このページ内の目次
先日、富士通㈱と日本電気㈱(NEC)から、2010年度(平成23年度)上期【第2四半期(2010年4~9月)】の決算が発表されました。
海外での回復ペースの減速、新興国向け輸出増勢の鈍化傾向、円高の影響に加え、国内における投資回復の遅れが影響しているようです。
特に国内のITC投資においては、金融業などの一部の業種向けサービスが改善傾向にあるものの、全般的なIT投資の回復の遅れにより売上は減少しています。
2010年度(平成23年度)上期【第2四半期】
富士通 | NEC | |
---|---|---|
売上高 | 2兆1,474億円(1.8%減) | 1兆4,692億円(11.2%減) |
営業損益 | 471億円(653億円増) | 11億円(388億円増) |
経常損益 | 314億円(611億円増) | △223億円(276億円増) |
当期純損益 | 190億円(55.9%減) | △270億円(166億円増) |
注:( )対前年同期増減
富士通
2009年10月のHDD事業の譲渡と為替影響による減収が影響しているようですが、それを除くと増収となっています。
収益面においては、採算性が悪化していたHDD事業を譲渡した影響や、LSI事業の構造改革効果などにより改善しています。
NEC
NECエレクトロニクス(現ルネサスエレクトロニクス)が連結子会社でなくなったこととキャリアネットワーク事業が減収になったことが大きく影響しています。
収益面については、NECエレクトロニクスが連結子会社でなくなったことにより営業黒字化を達成しています。
富士通のセグメント別(対前年同期増減)
テクノロジーソリューション
売上高:1兆4,008億円(2.3%減)、営業利益:563億円(250億円増)
内訳
サービス事業
- ・売上高:1兆1,291億円(3.8%減)、営業利益:385億円(41億円増)
- ・第2四半期単独:金融分野の大口顧客向け基幹系システムの更改対応商談があったことなどにより増収
システムプラットフォーム事業
- ・売上高:2,716億円(4.3%増)、営業利益:178億円(209億円増)
- ・第2四半期単独:サーバー、ストレージなどの統合、仮想化商談が底堅く推移し、欧州ではPCサーバーなど、米国ではキャリア向け光伝送システムを中心として増収
ユビキタスソリューション
売上高:5,412億円(5.8%増)、営業利益:151億円(20億円増)
内訳(第2四半期単独)
- ・PCは、前年同期に景気低迷を背景とした企業の投資抑制、新OS搭載機発売前の買い控えの影響もあり増収
- ・ナビゲーション向けなどのモバイルウェアは、政府のエコカー普及促進税制終了前の新車購入の駆け込み需要などにより増収
デバイスソリューション
売上高:3,196億円(15.0%増)、営業利益:113億円(293億円増)
内訳(第2四半期単独)
- ・LSIが、携帯電話やサーバー向けを中心にした所要回復により増収
- ・電子部品の市況回復により伸長
NECのセグメント別(対前年同期増減)
ITサービス事業
売上高:3,710億円(1.7%減)、営業損益:35億円(60億円減)
内訳
- ・金融業、製造業などの一部の業種向けSIサービスやアウトソーシングサービスが改善傾向にあるものの、国内全般的なIT投資の回復の遅れにより売上減少
- ・営業損益は、売上の減少やサービス関連事業およびグローバル事業拡大に向けた投資の増加などにより大きく悪化
プラットフォーム事業
売上高:1,768億円(6.4%増)、営業損益:△15億円(119億円増)
内訳
- ・ソフトウェアや企業向けネットワークなどが堅調に推移したことなどにより増収
- ・ソフトウェアは、仮想化によるシステム統合、運用管理領域、コンプライアンス対応に向けたセキュリティ領域が伸長
- ・ハードウェアは、大型案件によるUNIXサーバーの伸長に加え、IAサーバーが堅調に推移し、前年同期並みを確保
- ・営業損益は、売上の増加や継続的な費用削減などにより大きく改善
キャリアネットワーク事業
売上高:2,710億円(12.2%減)、営業損益:70億円(54億円減)
内訳
- ・海外向け無線通信機器の売上の減少、海洋システムの契約手続きの遅れなどによって減収
- ・営業損益は、費用削減を行ったものの海外における売上の減少などにより悪化
社会インフラ事業
売上高:1,379億円(6.3%増)、営業損益:40億円(13億円増)
内訳
- ・交通、消防など社会システム分野が堅調に推移したことで増収
- ・営業損益も、売上の増加やコスト削減などにより増益
パーソナルソリューション事業
売上高:3921億円(8.2%増)、営業損益:29億円(53億円減)
内訳
- ・携帯電話機市場において、競争激化による販売不振でモバイルターミナル事業が微減したが、企業及び個人向けパーソナルコンピュータの売上増加などで増収
- ・営業損益は、携帯電話機の売上の減少などにより減益
【参考】
2010.10.27 富士通㈱「2010年度 第2四半期 連結決算概要」発表資料
2010.10.28 日本電気㈱「2010年度 第2四半期 連結決算概要」発表資料
電機とITの決算 ≫ 富士通とNECの決算 2010年度(平成23年度)上期
関連記事
前へ
研修2回目終了-提案力向上と中小ITベンダー戦略策定-
次へ
富士通とNECの決算 2010年度(平成23年度)通期業績予想を修正