現地時間2020年4月29日に「2020年1Q(1~3月期)の世界タブレット出荷台数とシェア」が、IDCより発表されましたので概要を整理します。
更新
2020年08月05日 関連情報:世界タブレット出荷台数の2020年2Qは18.6%増、新型コロナの影響から回復
2020年07月13日 関連情報:「2020年第2四半期のPC出荷数」IDC、前年度比11.2%増
2020年07月10日 関連情報:「2020年第2四半期のPC出荷数」Gartner、前年度比2.3%増
2020年05月21日 関連情報:「2019年度 国内パソコン出荷概要」MM総研、前年度比29.3%増
2020年05月03日 関連情報:「2020年1Q世界スマートフォンの出荷台数」IDC、前年同期比11.7%減
2020年05月03日
IDC発表によると、従来型タブレットと2in1デバイスの両方を対象にした2020年1Q(1~3月期)の世界の出荷台数は、前年同期(2019年1Q)の3,010万台に対して550万台(18.2%)減の2,460万台となっています。
新型コロナウィルス感染症(COVID-19)により、中国をはじめとする各地域のロックダウンが大きく影響したようです。
前年同期に対する世界の出荷台数は、トップ5ベンダー中ではSamsungとLenovoが微増しましたが、他の3ベンダーが減少したことが影響して、全体では減少となりました。
特に、Appleが前年同期に対して300万台(30.4%)と大きく減少したのに加え、Amazonの50万台(24.5%)減、Huaweiの20万台(8.3%)減が大きく影響しています。
IDCでは、従来型のタブレット「スレート型」とキーボード着脱式2in1「デタッチャブル型」の2つに分けて分析しています。
「スレート型」は2014年をピークとして減少に転じ、この傾向は今後も続くと予測しており、一方の「デタッチャブル型」は、市場の盛り上がりを牽引すると期待されています。
今期は、「スレート型」は前年同期に対して出荷が36.4%減少したのに対し、「デタッチャブル型」は同56.8%増加したようです。
この様な状況の中で、Appleは1位を維持しましたが、4月30日 (現地時間)に発表した2020年度第2四半期 (2020年1月~3月)決算によると、全体では増収減益だったものの、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の影響で、ハードウェア事業の売上高が前年同期に対して減収し、iPadの売上高は43億6800万ドル(前年同期比10%減)となっています。
Appleは、3月にLiDARスキャナーを搭載した新「iPad Pro」投入しましたが、2019年の反動と新型コロナウィルス感染症による工場閉鎖などが影響して、前年同期の990万台(シェア32.9%)に対して、300万台減の690万台(シェア28.0%)になりました。
一方、2019年4Qでは4位のAmazonは、売上の4分の3を占める米国での減少が影響して今期は5位に転落し、代わって増加したLenovoが4位に上がりました。
なお以下のLenovo数値は、今年2018年5月に富士通のPC事業を受け入れたことにより、Lenovoと富士通を合算しています。
2020年1Q(1~3月期)のベンダー別出荷台数とシェア
2020年1Q(1~3月期)の世界のタブレット出荷台数及びシェアの概要は、以下の通りです。
タブレット全体の出荷台数は、前年同期に対し550万台(18.2%)減の2,460万台となりました。
上位5社のベンダーの顔ぶれは変わっていませんが、前年同期に対して増加したのはSamsungとLenovoの2ベンダーのみとなりました。
Appleがシェア28.0%、出荷台数は前年同期に対して30.4%減の690万台で依然トップを維持し、Amazonが140万台(同24.5%減、シェア5.8%)と減少したため5位に転落し、Lenovoが160万台(同1.9%増、シェア6.4%)で4位に繰り上がりました。
世界タブレット、ベンダー別出荷台数の推移
2020年1Q(1~3月期)の出荷台数は、以下の通りとなっています。
ベンダー | 今期 | 前年同期 | 増減数 | 増減率 | |
---|---|---|---|---|---|
1位 | Apple | 690万台 | 990万台 | △300万台 | △30.4% |
2位 | Samsung | 500万台 | 480万台 | 20万台 | 3.9% |
3位 | Huawei | 300万台 | 320万台 | △20万台 | △8.3% |
4位 | Lenovo | 160万台 | 160万台 | 微増 | 1.9% |
5位 | Amazon | 140万台 | 190万台 | △50万台 | △24.5% |
全体 | 2,460万台 | 3,010万台 | △550万台 | △18.2% |
2020年1Q(1~3月期)の世界出荷台数の全体は、前年同期550万台(18.2%)減の2,460万台(2019年1Qは3,010万台)となっています。
上位5位までのベンダーでは、SamsungとLenovoが前年同期に対して増加し、他の3ベンダーは減少しています。
ベンダー別の状況は、以下の通りです。
Appleの出荷台数は690万台(前年同期990万台:300万台減、30.4%減)
