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1月31日、富士通㈱が2011年度(平成23年度)第3四半期(2010年10~12月)決算と通期予想を発表しました。
2012年3月期業績予想を下方修正し、売上高は4兆4,900億円(前回予想4兆5,400億円)、連結当期純損益は350億円(同550億円)になる見込みです。
欧州金融市場の不安定化や新興国における成長率の鈍化などの景気減速に加え、2011年10月にタイで発生した洪水により寸断されたサプライチェーンの回復に各種対策を講じて一部を除き正常に戻ったものの、通期業績には影響が残る見通しとしています。
また、国内外のICT投資の回復の遅れ、パソコンやデジタル家電の販売低迷なども大きく影響しているようです。
なお第3四半期(10~12月)に関しては3事業とも海外の減収が大きく、テクノロジーソリューションの国内はほぼ前年並み、ユビキタスソリューションの国内は8.9%の増収、デバイスソリューションは国内も12.1%減収となっています。
減収減益要因で大きかったのは、タイの洪水による影響で、売上高で340億円、営業利益で140億円の減額となっています。
通期決算概況[2011年度は今回の予想
2009年度 | 2010年度 | 2011年度 (前年比:額、増減率) | |
---|---|---|---|
売上 | 4兆6,795億円 | 4兆5,284億円 | 4兆4,900億円 (△384億円、△0.8%) |
営業利益 | 943億円 | 1,325億円 | 1,000億円 (△325億円、△24.6%) |
経常利益 | 711億円 | 1,078億円 | 850億円 (△228億円、△21.2%) |
当期純利益 | 930億円 | 550億円 | 350億円 (△200億円、△36.5%) |
他の総合電機各社は、デジタル家電の構成比が大きく価格下落の影響で厳しい状況にあるのに対し、富士通はNECと同様にICT関連事業が中心の企業です。
ますますグローバル競争が激化するICT市場において、両社の構造的な改革が急務となっています。
2011年度(平成23年度)通期業績予想の比較
富士通 | NEC | |
---|---|---|
売上高 | 4兆4,900億円 (△384億円、△ 0.8%) |
3兆1,000億円 (△154億円、△0.5%) |
営業損益 | 1,000億円 (△325億円、△24.6%) |
700億円 (122億円、21.1%) |
経常損益 | 850億円 (△228億円、△21.2%) |
350億円 (350億円、 - ) |
当期純損益 | 350億円 (△200億円、△36.5%) |
△1,000億円 (△875億円、 - ) |
注:( )対前年同期増減
2011年度(平成23年度)富士通のセグメント別業績
注:上段は第3四半期累計(2010年4~12月)、下段は通期予想 (対前年同期増減)
テクノロジーソリューション
第3四半期 売上高:20,715億円(△2.2%)、営業損益: 716億円(△96億円)
通期予想 29,800億円(△1.1%)、 1,700億円( 71億円)
国内外でのICT投資の回復遅れを織り込み、システムプラットフォームでもサーバの売上を減額
ネットワークは、国内ではスマートフォン普及に伴い投資が増加する一方、海外では北米通信キャリアの一時的な投資抑制
「攻めの構造改革」を推進予定
- ・国内の民需分野において、中堅企業を担当する営業部門を(株)富士通マーケティングへ集約が2011年10月に完了
- ・地域SE会社群を2012年4月に東日本、西日本、九州の3地域に再編、統合を決定。
- ・クラウドサービスを見据えたソリューション開発などを進めるとともに、業種ノウハウを蓄積し、お客様のグローバル展開を支援する体制を強化
サービス事業
第3四半期 売上高:16,778億円(△1.9%)、営業損益: 522億円(△53億円)
通期予想 24,000億円(△0.8%)、 1,250億円( 76億円)
システムプラットフォーム事業
第3四半期 売上高: 3,937億円(△3.7%)、営業損益:194億円(△43億円)
通期予想 5,800億円(△2.5%)、 450億円(△ 5億円)
ユビキタスソリューション
第3四半期 売上高: 8,170億円(△1.7%)、営業損益: 64億円(△123億円)
通期予想 11,500億円( 2.2%)、 150億円(△ 76億円)
スマートフォンが好調な携帯電話を増額する一方で、タイの洪水による部品調達の遅れや顧客の生産調整のあったパソコンやモバイルウェアを減額
【携帯電話の出荷台数】
2011年度予想:770万台(前回予想:840万台、2010年度:670万台)
[参考:NECの販売計画は500万台(前回予想:650万台)]
【パソコンの出荷台数】
2011年度予想:630万台(前回予想:660万台、2010年度:542万台)
デバイスソリューション
第3四半期 売上高:4,266億円(△10.2%)、営業損益:△132億円(△329億円)
通期予想 5,800億円(△ 8.0%)、 △150億円(△359億円)
LSIでもタイの洪水による顧客の生産調整があり、デジタルAV向けなどの所要低迷による影響をLSIと電子部品ともに織り込む。
2011年度 第3四半期 連結決算発表予定
2012年1月26日 日本電気株式会社
2012年1月31日 富士通株式会社、株式会社東芝
2012年2月 2日 株式会社日立製作所、三菱電機株式会社、ソニー株式会社
2012年2月 3日 パナソニック株式会社、シャープ株式会社
参考
2012.1.31 富士通㈱「2011年度 第3四半期 連結決算」発表資料
当サイト
・2012. 1.30 NECの決算 2011年度(平成23年度)第3四半期
・2010.10.31 富士通とNECの決算 2010年度(平成23年度)上期
電機とITの決算 ≫ 富士通の決算 2011年度(平成23年度)第3四半期
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