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国内では、昨年末から音声対話型のAIアシスタントに対応したスマートスピーカが注目されています。
声で語りかけると、アラームやタイマー、天気予報やニュースを音声で返してくれたり、音楽再生や調べもの、メッセージを送信してくれるなど、便利なデバイスです。
「Amazon Echo」と「Google Home」が二強
そのスマートスピーカの世界市場においては、「Amazon Echo」と「Google Home」が二強を形成しており、先行販売した「Amazon Echo」に対して「Google Home」が猛追しているという状況です。
国内においては、「Amazon Echo」と「Google Home」に加え、LINEの「Clova WAVE」が昨年末に、ほぼ同じ1万円台前半の価格帯で販売されています。
また、AmazonとGoogleにはサイズの品揃えもあります。
Amazonには標準サイズの「Amazon Echo」に加え小型サイズの「Amazon Echo Dot」と大型サイズの「Amazon Echo Plus」、Googleには標準サイズのに加えて小型サイズの「Google Home Mini」があります。
さらに、音声AIアシスタントのAlexa(Amazon)やGoogleアシスタントなどに対応したスマートスピーカが、ソニーやオンキョー及びパナソニックなどからも発売されています。
一方、Appleの「HomePod」は、今年2018年2月に米国他で発売されましたが、国内での発売は現段階では未定となっています。
「Amazon Echo」と「Google Home」との設計コンセプトの大きな違いは、本体での音量調整の方法で、「Amazon Echo Plus」を除く「Amazon Echo」は天板部の物理ボタンで音量をダイレクトに調整できるのに対し、「Google Home」はタッチセンサー式となっているところです。
スマートスピーカは、「ウエイクワード」を発すると反応(起動)し、「コマンドワード」を言うと回答してくれるという仕組みが基本となっています。
スマートスピーカの性能は、「コマンドワード」の意図を判断して、次の作業を指示する「スキル」に依存します。
先行して販売したAlexa(Amazon)は保有する「スキル」が豊富で、様々な「コマンドワード」に反応できることで優位性を発揮してきましたが、Googleも最近多くの「スキル」を準備してきています。
ちなみに2018年4月23日のAlexa Blogsによると、Alexa(Amazon)の「スキル」は「世界では3万以上、日本では600以上のスキル(2018年3月末時点)が開発されており、スキルの数は日々増え続けています。」とコメントしています。
この「スキル」が充実していくことにより、ユーザの命令に対して幅広く反応をしてくれるようになります。
そして、テレビやレコーダーなどの他、家庭内の様々なスマート家電やデバイスと連携して、スマートスピーカから操作したり、デバイスの状況を確認したりすることができようになってきています。
スマートスピーカを通して様々な家電を制御・管理できることは、スマートスピーカが家庭内のプラットフォームとなることを意味します。
すでにスマートリモコンと連携した家電製品のコントロールは、照明やテレビを点けたりすることができますが、「Amazon Echo」には複数の命令をまとめて行える「定型アクション」機能も装備しています。
さらに、Alexa(Amazon)を搭載したパソコンもLenovo「Yoga 730」やAcer「Spin 5」「Spin 3」が発表されていますし、自動車にも搭載されることも予想されます。
Googleは、Androidスマートフォンにも搭載しているだけでなく、カレンダーやGoogle Play Musicなどの他のGoogleサービスとも連携しますので、トータルサービスとしての利用シーンは広がっていく可能性があります。
ショッピングサイトのAmazon.comや音楽ストリーミングサービスなどの独自サービスと連動したAmazonに対し、OSから検索及び多くのサービスと連動するGoogleの追随と、今後も両社の動向に注目していきたいと思います。
そして、豊富なシェアを持っているスマートフォン「iPhone」を有するAppleの「Siri」、Windowsを有するMicrosoftスマートアシスタント「Cortana」の動向も気になるところです。
2018年1Q、「Google Home」が初の1位
出典
Canalys、2018年5月23日
Google beats Amazon to first place in smart speaker market
現地時間2018年5月23日、調査企業Canalysがスマートスピーカ市場調査の結果を発表しています。
これによると、2018年第1四半期の世界出荷台数は、全体で前年同期比610万台(210%)増の900万台となり、「Google Home」が「Amazon Echo」を抜いて初めて首位となったとしています。
「Google Home」や「Google Home Mini」などGoogleのスマートスピーカの出荷台数は320万台(36.2%)だったのに対し、「Amazon Echo」は250万台(27.7%)、Appleの「HomePod」は17.3%の「その他」にまとめられているようです。
今回の結果を受けてCanalysは、以下のようにコメントしています。
- ・Googleの成功は、サービスプロバイダーとパートナーシップを組んでユーザーにアプローチしており、インドなどの新しい市場への出荷を背景にしている。
- ・小売業者などは、AmazonよりもGoogleのスピーカを優先する傾向にある。
Amazonは直接の競争相手であり、微妙な関係にあるためである。
- ・それでもAmazonは懸命に巻き返そうとしている。
スマートホームとの連携機能や「Alexa Skills」の数が多いことなどから、どの競合にとっても対抗するのが難しい相手となるだろう。
また市場別では、全体に占める米国市場が50%以下となり、その要因はGoogleやAmazonが米国以外の市場への拡大を強化したことや、中国や韓国などの市場が勢いを増したことが一因と見ています。
- ・米国:410万台
- ・中国:180万台
- ・韓国:73万台
参考
Google beats Amazon to first place in smart speaker market
2018年5月23日、Canalys
スキルストア掲載情報のヒント
2018年4月23日、Alexa Blogs
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