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富士通が、2023年度(2024年3月期)通期決算(2023年4月1日~2024年3月31日)と2024年度通期予想を発表しましたので、概況を整理します。
富士通は、累計では前年同期に対して増収減益となりましたが、当期利益は2期連続で過去最高を記録しました。
成長ドライバーのサービスソリューションは、売上収益が国内ビジネスを中心に対前年比9.9%伸長し、調整後営業利益も増収効果に加えて採算性も向上して3%改善しました。
一方、ハードウェアソリューションが昨年度の高い需要の反動減と次の成長投資を継続して調整後営業利益が前年度に対して289億円減となったのに加え、デバイスソリューションが物流減および操業低下により大きく減益して、調整後営業利益が前年度に対して590億円減となったことが影響しています。
売上収益は、前年同期に対して422億円(1.1%)増の3兆7,561億円
調整後営業利益は、前年同期に対して371億円減の2,836億円(調整後営業利益率は、前年同期比1.0%悪化して7.6%)
営業利益は、前年同期に対して1,754億円減の1,603億円
税引前利益は、前年同期に対して1,937億円減の1,782億円
親会社の所有者に帰属する調整後当期利益は、前年同期に対して316億円増の2,358億円
親会社の所有者に帰属する当期利益は、前年同期に対して393億円増の2,545億円
2024年度(2025年3月期)の通期業績見通しは、以下の通りです。
- ・売上収益:3兆7,600億円(対前年度比:39億円増、0.1%増)
- ・調整後営業利益:3,300億円(対前年度比:463億円増)
- ・親会社の所有者に帰属する調整後当期利益:2,260億円(対前年度比:98億円減)
富士通の2023年度通期(2023年4~2024年3月)連結業績
売上収益(累計)は前年同期に対して422億円(1.1%)増の3兆7,561億円、営業利益(累計)は同1,754億円減の1,603億円(調整後営業利益は同371億円減の2,836億円)
税引前利益(累計)は前年同期に対して1,937億円減の1,781億円、親会社の所有者に帰属する当期利益(累計)は同393億円増の2,545億円(調整後当期利益は同316億円増の2,358億円)
セグメント別の業績
セグメント別の業績(累計)は以下の通りで、サービスソリューションが増収増益、ユビキタスソリューションが減収増益、ハードウェアソリューションとデバイスソリューションが減収減益となっています。
- ・サービスソリューションは、売上収益は国内ビジネスは前年度比12%で、全体で同9.9%増となり、調整後営業利益も増収効果に加えて採算性も向上して、対前年度比3%改善しています。
- ・ハードウェアソリューションは為替影響と前年度の高需要の反動、デバイスソリューションは半導体パッケージのデマンド低調が影響して、両セグメント共に減収減益となりました。
■サービスソリューションは増収増益
売上収益が前年同期比1,533億円(7.7%)増の2兆1,375億円、調整後営業利益は同742億円増の2,372億円
- ・売上収益は、国内市場においてDX・モダナイ商談が力強く伸長、Fujitsu Uvanceの売上は前年から12%伸長
- ・調整後営業利益は、増収効果に加えて開発標準化の進捗により採算性改善(調整後利益率2.9%増)、Uvanceの開発投資も拡大
調整後営業利益742億円増益の内訳は、以下の通りです。
- ・Uvance開発費などの投資拡大△214億円に対し、
- ・売上増収影響で+602億円(売上収益+1,920億円、売上伸長率+10%)と採算性改善で+353億円で、計+955億円
採算性改善+353億円(売上総利益率は2022年度が33%、2023年度が35%、2%の改善)は、JGG活用(開発標準化、自動化、内製化)に加え、オフシェア活用を進め、国内サービスの採算性は着実に向上しているとしてます。
成長投資△214億円は、Fujitsu Uvanceを中心としたオファリング開発、専門人材リソースの育成・リスキリング拡大・人材獲得、セキュリティ・IT基盤の強化など、成長へ向けた投資を積極的に実行しています。
国内の受注状況(累計)の分野別は以下の通りで、全体では前年同期に対して116%で、DX/モダナイゼーション商談を中心に拡大しているとしています。
- ・エンタープライズ(産業・流通・小売)は前年同期に対して107%
モダナイゼーション案件を中心に、製造およびモビリティが牽引
- ・ファイナンス(金融・小売)は同115%
メガバンクや保険などにおいて、基幹システム更新やモダナイゼーション案件を獲得
