書籍 訣別 大前研一の新・国家戦略論

書籍 訣別 大前研一の新・国家戦略論

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訣別 大前研一の新・国家戦略論

大前 研一(著)

出版社:朝日新聞出版

訣別 大前研一の新・国家戦略論

陳腐化し、硬直した「ニッポン・モデル」と訣別し、ゼロベースの大変革を断行せよ!

ベストセラー『平成維新』以来の本格的な国家戦略!
「2025年ビジョン」を提唱!

日本がこれから取り組むべきゼロベース改革は、以下の3つと訣別すること。

 ・260年間にわたって安定した社会秩序をもたらした江戸時代の幕藩体制
 ・アジアの先頭を切った明治以降の近代化
 ・焼け野原から奇跡的な復興と高度成長を遂げた戦後体制

本書は、ビジネス・ブレークスルー大学院大学の学長であり、グローバルな視点と大胆な発想で活発な提言を行っている大前研一氏が、現在の官僚や政治家そして国民の罪を指摘し、その状況を国民自身で変えることの必要性を訴えた一冊です。

過去に成功した「ニッポン・モデル」はすっかり陳腐化し、硬直化した。
いまこそゼロベースの大改革を断行し、新しい日本をつくるときだ。

かなり過激な表現ではありますが、いつもながらの鋭い考察と大胆な提言に満ちており、実現するには多くの課題があるとは思いましたが、先延ばしにしていては手遅れ(日本衰退)になりそうなことばかりです。

ゼロベース改革とは過去にあったものを手直ししたり、それまでの延長線上で悪いところを部分修正したりすることではない。

「新しい時代に合うようにまったく新しく設計する」ということだ。
つまり過去の「否定」ではなく、過去との「訣別」である。

現在の混沌原因

1.過去の延長線でしか見ない官僚

  • ・組織が肥大化、専門化しすぎて、全体像が描けなくなった。
  • ・賞味期限の法律が幅をきかせているため、抜本的な改革に踏み込めない。

2.政局しか頭にない政治家

3.一億総評論家の時代=国民の「集団知」の衰退
  考えない人間の増加、下流社会、元凶は偏差値教育

答えのない時代に必要なのは考える力であり、決断力や判断力行動力である。

わからない時には広く人に聞いて英知を集め、そこから自分が判断して行動する。

2025年の日本

人口は1億2,000万人を下回り、団塊世代が75歳に到達

経済力は、世界7位となる可能性
EU、アメリカ、中国、インド、ブラジル、インドネシア、日本

プライマリーバランス均衡には、税収を2倍、支出を20%削減すればよい。

江戸時代や明治時代につくられた自治体の単位としての都道府県や戸籍制度が、日本の生産性を大きく低下させている。
過去の体制と訣別し、時代にあった新しい制度を導入する必要がある。

戦後の成長モデルは既に通用しないので、世界中からホームレスマネーを呼び込むような国家戦略が必要である。
道州制の様な地域もアイデア次第で世界のホームレスマネーを呼び込む単位になる。

ゼロベース改革

国民データベース
戸籍関係情報、納税、健康保険、年金、自動車運転免許、婚姻、出入国などの情報の管理

教育:高校義務教育化、18歳成人、三種の神器(英語、ファイナンス、IT)

自治機構:国、道州、基礎自治(コミュニティー)
[主任務]国:通貨・外交・防衛、道州:産業基盤、基礎自治:生活基盤

税体系:タックスヘブン化、所得税12%、法人税25%、相続税の廃止、直接税の廃止、資産税と付加価値税の二本立て

国際貢献:工業化、世界化した際のノウハウを他国に教授
移民の受け入れによる国と国の結びつき強化

最初にゼロベース改革の必要性を問い、改革案を提唱したのは1989年(平成元年)出版の『平成維新』(講談社)であり、基本的な考え方は変わっていない。
と著者は言っています。

本著で提言されている内容は、どれをとっても納得感があり、本質をついていると思いますが、実現には多くの痛みを伴いそうです。
それが踏み出せない要因のひとつかもしれません。

日本には、戦後から急激に復興し、高品質の製品、快適に暮らせる社会インフラなど、世界に誇れるものを生み出してきたと思います。
下向き、内向きで、いつのまにか衰退するよりも、一人ひとりが勇気を持って変革してしく必要があると改めて考えてしまいました。

そうすれば、著者が言っているように『世界に尊敬される偉大な国家(グレート・ソサエティー)』になっていくはずです。

訣別 大前研一の新・国家戦略論

大前 研一(著)、出版社:朝日新聞出版

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