書籍 ハーバードの「世界を動かす授業」

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20100911

ハーバードの「世界を動かす授業」
-ビジネスエリートが学ぶグローバル経済の読み解き方-

リチャード・ヴィートー (著)、仲條 亮子 (著、訳)
出版社:徳間書店

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一人ひとりが世界や自国の状況をよく理解し、「より良い世界にするために動き出すこと」こそが、私達に課せられた「義務」である。

ビジネス・リーダーは、自分達の国がよりよく機能するするため、またよりよい世界を形成するための責任がある。

「今、世界で何が起きているか、社会政策や経済はどうなっているか」を理解することが誰にとっても何よりも大切である。

知識が豊富な人々、各国がどのように競争していくかについて考え関心をもつ人々こそ、もっと社会政策に関して役割を果たすべきである。

本著は、世界トップ企業のエリートたちがこぞって受ける「ハーバード人気NO1教授」の授業内容を紹介した一冊です。

しかし本書が他と違うところは、単に授業内容を翻訳しただけではなく日本向けに書き下ろされているところです。

著者のリチャード・ヴィートー教授は、2009年に同校の優秀教官賞を受賞し、その授業であるBGIE(Business, Government and the International Economy)を紹介しています。

BGIEは、世界の一流企業から選ばれた経営者及び経営者候補を対象にし、MBA取得後に目指す「トップ・エグゼプティブが学ぶ世界最高峰の授業」とも言われるハーバードAMP(上級マネジメントプログラム)の必須科目でもあります。

それぞれの国は発展の軌道を持ち、大きく8つの軌道に区分し、この軌道区分をさらに発展させ、新たな切り口で世界の読み解き方を示しています。

国際経済をビジネスと政府の役割をまじえながら、日本が過去発展してきた要因や現状の課題など、自分達がこから何をすべきなのかを考える一冊でした。

素晴らしい戦略さえあれば成功するのかといえば、そうではない。
戦略に合ったカードを持っているかどうかが大切なのである。

戦うための資源や人材は揃っているか? 今が戦うタイミングなのか?
競合相手との違いを出して強みを活かしているかなど、自らの企業や国の立ち位置を見極めなければいけない。

 

非常に重要な世界的軌道

1.アジアの高度成長

(1)中国、台湾、香港、韓国、シンガポール、インド

急速に成長しているアジア諸国は、世界人口の3分の2を占めている。

(2)一般的にほとんどの国が、農業から製造業、そしてサービス業へと発展移行している。

但し、インドはサービス業の比率が高いことが特徴的である。

(3)日本は、今や成長軌道から外れている。西洋先進国に近い軌道へ動いている。

 

2.ラテンアメリカの債務危機からの回復

ほとんどの国が、1980年代に債務危機に陥った。

植民地時代の名残りがあり、悪い意味で旧支配国の法制度が残っている。

ブラジルやメキシコなどには潤沢な資源があることも、経済発展を遅らせる要因の一つとなっている。

 

3.アフリカのルネサンス(復興)

1950年代以降、サハラ砂漠以南の国々は植民地支配から解き放たれた。

特に南アフリカは、アパルトヘイト終焉が転換期となり、今やアフリカ全体GDPの22%を占めるようになった。

アフリカ南部の国々は年4~6%成長しているが、依然として社会問題を抱えている。

 

4.イスラム諸国の台頭

世界中のイスラム教徒は、16億人

イスラムの中心であるサウジアラビア、イラン、イラク、アラブ首長国連邦、膨大な石油資源を擁している。

石油価格上昇で急速な経済成長を遂げているが、様々な問題も抱えている。

 

5.ソ連の崩壊、ロシアと東欧のポスト・ソビエトの再構築

共産及び社会主義体制は崩壊し、民主的な政府と資本主義的な経済を組み立てることになった。

この20年近くの大きな転換は非常に厳しい道のり。

遅れを取り戻すには、さらに十数年はかかるだろう。

 

6.欧州の経済統合

27カ国の欧州の内、16カ国が通貨同盟に参加し、3億2,500万人にのぼる大統合になったが、問題は山積みである。

ギリシャ問題や異なる言語と文化を持つ国々からなるEUが、どのようにアイデンティティを形成していくかなど、加盟国間での軋轢がある。

 

7.日本とアメリカにおける財政赤字と巨大債務

日米両国とも、他の諸国よりはるかに豊かになった反面、競争力も失われた。

両国経済が抱えている問題は、2国だけではなくグローバルな問題である。

 

8.地球規模の環境

先進国は、技術力の向上で効率性の高い環境対策が可能となってたが。

発展途上国の人口は50億人にのぼり、依然として環境を破壊し続けている。

米国、中国、インドから手を打つことを合意すれば、環境問題に対処できる。

 

企業が事業活動を行ううえで、重要な経済、政治、社会、法律、グローバリゼーションの影響などについて分析する。

ビジネスの現場に出て行く際には、これらの問題は避けては通れないものであり、企業戦略を練るときにも必ず考慮に入れなくてはならない領域である。

国家の戦略に限らず、企業戦略においても、戦略はその国に合うものを作ることであり、その国を構成する様々な状況に戦略がマッチしているかを常に考えるべきと思います。

  • ・戦略がその国民の特質やスキル、資源の有無、政治文化に合っているか?
  • ・国際的に立たされている状況や地理的特質に合っているか?

 

閉塞観に満ち溢れている近年の日本、その中で多くの企業が苦労している現在、今後の日本経済復活のためには、世界の中の日本、そして世界や特定地域の動向を見据えた企業活動が必要となります。

本著は、世界の主な国々の歴史や今後の課題を俯瞰するうえで、大いに参考になりました。
戦略を考えていく上では、さらに詳細に掘り下げていく必要がありますが、それは自分が置かれている状況の中で、どのように考え、行動するか次第だと思います。

 

 

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