- ・3月にLiDARスキャナを搭載した「iPad Pro」を投入しましたが、新型コロナウィルス感染症の影響を受けて、前年同期に対して大幅に減少しました。
- ・「iPad mini」を除く全ての「iPadシリーズ」に、オプションとして着脱式キーボードを用意し、「デタッチャブル型」として利用することができるようになり、製品ポートフォリオの移行を進めています。
Samsungは500万台(同480万台:20万台増、3.9%増)
- ・「デタッチャブル型」「スレート型」の両方で販売増となり、これまで減少傾向が続いていましたが今期は増加に転じました。
- ・「Galaxy Tab S6 5G」の販売を開始し、タブレットで5Gを導入した最初のベンダーになりましたが、多くの地域でのリリースはこれからになりそうです。
Huaweiは300万台(同320万台:20万台減、8.3%減)
- ・「デタッチャブル型」の割合が増えてきていますが、出荷の大部分は「スレート型」となっているようです。
- ・最近の米中貿易摩擦の影響もあり、出荷の大部分がアジア/太平洋地域、特に中国となっており、他の地域では苦戦しています。
Lenovoは160万台(同160万台:微増、1.9%増)
- ・Samsungの他で、前年同期に対して増加した唯一のベンダーです。
- ・売上の大半は低価格セグメントで、日本、米国、西ヨーロッパでの販売好調が牽引していますが、他の地域は減少しているようです。
Amazonは140万台(同190万台:50万台減、24.5%減)
- ・2019年4Qは4位でしたが、今期は大幅に減少して5位に転落しました。
- ・西ヨーロッパでは増加しましたが、売上高の4分の3を占める米国での減少が影響したようです。
世界のタブレット、ベンダー別シェア推移
2020年1Q(1~3月期)のシェアは、以下の通りとなっています。
ベンダー | 今期 | 前年同期 | 増減 | |
---|---|---|---|---|
1位 | Apple | 28.0% | 32.9% | △4.9 |
2位 | Samsung | 20.2% | 15.9% | 4.3 |
3位 | Huawei | 12.0% | 10.7% | 1.3 |
4位 | Lenovo | 6.4% | 5.2% | 1.2 |
5位 | Amazon | 5.8% | 6.3% | △0.5 |
1位はAppleで、28.0%(前年同期に対し4.9ポイント減、前年同期32.9%)
2位のSamsungで、20.2%(同4.3ポイント増、同15.9%)
3位はHuaweiで、12.0%(同1.3ポイント増、同10.7%)
4位はLenovoで、6.4%(同1.2ポイント増、同5.2%)
5位はAmazonで、5.8%(同0.5ポイント減、同6.3%)
参考
Worldwide Tablet Shipments Continue to Decline in Q1 2020, According to IDC
29 Apr 2020
米Appleの2020年度第2四半期 (2020年1~3月)決算
Apple Reports Second Quarter Results
April 30, 2020
米Appleが4月30日 (現地時間)に発表した2020年度第2四半期 (2020年1~3月)決算は増収減益となっています。
- ・売上高は、前年同期比1%増の583億1,300万ドル(前年同期580憶1,500万ドル)
- ・純利益は、同3%減の112億4,900万ドル(同115憶6,100万ドル)
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の影響で、iPhone、iPad、Macなどのハードウェア事業の売上高が前年同期を下回ったものの、「ウェアラブル/Home/アクセサリ」が前年同期比23%増となり、iCloudやFaceTimeなどのサービス事業が同17%増で過去最高を更新し、全体では増収となっています。
なお、サプライチェーンは3月末に通常の水準に戻っており、3月後半から鈍化していたセールスも4月後半に回復し始めているとコメントしています。
カテゴリ別売上高:全体では前年同期比1%増の583億1,300万ドル(前年同期580憶1,500万ドル)
- ・iPhone:同7%減の289億6,200万ドル(同310憶5,100万ドル)
- ・Mac:同3%減の53億5,100万ドル(同55憶1,300万ドル)
- ・iPad:同10%減の43億6,800万ドル(同48憶7,200万ドル)
- ・ウェアラブル/Home/アクセサリ:同23%増の62億8,400万ドル(同51憶2,900万ドル)
- ・サービス:同17%増の133億4,800万ドル(114憶5,000万ドル)
地域別売上高
- ・米国:同0.4%減の254億7,300万ドル(同255憶9,600万ドル)
- ・欧州:同9.4%増の142億9,400万ドル(同130憶5,400万ドル)
- ・中国:同7.4%減の94億5,500万ドル(同102憶1,800万ドル)
- ・日本:同5.8%減の52億600万ドル(同55憶3,200万ドル)
- ・他アジア:同7.4%増の38億8.500万ドル(36憶1,500万ドル)
関連情報(当サイト)
世界のタブレット出荷台数の2019年4Qは0.6%減
2020年1月31日
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