このページ内の目次
今日で、国内主要電機8社の2011年度(平成23年度)第2四半期(2011年4~9月)と通期(2011年4月~2012年3月)予想が出揃いました。
テレビ関連の事業が総崩れしている一方、重電や産業機器関連事業が堅調な業績を示しています。
第2四半期累積(2011年4~9月)の業績概況は、以下の通りです。
- ・テレビ事業の製品とパネル製造で総崩れしたパナソニック、ソニー、シャープが最終赤字
- ・重電や産業機器事業などが牽引した日立製作所、三菱電機、東芝が黒字を確保
- ・国内IT投資抑制が続くITサービス事業中心の富士通は何とか黒字、NECは赤字
通期業績の見通しは、日立製作所と東芝は前回予想を維持しましたが、他6社は売上を下方修正しています。(ソニーとパナソニックは、全指標を下方修正)
下方修正の主な要因は、円高や世界景気の減速、タイの洪水による部品調達も影響を盛り込んだことによるのもです。
各社の第2四半期の業績と概況
NECと富士通については先日詳細に整理していますので、以下では他6社について整理します。
日本電気㈱
売上高:14,432億円(1.8%減)、営業利益:68億円(525%増)
純利益:△110億円(160億円増)
富士通㈱
売上高:2兆923億円(2.6%減)、営業利益:70億円(85%減)
純利益:57億円(70%減)
㈱日立製作所
売上高:4兆5,727億円(1.6%増)、営業利益:1,706億円(22%減)
純利益:509億円(68%減)
情報/通信システム部門は海外のストレージ関連ソフトウエアが好調、日本や米国で油圧ショベルの販売台数が増加し建設機械部門も伸びた。
電力システムや高機能材料、コンポーネントデバイスの営業利益が減少した。
東日本大震災の影響で、自動車関連の部材や原子力発電システムの販売が減少、HDD駆動装置の収益悪化、円高の進行も利益を押し下げた。
㈱東芝
売上高:2兆9,125億円(5.5%減)、営業利益:802億円(23%減)
純利益:227億円(19%減)
パソコン事業が欧米において伸び悩み、円高に起因する外貨換算調整、流通事務機器も減収となり、デジタルプロダクツ部門全体が減収となった。
パソコン事業はコスト削減の徹底や部材価格の低減などにより増益となったが、テレビなどの映像事業は国内における価格下落、地デジ移行完了、欧米における景気動向の影響を受けた。
為替で160億円、東日本大震災で100億円のマイナス影響、半導体などの電子デバイスが同35%減の430億円と落ち込んだ。
ソニー㈱
売上高:3兆699億円(9.6%減)、営業利益:258億円(81%減)
純利益:△424億円(992億円減)
映画部門を除く主要4部門全てで減収減益となった。
売上は、コンスーマープロダクツ&サービスで対前期比15.2%減、プロフェッショナルデバイス&ソリューションで同9.8%減
液晶テレビに加え、ゲーム機器やコンパクトデジタルカメラも販売が減少した。
減収に伴う売上利益減少に加え、中小型液晶事業売却に伴う資産減損、構造改革費用(306億円)の増加が利益を押し下げた。
パナソニック㈱
売上高:4兆52億円(8.3%減)、営業利益:476億円(72%減)
純利益:△1,362億円(2,108億円減)
本業の収益悪化に加え、営業外費用として早期退職一時金や固定資産の減損など事業構造改革費用を計上したため、2期ぶりに最終赤字に転落した。
アプライアンスと電工/パナホームの2セグメントで増収増益となったが、他3部門で減収減益となった。
デジタルAVCネットワークは薄型テレビや携帯電話の販売不振、半導体の売上げ低調、三洋電機も電子部品やデジカメ及び車載器が減少した。
(電工の車載向け電子材料/制御機器のデバイスも不振)
三菱電機㈱
売上高:1兆7,436億円(1.9%増)、営業利益:1,136億円(1%増)
純利益:696億円(2%減)
産業メカトロニクスや電子デバイスが伸び、円高進行や東日本大震災の影響があったものの増収を確保した。
ファクトリーオートメーション(FA)が堅調に推移したが、保有株式評価損など営業外損益の悪化が重荷になった。
FAは韓国や台湾でスマートフォンのパネル関連設備の需要が伸び、中国や北米で自動車関連機器が堅調だった。
保有株式の時価下落で評価損を計上した他、前年同期計上した固定資産売却益がなくなったことで、純利益は減益となった。
シャープ㈱
売上高:1兆3,146億円(12.6%減)、営業利益:336億円(23%減)
純利益:△398億円(541億円減)
東日本大震災の影響による液晶パネル生産一時停止や、液晶事業の構造改革など特別損失576億円が影響した。
液晶テレビの価格下落が収益を押し下げ、地デジ完全移行前の駆け込み需要で販売台数は9.5%増の688万台だったが、売上は減収となった。
スマートフォン向けの中小型パネルは堅調だったが、太陽電池部門は金融不安など欧州の需要が減退し営業赤字となった。
参考:当サイト
・2011.10.31 富士通とNECの決算 2011年度(平成23年度)上期と通期予想
参照:2011年度 第2四半期 連結決算発表
電機とITの決算 ≫ 国内電機8社の決算 2011年度 第2四半期と通期予想
関連記事
前へ
富士通とNECの決算 2011年度(平成23年度)第2四半期と上期(2011年4~9月)苦戦、通期予想も下方修正
次へ
書籍 スティーブ・ジョブズⅡ