- ・パブリック&ヘルスケア(官公庁・自治体・医療)は同119%
官公庁のシステム更新案件を複数獲得し、電子カルテや医療情報システムへの投資が回復基調
- ・ミッションクリティカル他(ミッションクリティカル・ナショナルセキュリティ他)は同127%
ナショナルセキュリティのSI商談が貢献
一方、海外の受注状況(累計)の分野別は以下の通りです。
- ・Europeは前年同期に対して92%
前年大型商談の反動、ドイツプライベートクラウド事業カーブアウト影響
- ・Americasは同127%
Fujitsu Uvanceを中心にサービスビジネスが力強く拡大
- ・Asia Pacificは同83%
前年度の公共系大型商談の反動減
■ハードウェアソリューションは減収減益
売上収益が前年同期比243億円減の1兆1,080億円、調整後営業利益は同289億円減の836億円
- ・システムプロダクトの売上収益は、主に為替影響により同623億円増の9,250億円
- ・ネットワークプロダクトの売上収益は、モバイルシステムとフォトニクスともに昨年度の高い需要の反動減により、同867億円減の1,830億円
- ・ネットワークプロダクトは、大型需要の一巡による売り上げ減少が見られるものの、高速、大容量、低遅延、低消費電力の実現が期待されるため次の成長に向けた開発投資を継続
■ユビキタスソリューションは減収増益
売上収益が前年同期比126億円減の2,733億円、調整後営業利益は同155億円増の242億円
- ・売上収益は、若干の減収も前年同期並み
- ・調整後営業利益は、為替影響含めた部材価格上昇に対するコストダウン、価格転嫁が進んで増益
■デバイスソリューションは減収減益
売上収益は前年同期比963億円減の2,863億円、調整後営業利益は同590億円減の183億円
- ・売上収益は、半導体パッケージの低調なデマンドが継続し減収
- ・調整後営業利益は、物量減および操業低下により大きく減益したものの、年度後半から続く低調なデマンドの回復遅れ
- ・半導体パッケージのデマンドは、2022年度上期までは好調だったものの下期から大きく減速(2023年度上期も回復は見られていない)し、物量減に伴う工場の操業低下が影響して大きな減益となったとしています。
- ・2023年12月に、新光電気工業の株式を産業革新投資機構の子会社JICキャピタルに譲渡する契約を締結し、2024年度に事業譲渡に伴う一過性の利益として約1500億円を計上する予定
■消去・全社
調整後営業利益は前年同期比388億円減の△797億円
- ・研究所:先進的先行研究の強化(AI、量子、省電力プロセッサ)
- ・経営基盤強化(One Fujitsu プログラム)
トランスフォーメーションへの取り組み
- ・サービスソリューション リージョンズ:採算性向上に向け事業ポートフォリオ転換を加速
・ドイツのプライベートクラウド事業をカーブアウト:一過性の損失として300億円強を計上(営業利益調整項目として計上)、当該事業の2023年度損失 約100億円
・欧州 低採算地域から撤退・コーポレート機能のダウンサイジング:一過性の損失として300億円強(営業利益調整項目として計上)、2024年度以降のコスト改善効果
・欧州 法人体系の再構築(サービス事業/ハードウェア事業の明確な事業運営体制を確立):再編に伴う税効果 +1,300億円強(当期利益調整項目として計上)
- ・ハードウェアソリューション
・国内のサーバ・ストレージ等*の開発・製造・販売・保守等の機能を統合し、事業構造の効率化を図るため、「エフサステクノロジーズ株式会社」を発足(2024年4月1日)
・ネットワーク事業において、北米中心に固定費圧縮による効率化
- ・ユビキタスソリューション:競争環境が厳しく、採算確保が難しい欧州地域のCCD事業から撤退(2024年4月で終息)
・一過性の損失 約△300億円弱
当該事業の2023年度損失見込み 約△20億円
- ・デバイスソリューション:新光電気工業株式会社の株式譲渡に関する契約を締結
・各種審査及び公開買い付け等を経て株式譲渡予定(2024年度実行)
・一過性の利益 約1,500億円(2024年度に非継続事業の利益として計上する見込)
・同社の2023年度業績 売上収益 2,099億円、営業利益 249億円(当社に帰属する当期利益 93億円)
Fujitsu Uvanceの状況(サービスソリューション)
2023年5月24日に発表した、2025年度を最終年度とする中期経営計画では、Fujitsu Uvanceを成長のドライバーとして、サービスソリューションを中心に全社の収益性拡大を目指すとして、2025年度の売上収益 7,000億円(2022年度実績:2,000億円、2023年度計画:3,000億円)を目標にしています。
