書籍 世界で通用するリーダーシップ/三谷宏幸(著)

書籍 世界で通用するリーダーシップ/三谷宏幸(著)

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世界で通用するリーダーシップ

三谷 宏幸(著)
出版社:東洋経済新報社(2012/1/27)

Amazon.co.jp:世界で通用するリーダーシップ

  • 世界で通用するリーダーシップ

    川崎製鉄からスタンフォード留学、BCGを経て、GE、ノバルティス ファーマ(株)で実践する「人を動かす経営」

    通常の日本人としてのキャリアではない道を選択したことで、私は何を得、何を失ったのか・・・。
    さまざまな角度からの私の話が、新しい時代を生きる若い人たちのヒントになればと思っている。

ジャック・ウェルチやジェフ・イメルトと出会って私は衝撃を受けた。
「こんな経営者がいるのか」と度肝を抜かれた。
そして、彼らから普通では学べないほど多くのことを学んだ。

本書は、

  • 大学卒業後、川崎製鉄に就職し、30歳でスタンフォードへ留学、そしてコンサルティング会社BCGに転職。
  • 39歳でGEに入社後は、ジャック・ウェルチのもとで航空機エンジン部門やメディカル部門の経営を実践し、
  • 54歳で国内社員4,000人のノバルティス ファーマ(株)の社長に就任した著者が、

学生時代から現在に至るまでのキャリア経験を通じて、グローバルな経営、リーダーシップやマネジメントのあり方、これからの日本の役割について説いた一冊です。

大学受験を失敗し、就職にも挫折されたものの、「経営をやってみたい」という志を実現され、今やグローバル企業のトップとして活躍されるまでに至ったプロセス、その中での経験からくる多くの示唆は、

  • グローバルビジネスで活躍することを目指している若い人たちの羅針盤となり、
  • 企業内リーダーの方々にとっては、リーダーシップのあり方を学ぶことができ、
  • そして日本復活を担う全ての方々に、「やる気」と「勇気」を与えてくれます。

「おわりに」からの引用

Control your destiny(ジャック・ウェルチ)

そのまま何も考えずに過ごしていれば、波風の少ない人生を送ることができるかもしれない。
しかし、まさに運命は自分で変えられるのだ。
その意志さえ本人にあるのであれば。

日本とグローバルの思考パターンの違い

  • 日本:あうんの呼吸
    一足飛びに結論(アクション)を導く

    思考:標準化/公式化(正解がひとつ)、減点主義、全社レベルの引き上げ
  • グローバル:ロジック思考
    ビルディングブロックを積み重ねて結論を導く
    = 事実を積み上げて仮説 → 次の論理を組み立てる → 結論に結びつける

    リーダーには、誰にでも理解できるようなロジックで説明することが要求される。

    思考:個性化(正解が複数)、得点主義、個性や特殊性を許容

人生やキャリア=「足し算」ではなく「掛け算」

  • 苦しくても決断し、挑戦してきた人たちだけが、トップになる権利を手に入れることができる。
  • 外に出て、様々な挑戦をしてきたからこそ、自分の器を大きくし感性を磨き、経営者になるにふさわしい経験を積み上げることができる。
  • 仕事は環境を変えて挑戦することで、経験の幅が加速度的に広がる。

自己経営力の向上

継続的にチャレンジし、学んでいくマインドが大切

 感性:センス、リーダーシップ、人間力
 
 経験:成功体験、失敗体験
 +
 継続的なラーニング:気づき、学び

  • 感性こそが、「理論から実践」に大きな影響を及ぼす。
    → 個別の状況に応じて「感性」を鋭くして、対応していく。
  • 感性とは、「気づき」のためのアンテナ。
    アンテナが高ければ高いほど、同じ失敗を繰り返すことなく、早く学習できる。
  • 感性の高い人は、学習する能力が高い。

