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先日は、NEC、富士通、日立製作所、東芝の2013年度第1四半期決算(2013年4月1日~6月30日)と通期予想について概況を整理しましたが、今回はソニー、パナソニック、三菱電機、シャープの決算概要を整理します。
今回の電機各社の決算では、円安が業績向上に寄与していますが、正味の実力回復は今後の構造改革の進捗次第となりそうです。
新興国をはじめとする社会インフラ関連事業は堅調ではあるものの、スマートフォン関連事業では厳しいグローバル競争と国内キャリアの販売方針見直しなどの影響が大きく、さらにテレビや家電関連事業も本格的に回復しているとはいえません。
各社の早期業績回復を期待しています。
富士通、東芝、ソニー、パナソニック、シャープの5社は、前年同期に対して増収増益となり、NECと三菱電機は増収減益、日立製作所は減収減益となりました。
ここでは、ソニー、パナソニック、三菱電機、シャープの4社について、2013年度第1四半期(2013年4月1日~6月30日)の各社の決算概要を整理します。
ソニー
- ・ケミカルプロダクツ関連事業の売却やカメラ事業減少の影響はありましたが、為替の好影響及び金融ビジネスやスマートフォンの販売台数増加により、全体で増収増益となりました。(前年同期の為替レートを適用した場合、売上高は3%の減収)
- ・イメージングプロダクツ&ソリューション(IP&S)、ゲーム、デバイスの3部門で減収減益となりましたが、モバイルプロダクツ&コミュニケーション(MP&C)、ホームエンタテイメント&サウンド(HE&S)、映画、音楽、金融の5部門で増収増益となりました。
- ・IP&S部門ではビデオカメラやコンパクトデジタルカメラの大幅な販売台数減少、ゲーム部門ではハードウェアの販売減及び研究開発費増、デバイス部門ではモバイル機器向けのイメージセンサーの増収はあったもののゲーム向けシステムLSIの減収やケミカルプロダクツ関連事業の売却により、各部門は減収減益となりました。
- ・MP&C部門では為替の好影響とXperiaを中心としたスマートフォンの販売台数大幅増(960万台、前年同期比30%増)、HE&S部門では為替の好影響と3年ぶりに営業黒字となったテレビ事業の損益改善、映画及び音楽部門では為替の好影響、金融部門ではソニー生命の大幅増収増益などにより、各部門は増収増益となりました。
- ・通期決算予想につきましては、スマートフォンの販売見通しを4,200万台と据え置きましたが、テレビの販売台数を従来の1,600万台から1,500万台へ引き下げるなど、エレトロニクス製品の販売台数見通しを下方修正しましたが、為替の好影響などを考慮して前回5月予想に対して売上5,000億円増と上方修正しました。
なお、他指標につきましては、構造改革費用約500億円含め前回値を維持しました。
パナソニック
- ・デジタルコンシューマ関連商品などが減収となりましたが、円安効果及び住宅・車載関連事業の販売増などにより、増収増益となりました。
特に最終損益は、前年同期に比べて8.4倍の黒字と大きく改善し、黒字転換は2012年度第3四半期(10~12月期)以来2四半期ぶり、第1四半期(4~6月期)としては過去最高益となりました。
- ・エコソリューションズ部門では電力買取り価格改定前の駆け込み需要でソーラー事業が増収、オートモーティブ&インダストリアルシステムズ部門では海外自動車生産の好調や円安の影響で、2部門で増収増益となりました。
- ・アプライアンス部門では、中国を中心としてエアコン事業が減収となったものの冷蔵庫やキッチン関連事業の販売増により部門では増収となりましたが、円安のマイナス影響により減益となりました。
- ・AVCネットワークス部門では、デジタルカメラやテレビに加え、営業赤字を拡大した携帯電話などの販売低迷などにより、減収減益となりました。
- ・通期決算予想につきましては、前回5月予想を維持しています。
三菱電機
- ・全ての部門で増収となりましたが、営業利益は重電システム、産業メカトロニクス、情報通信システムの3部門で減益となり、全体では増収減益となりました。
- ・重電システム部門では国内外の交通事業及び国内電力事業の大口案件の売上が減少したものの昇降機事業は増加、産業メカトロニクス部門ではスマートフォンや液晶関連向けのFAシステムや北米自動車関連事業の回復、家庭電器部門では太陽光発電システムや空調機器の増加などにより3部門とも増収しましたが、営業利益は売上案件の変動及び販売費や開発費の増加などにより減益となりました。
- ・情報通信システム部門では、通信インフラ機器や電子事業の増加、情報システムサービス事業の前年同期並みで部門では増収となりましたが、営業利益は売上案件の変動などにより赤字となりました。
- ・電子デバイス部門では、産業や民生用パワー半導体及び通信用光デバイスなどの半導体事業に加え、産業用及び車載用の液晶事業の需要増などにより、増収増益となりました。
- ・通期決算予想につきましては、前回4月予想を維持しています。
シャープ
- ・スマートフォンや国内向け太陽電池などの販売強化に加え、固定費や総経費の削減と投資抑制などにより、全部門で増収増益となりました。
- 支払利息が対前年同期と比べて22億円増加していますが、構造改革関連の費用処理は2012年度で概ね完了したことにより特別損益は同313億円改善しています。
なお自己資本比率は、前期末と変わらず6.0%で推移しています。
また資金面では、6月期日到来のシンジケートローン3,600億円は主力銀行の継続合意による契約更新、9月償還期限の社債の償還資金としての追加枠1,500億円の契約を締結したようです。
- ・プロダクトビジネス部門では、国内及び新興国での液晶カラーテレビの復活とスマートフォンの伸長、エアコンや空調清浄機の販売好調、国内住宅用及びメガソーラー用太陽電池の販売伸長、国内外でのカラー複合機の好調などにより、増収増益となりました。
- ・デバイスビジネス部門では、スマートフォンやタブレット向けの中小に加え大型液晶の好調、カメラモジュールやLEDなどの電子デバイスの販売増などにより、増収増益となりました。
- ・通期決算予想につきましては、携帯電話で上方修正と太陽電池の下方修正はありますが、全体では前回5月予想を維持しています。
そして、構造改革と経営改善対策、財務体質改善を図り、2014年度3月当期純利益で黒字化を目指すとしています。
しかし、今期末には新会計基準の適用により、1,200億円の年金積み立て不足額を貸借対照表に計上することが見込まれ、自己資本比率がさらに低下することが想定されます。
2013年度第1四半期決算(2013年4月1日~6月30日)
電機各社の決算発表
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