社会課題を起点として、クロスインダストリーでお客様の成長に貢献するデジタルサービスを提供するとして、社会課題を解決するクロスインダストリー4分野(Vertical)と支える3つのテクノロジー基盤(Horizontal)を定めています。
- ・Vertical:Sustainable Manufacturing、Consumer Experience、Healthy Living 、Trusted Society
- ・Horizontal:Digital Shifts、Business Applications、Hybrid IT
Verticalオファリングのリリースを本格化、売上は計画を上回って前年度比84%増の3,679億円、受注は同80%増の4,493億円となっています。
なお、売上収益の年度推移は、以下の通りとしています。
- ・2022年度(実績):2,000億円(Vertical 150億円、Horizontal 1,850億円)、構成比 10%
- ・2023年度(2月予想):3,000億円(V 1,000億円、H 2,000億円)、構成比 14%
- ・2023年度(実績):3,679億円(V 1,163億円、H 2,515億円)、構成比 17%
- ・2025年度(中期計画):7,000億円(V 4,000億円、H 3,000億円)、構成比 30%
その他
キャッシュフローの状況
- ・フリー・キャッシュフロー:前年同期比401億円増の1,972億円
営業活動によるキャッシュ・フロー:同888億円増の3,092億円
投資活動によるキャッシュ・フロー:同1,144億円減の△1,572億円
- ・財務活動によるキャッシュ・フロー:同1,320億円増の△1,814億円
- ・なお、事業再編や事業構造改革およびM&A等に伴う一過性の収支を控除したコア・プリ―・キャッシュフローは同401億円増の1,972億円
資産、負債、資本の状況
- ・資産:前年同期比2,492億円増の3兆5,148億円
- ・負債:同672億円増の1兆5,959億円
- ・資本(純資産):同1,820億円増の1兆9,188億円
親会社所有者帰属持分(自己資本):同1,655億円増の1兆7,523億円
- ・(参考)有利子負債:前年同期比345億円増の2,456億円
2023年度(2024年3月期)の通期決算予想
2024年度(2025年3月期)の通期決算予想は、以下の通りです。
- ・売上収益は、前年比39億円(0.1%)増の3兆7,600億円
- ・営業利益は、同1,967億円増の3,300億円
(調整後営業利益は、同463億円増の3,300億円)
- ・親会社の所有者に帰属する当期利益は、同285億円減の2,260億円
(調整後当期利益は、同98億円減の2,260億円)
セグメント別の業績予想
セグメント別の業績見通しは以下の通りで、ハードウェアソリューションとユビキタスソリューションは減収減益を見込むものの、サービスソリューションとデバイスソリューションが増収増益となり、全体で増収減益を見込んでいます。
サービスソリューション
売上収益は前年比924億円増の2兆2,300億円、調整後営業利益は同428億円増の2,800億円
- ・グローバルリューション
Fujitsu Uvance を中心に増収増益を見込んで、売上収益は前年比496億円増の5,300億円、調整後営業利益は同62億円増の200億円
- ・リージョンズ(Japan)
売上収益はFujitsu Uvance、コンサルティング、モダナイゼーション中心に増収を見込んで、前年比1,078億円増の1兆3,700億円、調整後営業利益はコンサルティングケイパビリティ拡大に積極投資するも、継続して生産性向上して、同268億円増の2,400億円
- ・リージョンズ(海外)
売上収益は前年比641億円減の5,400億円、調整後営業利益はトランスフォーメーションによる 採算性改善効果を確実に実現して、同96億円増の200億円
ハードウェアソリューション
売上収益は前年比780億円減の1兆300億円、調整後営業利益は同136億円減の700億円
ユビキタスソリューション
売上収益は前年比533億円減の2,200億円、調整後営業利益は同42億円減の200億円
デバイスソリューション
売上収益は前年比486億円増の3,350億円、調整後営業利益は同216億円増の400億円
参考:電機各社の決算発表
2024.4.27 2023年度通期決算と2024年度通期予想:NEC
2024.4.25 2023年度通期決算と2024年度通期予想:富士通
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NECの2023年度(2024年3月期)通期決算は増収増益、すべての予想値を達成し中期計画達成へ推移中