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4つのデフォルト反応
『CLEAR THINKING』を参考にしてATY-Japanで作成
シェーン・パリッシュ『CLEAR THINKING(クリア・シンキング)』日経BP (2024/2/15)では、成功を左右するのは日頃のありふれた瞬間の判断の積み重ねであるとして、判断すべきタイミングを認識するスキルや、優れた判断を下すためのプロセスとその原則を解説した実践的ガイドです。
そこで、判断して行動する際には、生物的本能の「感情デフォルト反応」「エゴデフォルト反応」「社会性デフォルト反応」「慣性デフォルト反応」の4つのデフォルト反応があるとして、それらをコントロールする方法を詳細に解説しています。
このデフォルト反応にうまく対応して、成功する確度を上げるためには、本書の「16の原則」が役に立ちます。
しかし本書では、意志の力だけではクリア・シンキング(明晰な思考)はできないとしています。
誰にも弱点はあり、それらは習慣を通じて身に付き、慣性の結果、定着していきます。
そこで、デフォルトに対応するためには、弱点がどのようなものか、また先天的か後天的かにかかわらず、管理しなければならないとしています。
弱点を管理する方法は二種類があり、一つは強さを養うことで、後天的弱さを克服するのに役立ちます。
もう一つは、セーフガード(安全装置)を準備することで、強さだけでは克服するのが難しい弱さを抑えるのに役立ちます。
弱点を管理する方法(自分自身のリプログラミング)
デフォルト反応によって優れた判断を妨げられないようにするには、同じくらい強力な生物的な力を利用する必要がある。
デフォルトが足を引っ張る力を逆手に取り、味方につける。(慣性の力を利用する)
弱点を管理する方法
- ・強さを磨く(養う)。
後天的弱さを克服するのに役立つ。
- ・セーフガード(安全装置)を準備する。
強さだけでは克服するのが難しいさまざまな弱さを押さえるのに役立つ。
強さを磨く(養う)
絶えず大切な目標に近づくことを考え、感じ、行動するよう心がけ、「強さを磨く」よう努力していれば、慣性は可能性を解き放つ無敵の力になる。
プラスの慣性を生み出すカギとなるのが儀式化である。
儀式(ルーティン)は、目の前の場面以外の何かに意識を集中させる。
強さとは、デフォルトをいったん中止させ、優れた判断をする能力のことである。
強さを磨くとは、本能という荒馬を手なずけ、人生を良い方向に向かわせるよう判断し、活用していくことである。
身に着けるべき重要な強さ
- ・自分に責任を持つ
自らの能力を高め、弱点をコントロールし、理性によって行動を律する責任を引き受ける。
どのような状況に置かれても、自分の行動の責任をとると腹をくくるところから始まる。
- ・自分を知る
自らの強さと弱さ、自分に何ができ、何ができないかを知る。
自分が何を知っていて、何を知らないかを理解していることは、勝てるゲームを戦うためのカギとなる。
- ・自分をコントロールする
恐れ、欲望、感情をコントロールする。
自分自身と感情との間に距離を置き、自分には感情にどう反応するかを決める力があると理解する。
- ・自信を持つ
自らの能力を信じ、自分は他の人々にとって価値のある人間だと信じる。
誰が正しいかではなく何が正しいかに集中する強さ、現実に直面する強さ、過ちを認める強さ、自分の考えを変える強さであり、自尊心より結果を優先するために必要である。
基準を引き上げ、強さを養う。
- ・正しいロールモデルを選び、手本に従う。何度も繰り返して内面化する。
- ・ロールモデルを模倣するためには、時間的スペースを確保し、自らの思考、感情、行動の選択肢を評価するために、合理的思考を実践する。
- ・新しい思考、感情、行動のパターンが身につくまで、思考トレーニングを継続する。
弱さをコントロールする
人生の主導権をとるとは、自分にできることをコントロースすることと、自分にできないこと(弱点や弱さ)を管理することである。
自分自身の死角を理解し、それらを管理する。
自分が見ている世界こそが正しい姿だと思っていると、思考に欠落が生まれるため、視点を変えて他の人々の視点から状況を見る。
セーフガード戦略で自分を守る。
- ・予防
不利な状況で意思決定しない。
- ・成功につながるオートマチック・ルール
自分が望むような結果につながる、新たな行動を生み出す、マイルールをつくる。
- ・抵抗を生み出す。
目標に反する行動にかかる労力を増やす。
- ・ガードレールを設置する。
自分がすべき行動手順を決めておく(チェックリストの活用)。
- ・視点を変える。
「これで合っている?」「他に私が見落としている点はないかな」という問いを投げかけ、他者の視点からモノを見る。
偉人と凡人の違いの一つは、失敗にどう対処するか、失敗から学び、結果として成長するかにある。
- ・責任を引き受ける。
失敗に自分がどうかかわったかを認め、それが引き起こした事態への責任を引き受ける。
- ・失敗から学ぶ。
失敗に至るまでのさまざまな思考、感情、行動を、時間をかけてじっくり振り返る。
- ・次はもっと上手に対応すると誓う。
もっと自分に責任を持つ、もっと自信を持つなど、上手にやるための計画を立てる。
- ・ダメージをできるかぎり修復する。
失敗を受け入れ、失敗から学んだうえで手放す(過去に及ぼすかもしれない悪影響を取り除く)。
CLEAR THINKING(クリア・シンキング)
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CLEAR THINKING(クリア・シンキング)
大事なところで間違えない「決める」ための戦略的思考法
シェーン・パリッシュ (著)、土方 奈美 (翻訳)
出版社:日経BP (2024/2/15)
Amazon.co.jp:CLEAR THINKING
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