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今回の国内主要電機の2010年度(平成22年度)通期決算発表に基づいて、各社の海外売上の状況について整理します。
そして、直近の中期計画などから、今後の海外売上の計画値についてもまとめておきます。
2010年度においても、中国をはじめとする新興国を中心として、家電や自動車関連及び社会インフラなどの事業を展開してきた企業において、前年度比の増収増益の軸となっています。
また各社の今後の成長戦略としても、国内市場を維持しながら、新興国を中心とした事業拡大が中心となっています。
国内市場の先行き不透明観がある中、国内ビジネスの海外展開ではなく、商品企画から生産・販売に係る現地主導型ビジネスの強化など、各社のグローバル展開に注目していきたいと考えています。
これからも、各社から発表される経営戦略や中期計画も確認しながら、各社の戦略実行の成果を確認していく予定です。
主要各社の海外売上概況:2010年度業績と今後の方針
NEC
売上高で、全地域において前年度比減収となり、全体で32%の減収
海洋システムの大型プロジェクト獲得遅延やパソリンクの事業環境遅れなどで、「キャリアネットワーク」事業で減収
グローバル5極(北米、中南米、中華圏、APAC、EMEA)で現地主導型の事業運営
- ・特に新興国を中心として、教育や環境エネルギー、医療などの領域に注力
- ・また携帯電話の出荷比率を2010年度20%から2011年度30%に引き上げ
富士通
売上高で前年度比12%の減収(為替影響を除いても2%の減収)
HDD事業譲渡などによる売上減とサービス事業で英国政府政策の影響
為替影響を除いたセグメント別売上では、「ユビキタスソリューション」で前年度比3%、「デバイスソリューション」で同11%の増収
営業利益は、EMEA(欧州・中近東・アフリカ)中心として前年度比169億円の悪化で、全体としては47億円の損失
日立製作所
売上高で前年度比111%の増収、欧州を除く3地域で増収
建設機械部門が新興国向けを中心に増加し、エレクトロニクスや自動車関連分野の需要回復に伴い、「電子装置システム」や「高機能材料」、「コンポーネントデバイス」、「オートモティブシステム」の部門等が好調に推移
今後も社会インフラ関連、2010年度スペインや中国及びインドなどで新たな案件を獲得したスマートシティ関連事業を展開
東芝
売上高で前年度比101%の増収
アジアと欧州が前年度を下回るものの、北米とその他地域が上回る
テレビなどの映像事業が新興国向けで増収、
2011年度も新興国を中心とした成長戦略を実行
「デジタルプロダクト」部門では新興国向け商品ラインナップ拡充、「社会インフラ」部門は新興国への社会インフラ供給を加速、「家庭電器」部門では商品力及び販売力強化に向けた「デジタルプロダクト」部門との連携を強化
パナソニック
売上高で前年度比122%の増収、全ての地域で増収
特にアジアや中国ではパナソニック電工の商品やFA機器、エアコンなどの販売が好調で、増収の牽引役となる
5部門中、「アプライアンス(前年比109%)」「電工パナホーム(同116%)」「三洋電機(同373%)」の3部門で、前年売上を上回る
2011年度売上高は、2010年度比105%の見通し(東日本大震災の影響は未反映)
「三洋電機」を除く部門、地域別では全地域で2010年度を上回る予定
シャープ
売上高で前年度比107%の増収、特に中国での122%増収が牽引
今後も、中国などの新興国向けの中型テレビを強化、米国や中国で大型テレビを投入して新しい市場を作ることにより海外事業を拡大予定
さらに、中国G6ラインでの大型液晶生産の本格稼働、イタリアにおける薄膜太陽電池生産会社の稼働開始、リカレントによるソーラーディベロッパー事業を展開
三菱電機
売上高で前年度比109%の増収、特にアジアでの123%増収が牽引
ビル事業で中国及びASEANの昇降機、FAシステム事業でアジア市場、自動車機器事業で中国及びインドをはじめ各国市場での需要拡大に伴い前年度比増収
「2010年度 通期 連結決算」発表資料
当サイトまとめ
・2011. 5.12 国内電機各社の決算2010年度(平成22年度)通期 収益回復に格差
・2010. 8. 8 電機各社の海外売上計画
電機とITの決算 ≫ 国内電機各社の海外売上 2010年度通期決算と中期目標
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