事業の持続性

競争優位性ある製品や組織を作り出すメカニズムを企業内に創り込む

  • 通常の強さの要因
  • それを維持するための企業文化、オペレーションプロセス、リーダーの存在

事業が厳しい状態になった時

  • リーダーこそが動く。
    悪いサイクルからいいサイクルに変えるためには、大きな「きっかけ」が必要。
  • 「価格」「お客様とのリレーションシップ」「品質」という三大理由の根底にある原因を分析する。
  • 本当の原因を探り当てた後は、ひとつひとつ丁寧に取り除く。

顧客との接点は、「点」ではなく「面」で考える。

=担当者同士の「点」での取引ではなく、会社を代表して「面」という取引が重要

  • トップは、「面」を広げるために、自らを部下に利用させる。
  • トップは、現場で起きていることを理解し、具体的な指示を出す。
    それが、本当の意味で「組織を動かす」ということ

内資と外資のキャリアの違い

日本:チームプレーヤーの養成

  • 企業内での単線の「昇進」、階層が多く年功序列

グローバル企業:格差が大きい個人プレーヤーの要請

  • 個々人のリスクテイクによる「キャリアアップ」、階層が少ないタスク重視
  • フェアに人を判断 → リーダー候補生に早く機会が来る
  • 出る杭を打つのではなく、出方がおかしい杭だけを打つ

キャリア開発のポイント

=連続的に進化ながら、あるところでジャンプして大きくキャリアアップする

  • 与えられた職務の中で段階的に成長する(進化)
    加えて職務を変えることによって飛躍的な進化(革新)が果たせる。
  • 自分の弱点を分析し、それに応じてストレッチを自らに課していく。
  • 絶え間ない努力の繰り返しが、自分を大きく成長させていく。

将来のリーダーは5分以内に判断されている

  • 人を評価する軸:パフォーマンス(業績)と個人としてのバリュー(価値)
    → リーダーとしてのバリューに基づく行動規範が守られているかを厳しく見る
  • エレベータースピーチ(Elevator speech)
    問題点がどこにあるかを常に把握している
  • いつも気を抜かずに、物事に厳しく集中して取り組む
    問いかけに対する返答、ちょっとした行動、わずかに見せる態度など

リーダーに求める資質と能力

  • GEのGrowth Traits(成長する人の資質)
    External Focus(外部思考)、Imagination(想像力)、Expertise(専門性)、Clear Thinker(明瞭な思考)、Inclusivenss(包容力)
  • 能力
    企業価値に基づく行動規範、リーダーシップスタンダード、専門知識スキル、ビジネス知識スキル

リーダーと管理職の違い

       リーダー           管理職

       率先垂範          コントロール
       アクセル           ブレーキ
     Doing the Right Things    Doing Things Right
      変化への柔軟性      従来手法への高い専門性
       ビジョン           ロジック
       柔軟性            一貫性
      次世代への視点         持論の実現
       創造力            問題解決力

 

本書の各所で語られている「トップの仕事や役割」の中で、個人的に特に印象に残った言葉を以下にあげておきます。

  • 社員一人ひとりに自信と前向きな気持ちを持って行動させる。
  • チームワーク:個々人は優秀さはなくても、全員に同じ方向に向かわせる。
  • 現場に行く、対話を深める。そして市場の変化を読み取り、いい結果を出す。
  • どういうふうに頑張ればいいのかを、相手にわからせて実行する勇気を与える。
  • エネルギッシュ、ポジティブ、ネットワークが広い。
  • 人を育てることによって、会社が良くなるという信念を持つ。

若い人への仕事やキャリアのアドバイス(引用)

その悩みを自分で真正面から受け止めて、真剣に悩むことだ。
そして、どちらを選んでも公開しないことだ。

答えがわからない中で、どれだけ自分らしく生きていけるか、結局はそれに尽きる。

参考

ノバルティス ファーマ株式会社

 
世界で通用するリーダーシップ

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