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文部科学省と法務省の動きを受け、経済産業省が2004年にJIS2004を改正しました。
この政府の国語政策や法令などの後押しで、JIS2004は今後のフォントの主流となると思われます。
そこで、「JIS2004の概要(JIS90との差異)」と「想定される問題」をまとめてみたいと思います。
来年1月の一般リリース予定のWindows Vistaでは、このJIS2004が標準実装され、本格的な使用段階になります。
そうなると、一般の利用環境において、Windows XPなどの現在主流のJIS90とJIS2004が混在することになり、様々な問題が発生することが想像されます。
問題の中で、特に企業にとっては情報システムへの影響です。
対策としては、情報システム側とクライアント側を合わせて移行するのが理想ですが、できなければクライアントの統制や運用(入力ルール)で対応するしかありません。
なお、マイクロソフト社からもWindows Vistaに関する対応支援HPで、互換性検証状況や周辺機器の対応検証結果を掲示しており、随時確認しておくことが必要です。
さらに互換性確保のため、Windows XPで新しい文字セットを使えるようにするフォント(JIS2004対応フォント)と、Vistaで旧字体を使えるようにするフォント(JIS90対応フォント)を来年1月末に提供する予定のようです。
1.JIS2004の概要(JIS90との主な差異)
①JIS90に第三と第四水準漢字と非漢字を追加した、新しい文字企画です。
②JIS90に対して、文字数が約4,300文字増加します。(内訳は下記)
例:人名漢字、丸付き数字は①~丸50と黒丸1~20、ユーロ記号など
③JIS90の範囲内においても、168文字の字体が変わります。
例:辻や逢は「二点しんにょう」へ
④文字コードはUnicodeで実装されます。シフトJISやEUCでは表現されません。
ちなみにWindows XPでは、UnicodeでJIS90を扱っています。
⑤新たなフォントとして、明朝やゴシック対に加えて「メイリオ」が追加されます。
2.想定される問題
①現PC(JIS90)で作ったデータ文字が、新PC(JIS2004)で変わる。
逆に、新PC(JIS2004)で作ったデータ文字が、現PC(JIS90)で変わったり、表示できない。
②新規追加領域の文字で検索すると、期待通りの検索結果が得られない。
③情報システムの場合を考えると、以下の問題が起こる可能性があります。
- ・業務システム(サーバ側)がJIS90の場合
クライアントがJIS90:現状通り、問題なし。
JIS2004:新規追加領域の文字があると、アプロケーションクラッシュや不正コードエラー及び代替文字への変換などが起こる。
ソートや比較などの処理が意図した通りに行われない。
- ・業務システム(サーバ側)がJIS2004の場合
クライアントがJIS90:正しく表示されない。
システムの処理で、新規追加領域の文字が返されると代替文字に置き換わる。
JIS2004:問題なし。
ちなみに、メイリオは「明瞭」の意味で,英語での表記は「Meiryo」だそうです。
-参考-
JIS90(6,879文字) | JIS2004(11,233文字) | |
---|---|---|
非漢字 | 524文字 | 同左 |
追加 | - | 659文字 |
非漢字 計 | 524文字 | 1,183文字 |
漢字 第一水準 | 2,965文字 | 同左 |
第二水準 | 3,390文字 | 同左 |
第三水準 | - | 1,259文字 |
第四水準 | - | 2,436文字 |
漢字 計 | 6,879文字 | 11,233文字 |
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