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Googleが動画共有サイト運営企業のYouTube(ユーチューブ)の買収する額は、総額16億5,000万ドル(約2,000億円)です。
この買収には、どんな狙いがあるのでしょうか。
今結論を出すのは早いかもしれませんが、Googleがこれまで収益源としていた「広告モデルをさらに拡大」しようとしている以外に、新たなビジネスモデルをつくろうとしているのではないかと私は思います。
動画は、テキストと違ってエンターテイメントの要素が強く、今後増加する投稿動画を検索・整理するニーズは高くなっていくはずです。
さらに今回の買収は、ロングテールのヘッドにいる者とテールにいる者とが同じ土俵(市場)に混在させることになり、その巨大な受け皿を提供することになると思います。
そこには、新たなビジネスモデルが生まれ、単に買収額が妥当かどうかの議論を超えたものがあると思います。
ご存知のように、ロングテールのヘッドは営利を優先した従来の生産者で、テールでは利益はしばしば二の次とされます。
テールの生産者の目的は、自己表現や楽しみなどで、「評判」が価値基準です。
自主制作で商業的成功をあまり期待せずにテールに参入してくる生産者は、リスクを恐れないために様々なアイデアが生まれ、発展していくことでしょう。
音楽の世界ではすでに先例がありますが、
- ・自作の曲をインターネットに投稿して人気が出る。
- ・それをテレビやラジオ、さらにはレコード会社が取り上げて、メジャーデビューする。
こんな構図が、生産と流通コストを抑えられる同じデジタル商品の動画(映像)の世界でも成り立つと思います。
そうなると、それまでのテレビや映画館、そして製作会社も含めたエンターテイメント産業全体のビジネスモデルは大きく変わっていくと思います。
プロとアマチュア、生産者と利用者(購入者)、これらが混ざり合った「ネット民主主義」社会が生まれるのではないでしょうか。
その先には、テレビを見ない、映画館で映画を見なくなった年代が大半を占め、本当に人気が出るのはインターネットに引き返してからという時代が来るかもしれません。
ソフトウェアをデジタル商品と考えると、同様のことがIT業界でも起こる可能性はありますね。
補足
YouTubeは昨年2月からサービスを開始したばかりですが、今や1日に1億回以上の視聴があると言われています。
この数値は、GoogleやYahoo!、MSNの動画サイトを抜き去っています。
また、YouTubeが今年4月に公表したところによると、
- ・それまでに4,000万本以上の動画が投稿され、
- ・1日に35,000本以上のペースで増え続けている。
その後、具体的な数値は公表されていませんが、今や1日65,000本、総投稿数1億本を突破しているといわれています。
また、YouTubeの検索キーワードは日本語が使えますが、サイトは英語版にもかかわらず日本でも伸びています。
インターネット調査会社のネットレイティングスによると、
- ・今年5月にUSENが運営するGyaOを抜いて、
- ・今年8月の日本でのアクセス数は、月間約4億7,200万ページビュー(GyaOの約3倍) だそうです。
これらの投稿はアマチュア、テール側の生産者です。
ますます増加していて、中には面白いコンテンツもかるかもしれません。
一方最近のYouTubeは、米国大手放送局だけでなくハリウッドや大手レコード会社と提携しています。
これらはプロ、ヘッド側の生産者でした。
彼らの基準で売れそうな(視聴率があがりこうな)映像を選別して、限られた時間枠や映画館で放映していました。
あるいは、限られた店舗の棚でDVDを販売していました。
しかし、「ネット民主主義」社会に巻き込まれてしまいました。
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