープライズ事業が同99%(同109%)
- ・ネットワークサービス事業が同98%(同99%)
- ・システムプラットフォーム事業が同107%(同107%)
セグメント別の業績
セグメント別の業績は以下の通りで、その他事業が減収増益のみで、他の5セグメント全て増収増益となっています。
なお、4月1日付けの組織再編に伴い、セグメントの一部が変更されています。
- ・パブリックの主管子会社などを、その他セグメントに移行
- ・システムプラットフォームの企業ネットワーク事業を、ネットワークサービスへ移行
- ・システムプラットフォームのセキュリティ関連事業を、その他セグメントへ移行
- ・グローバルの海外向けUC事業を、システムプラットフォームへ移行
パブリックは増収増益
- ・売上収益は前年同期比249億円(4.0%)増の6,442億円、調整後営業損益は前年同期から192億円増の475億円
- ・売上収益は、社会公共領域、社会基盤領域ともに増加
- ・調整後営業損益は、自治体向けITサービスや航空宇宙・防衛領域などの増加により増益
- ・通期計画は、売上収益で300億円程度の上振れを期待、営業利益は不採算案件の増加などで保守的に見て通期計画並の着地を想定
エンタープライズは増収増益
- ・売上収益は前年同期比241億円(7.7%)増の3,395億円、調整後営業損益は前年同期から17億円増の273億円
- ・売上収益は、金融業向けの増加や売上計上部門の変更の影響などにより増収
(Office 365を中心としたライセンスの商流変更により160億円を計上し、この特殊要因を除くと2%増)
- ・調整後営業損益は、売上増による増益
- ・通期計画は、売上収益は通期計画を200億円程度上回り、営業利益計画も十分達成可能と想定
流通や金融の大手ユーザーの大規模システムの端境期で前年に比べると大型受注が入っていない状況であるが、金融業向けが増加している状況
ネットワークサービスは増収減益
- ・売上収益は前年同期比325億円(10.5%)増の3,414億円、調整後営業損益は前年同期から84億円増の181億円
- ・売上収益は、5Gの導入を見据えた固定ネットワーク整備の活性化、子会社のNECネッツエスアイの売上増加が貢献して増収
- ・調整後営業損益は、NECネッツエスアイで一過性の損失計上があったものの売上増により増益
- ・通期計画は、売上収益で300億円程度上回る見込み、営業利益は若干上回ると期待
システムプラットフォームは増収減益
- ・売上収益は前年同期比424億円(12.2%)増の3,892億円、調整後営業損益は前年同期から275億円増の323億円
- ・売上収益は、企業向けPCやサーバーを中心としたハードウェアが増加したことなどにより増収
- ・調整後営業損益は、売上増に加え、構造改革効果により増益
- ・通期計画は、売上収益でビジネスPCの好調で約600億円上回り、営業利益は約100億円上回る見込み
グローバルは増収改善
- ・売上収益は前年同期比694億円(23.3%)増の3,666億円、調整後営業損益は前年同期から73億円改善して12億円
- ・売上収益は、KMD新規連結によるセーファーシティの増加、海洋システムの増加などにより増収
- ・調整後営業損益は、セーファーシティ、サービスプロバイダソリューション、ワイヤレスソリューション海洋システムなどが改善
セーファーシティでは香港の政治情勢や為替変動の影響を受けており、競争環境が激化しているディスプレイ、不採算案件を計上したエネルギーといった課題事業は、赤字にならないような仕掛けを検討中
- ・通期計画は、売上収益では約400億円、営業損益で100億円程度の下振れを見込む。収益性の悪い事業を改善し、NEC全体としての営業利益率5%以上に高めていく予定
その他は減収増益
- ・売上収益は前年同期比524億円(35.6%)減の946億円、調整後営業損益は前年同期から31億円増の85億円
その他
海外売上比率:25.6%の5,568億円(前年同期:25.4%の5,171億円)
キャッシュフローの状況
- ・フリー・キャッシュフロー:前年同期比1,122億円増の492億円
営業活動によるキャッシュ・フロー:同1,388億円増の1,122億円
投資活動によるキャッシュ・フロー:同266億円支出増の630億円の支出
- ・財務活動によるキャッシュ・フロー:748億円の支出
- ・現金及び現金同等物の四半期末残高:同252億円減の2,531億円
資産、負債、資本の状況
- ・資産:前年同期比787億円増の3兆419億円
- ・負債:同1,419億円増の6,944億円
- ・資本:同313億円増の1兆910億円
親会社所有者帰属持分:同309億円増の8,898億円
自己資本比率:同0.3ポイント増の29.3%
2019年度(2020年3月期)の通期決算予想
2019年度(2020年3月期)の通期決算予想は、前回値を据え置いています。
社内想定値からは上振れしたが、将来の収益性改善、成長に向けての追加投資、体質改善に向けた施策を検討していくため、業績予想は据え置き。
その中で、社内想定値については、通期計画に対しても上振れを目指す。
- ・売上収益は、前年比1.3%増の2兆9,500億円
- ・営業損益は、同522億円増の1,100億円
- ・当期損益は、同253億円増の650億円
通期計画に対する考え方は、以下の通りとしています。
- ・9ヵ月累計の調整後営業利益で150億円の上振れ
- ・中長期的な企業価値向上のため100億円の追加施策を計画
DX・5G関連先行投資、セキュリティ強化
環境整備、人材育成(働き方改革など)
収益改善施策
参考:電機各社の決算発表
2020.01.30 2019年度第3四半期決算と通期予想:富士通
2020.01.29 2019年度第3四半期決算と通期予想:NEC
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富士通の2019年度(2020年3月期)第3四半期決算は減収増益(本業は増収増益)、通期予想も上方修正