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先週、富士通㈱と日本電気㈱(NEC)が、2011年度(平成23年度)第2四半期(2011年7~9月)決算と通期予想を発表しました。
欧州を初めとする金融市場の混乱から海外での回復ペース減速、新興国向け輸出増勢の鈍化傾向、円高の影響などにより、成長率が鈍化しています。
また国内においては、東日本大震災による落ち込みからの回復が続いていており、一部の業種向けサービスが改善傾向にあるものの、本格的な回復に至っていないようです。
2011年度(平成23年度)上期(2011年4~9月)
富士通 | NEC | |
---|---|---|
売上高 | 2兆932億円(△2.6%) | 1兆4,432億円(△1.8%) |
営業損益 | 70億円(△401億円) | 68億円( 57億円) |
経常損益 | △20億円(△334億円) | △104億円(119億円) |
当期純損益 | 57億円(△133億円) | △110億円(161億円) |
注:( )対前年同期増減
富士通
為替の影響を吸収し第2四半期の売上高は微増したが、全指標で前年同期に対して減少した。
営業利益では、テクノロジーソリューションとユビキタスソリューションで計画を上回ったが、デバイスソリューションでは大幅に悪化した。
通期予想は、7月公表値に対し、売上高を600億円下方修正して4兆5,400億円、
利益は変更なく、営業利益1,350億円、経常利益1,200億円、当期純利益600億円。
NEC
売上高では、個人向けPCや液晶など、連結を外れたものを除くとほぼ前年並み。
損益面では社会インフラ事業などが改善し、
経常損益では持ち分法による当期損益が減少し、純損益では主にNECパーソナルコンピュータの株式売却益などで、いずれも前年同期からは改善した。
通期予想は、7月公表値に対し、売上高を500億円下方修正して3兆2,500億円、
利益は変更なく、営業利益900億円、経常利益550億円、当期純利益150億円。
2011年度上期(2011年4~9月) セグメント別業績
富士通のセグメント別
テクノロジーソリューション
売上高:1兆3,854億円(△1.1%)、営業利益:457億円(△106億円)
内訳
サービス事業
- ・売上高:1兆1,186億円(△0.9%)、営業利益:300億円(△84億円)
- ・アウトソーシングサービスは堅調に推移したが、システムインテグレーションは製造分野など一部の分野で回復の動きが見られるものの、震災影響に加え、公共分野などでの大型システム商談の減少などで、全体では減収
- ・海外はほぼ前年同期並みで、為替影響を除くと4%の増収
- ・営業利益は、震災影響に加え、大型システム商談減少の影響やクラウドサービスに対する先行投資を進めたことにより減益
システムプラットフォーム事業
- ・売上高:2,667億円(△1.8%)、営業利益:156億円(△21億円)
- ・次世代スーパーコンピュータシステムを構成する専用サーバやLTE向けなどで携帯電話基地局が増収したが、金融及び公共分野向けなどの大型システム商談が減少した影響でサーバ、ストレージなどが減収
- ・海外は、為替影響を除くと1%の増収
ユビキタスソリューション
売上高:5,158億円(△4.7%)、営業利益:43億円(△107億円)
内訳
- ・パソコンは、個人向け市場において販売台数増となったものの価格競争が激化し、企業向け市場では投資回復遅れで減収
- ・携帯電話は、株式会社東芝との事業統合効果やスマートフォン市場の拡大により、増収。またモバイルウェアのオーディオ・ナビゲーション機器は減収
- ・PCの年間660万台、携帯電話の年間700万台の計画にも変更なし
- ・海外は、為替影響を除くと1%の増収
デバイスソリューション
売上高:2,884億円(△9.8%)、営業利益:△48億円(△161億円)
内訳
- ・LSIは、次世代スーパーコンピュータシステム用CPUの最終納品用の売上があったものの、震災による影響で減収
- ・デジタルAV向けを中心として所要が伸び悩み減収
- ・海外は、為替影響を除いても11%の減収
NECのセグメント別
ITサービス事業
売上高:3,627億円(△2.2%)、営業損益:30億円(△6億円)
内訳
- ・自治体や医療機関向けは堅調に推移したものの、流通業や通信業が減少
- ・事業継続(BCP)対応を目的としたアウトソーシング商談は堅調
- ・売上が減少したものの、費用削減を進め、営業利益はほぼ前年並みを確保
プラットフォーム事業
売上高:1,740億円(△1.6%)、営業損益:△22億円(△7億円)
内訳
- ・ソフトウェアは、仮想化やクラウド基盤などの運用管理領域の伸長により増収
- ・ハードウェアは、大型案件の減少や専用端末の展開スケジュール見直しで減収
- ・企業ネットワークは、大型案件の獲得により増収
- ・売上減となるも費用効率化により、営業利益はほぼ前年並みを確保
キャリアネットワーク事業
売上高:2,942億円(8.6%)、営業損益:153億円(83億円)
内訳
- ・国内事業は、データトラフィックの増加に伴う需要増で拡大
- ・海外事業は、海洋システムでの大型プロジェクトの確実な遂行とパソリンク拡大により増加
- ・営業利益は、堅調な国内事業や海洋システムの売上拡大で増益
社会インフラ事業
売上高:1,403億円(1.8%)、営業損益:61億円(21億円)
内訳
- ・航空宇宙防衛システム分野が厳しいものの、放送や消防防災などの社会システム分野の増加により増収
- ・営業利益は、売上の増加および原価低減により増益
パーソナルソリューション事業
売上高:3,543億円(△9.6%)、営業損益:34億円(5億円)
内訳
- ・モバイルターミナルは、受託開発計上と製品ミックスの改善により増収
(出荷台数は前年同期並み)
- ・PCその他は、個人向けPCの非連結化などに伴い減収
- ・営業利益は、新端末の開発費が増加したものの、モバイルターミナルの損益が改善しほぼ前年並み
【参考】
2011.10.26 富士通㈱ 「2011年度 第2四半期 連結決算」発表資料
2011.10.27 日本電気㈱「2011年度 第2四半期 連結決算」発表資料
当サイト
2010.10.31 富士通とNECの決算 2010年度(平成23年度)上期
電機とITの決算 ≫ 富士通とNECの決算 2011年度(平成23年度)上期
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