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どこまで墜ちた企業を救えるか
-究極のV字回復シナリオ-
柴田 昌治 (著)、大川 康治(著)
出版社:日本経済新聞出版社
うちの会社は大丈夫か?
あきらめるのはまだ早い!ここまで会社は立ち直る!
絶対的な状況から蘇らせた「人を幸せにする」新しい再生手法をドラマで解き明かす!
本書は、産業再生機構の発足当時の顧問であり、「ターンアラウンド・マネジャー(事業再生専門家)」として数々の大型の再生案件を手がけてきた大川康治氏と、独自の風土・体質改革の手法で「人」の面から企業を刷新する「変革のプロセスデザイナー」の柴田昌治氏の両氏が、自らの経験にもとづく事業再生のノウハウを書いた一冊です。
広島が本社の名門バス会社が、地域の名士でもある経営者の放漫経営で破綻する。
企業再生機構から派遣された再建チームと志ある残った社員が、様々な課題を解決し、1年後に営業損益黒字を達成するドラマです。
実在企業を想像するドラマを通じて、財務リストラや業務改善による「外科的手法の事業再生」と企業の風土改革による「免疫療法的手法」を両輪とした「ホリスティックな企業再生」のあり方を理解することができます。
また章末の「V字回復ノート」は、企業再生アプローチのポイントが解説してあり、内容を理解する上で参考になるとともに、潜在的な破綻懸念企業が「自己診断」や「破綻予防」する際の参考としても利用できます。
今や、技術進化も早く、競争も激化しグローパル化しています。
一度成功したビジネスモデルもすぐに陳腐化する中、競合に打ち勝っていくためには、企業は累積的に進化していくことが必要だと思います。
そのためには、社員一人ひとりが主体的に考え行動し、その積極な活動を促進する環境を企業はつくっていかなければならないと思います。
本著は企業再生をテーマにしていますが、破綻企業に限らず一般企業のトップや社員に様々な気づきを与えてくれます。
企業の生死の分かれ目は、どこにある?
企業をつぶす経営者のタイプ
- ・社業に熱心でなく、夜の街が大好き
- ・裸の大様タイプ:経営者は一生懸命だが、社員は言われたことしかしない
優秀だと「誤解される」古いタイプのリーダーシップ
自分ひとりで決め、社員を手足として使う → 言われたことをやるだけの社員
経営悪化の要因と破綻前の症状、再生のための対策
- ・要因:経営失敗、不適切な財務、稚拙な運転資金管理、高コスト体質、組織慢性
- ・症状:損益の低迷、B/Sの悪化、資金繰りの悪化
- ・対策:主要事業強化、減資と増資、資産処分、債務削減、人員やコスト削減
何をきっかけに再生が起動するのか?
破綻懸念先(ハタケン)の要因
営業赤字、実質債務超過、営業キャッシュフローのマイナス
破綻企業の再生手法:私的整理と法的整理
新生組織のマネジメント
あるがままの現実を直視する
再生の方向性、シナリオを示す
情報(事実や背景)をオープンにする
改革の思いと推進力を持つ人材を顕在化する
意味や目的を考え抜く対話をつくる
V字回復のシナリオ
最初の3ヶ月が勝負
- ・債務に関して銀行間の調整を行い、債務を減らす
- ・必要な資産と不要な資産を見極め、不要資産を売却する
- ・事業の選択と集中をし、事業や会社ごと売却して人員を削減する
再生チームは、
- ・事業の選択と集中、財務リストラ、組織運営・人事政策等を事業計画にまとめ
- ・会社が自立的に進化できる「真の再生」を目指すべく企業風土改革に着手する
BS/PLは会社の足跡で過去のデータは宝の山
- ・過去のデータを見れば、企業の構造、特徴、問題などが読み取れる
- ・過去を見れば、その会社の将来が予測できる
変革を担う社員は、どこにでも残っている!
優等生は「処理」しかできない
- ・指示されたことを無難にこなす能力しかない
- ・意味や目的を深く考えて仕事をしたことがないから、きわめて視野が狭い
再生の推進力となる人材像
- ・会社や自分の仕事、自分の人生に、しっかりとした関心を持っている
- ・試行錯誤しながら、その根源の問題解決に取組む強い姿勢を持っている
- ・自分と事実に誠実な姿勢、言うべき事は上に対してもしっかると言う、誰に対しても公平な態度
企業の現金の規模と借金の許容額を測る指標
EBITDA = 税引前利益 + 特別損益 + 原価償却費
借金の許容額:EBITDAの10倍
参考
柴田 昌治氏:㈱スコラ・コンサルタント プロセスデザイナー代表
㈱スコラ・コンサルタント ホームページ
大川 康治氏:コーポレート・ドクター㈱ 代表取締役
コーポレート・ドクター㈱ ホームページ
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