更新 2024年11月07日
現地時間2024年11月1日に「2024年第3四半期(7~9月期)の世界タブレット出荷台数とシェア」を、IDCが発表しましたので概要を整理します。
2024年第3四半期の世界のタブレット出荷台数は、前年同期比20.4%増の3,960万台となりました。
今年に入って3四半期連続で前年比増を継続しました。
前年2023年は市場低迷が顕著だったため比較は難しいものの、第3四半期は主要ベンダーによる新製品の投入とホリデーシーズンに備えた活動が活発化してきていることが貢献しています。
IDC発表によると、従来型タブレットと2in1デバイスの両方を対象にした2024年第3四半期(7~9月期)の世界の出荷台数は、前年同期(2023年第3四半期)の3,290万台に対して670万台(20.4%)増の3,960万台となっています。
タブレットは、新型コロナウィルスの影響で、教育(遠隔学習)やエンターテイメントなどの分野で変革をもたらし、多くのユースケースを見出した結果、2020年から2021年にかけて大幅に成長しました。
さらに2022年は、2021年の状態が横ばいで続きましたが、2021年第2四半期に前年同期に対し増加して以来、市場飽和などの影響で出荷量は鈍化していました。
特に2023年第1四半期は、世界中で出社率が向上したうえ、慎重な支出傾向が続いたことなどにより、需要が低下しました。
2023年第2四半期もタブレットの需要は引き続き低迷し、消費者信頼感と購買力が依然として低いことからベンダー各社は2桁減少し、第3四半期もタブレット市場で最大規模の縮小を記録して、第4四半期も大きな改善が見られませんでした。
これに対して2024年第1四半期は、マクロ経済の問題は依然として残っているものの、タブレット市場の回復の兆しが見えてきました。
また2024年第2四半期は、主要ベンダーによる新製品の展開と更新サイクルの開始によって、出荷量はパンデミック時代を乗り越えたとしています。
そして今回の第3四半期は、AppleのiPad AirとiPad Pro、SamsungのGalaxy Tab S10シリーズ、AmazonのFire HD 8などの新製品を投入したことに加え、ホリデーシーズンに備えた活動が活発化したことなどにより、前年同期に対して増加しました。
IDCでは、従来型のタブレット「スレート型」とキーボード着脱式2in1「デタッチャブル型」の2つに分けて分析しています。
「スレート型」は2014年をピークとして減少に転じ、この傾向は今後も続くと予測しており、一方の「デタッチャブル型」は、市場の盛り上がりを牽引すると期待されています。
「デタッチャブル型」は、生産性や柔軟性など、使いやすさ重視への需要が高まっており、ノートPCとすみ分けしているだけでなく、一部ではノートPCの代わりのデバイスとして購入したことも貢献しています。
しかし、タブレットは、PCとスマートフォンの間の位置づけとなっています。
最近のタブレットメーカーは、タブレットをPCやスマートフォンとを組み合わせるのではなく、ペアリングしたときに効果的に機能することを認識し始めているようです。
今後、AIがタブレット市場に統合され、消費者の関心を刺激して平均販売価格を押し上げていくと予想しています。
この様な状況の中で、2024年第3四半期における上位5ベンダーの状況は以下の通りで、全てのベンダーが前年同期比に対して増加しています。
- ・Amazonが今回3位に再登場し、第2四半期5位だったXiaomiが圏外となりました。
- ・第2四半期は3位がLenovoで4位がHuaweiでしたが、今回順位が入れ替わって4位がHuaweiで5位がLenovoとなりました。
1位はAppleで、シェアは前年同期から6.0ポイント減の31.7%(前年同期:37.7%)で、出荷台数は前年同期比1.4%(20万台)増の1,260万台で依然トップを維持しています。
Appleは、11インチと13インチのiPad AirとiPad Proを展開しましたが、iPad Airは売上を押し上げたのに対して、iPad Proは高価格のため新興市場では受け入れられなかったようです。
一方、Samsungは2位で、シェアは0.3ポイント減の17.9%(同 18.2%)、出荷台数は同18.3%(110万台)増の710万台となっています。
Samsungは、AI機能を搭載したGalaxy Tab S10 UltraやGalaxy Tab S10+などの高級タブレットを発売したのに加え、低価格のGalaxy A9がほとんどの地域で売上を牽引したようです。
3位は再登場したAmazonで、シェアは5.0ポイント増の11.6%(同 6.6%)、出荷台数は同111.3%(240万台)増の460万台となっています。
Amazonは、AIツール搭載のFire HD 8を刷新したことに加え、プライムデーセールでの売上が貢献しています
4位はHuaweiで、シェアは1.3ポイント増の8.2%(同 6.9%)、出荷台数は同44.1%(100万台)増の330万台となりました。
Huaweiは、消費者と商業市場の両方で新製品を発売し、特にMatePad SE 11は競争力ある価格であったため成長に大きく貢献したようです。
5位はLenovoで、シェアは0.4ポイント減の7.6%(同 8.0%)、出荷台数は同14.7%(40万台)増の300万台となりました。
Lenovoは、中国と西ヨーロッパ市場をはじめほとんどの地域で成長したのに加え、商業市場でのパフォーマンスも改善したようです。
2024年3Q(7~9月期)のベンダー別出荷台数とシェア
2024年3Q(7~9月期)の世界のタブレット出荷台数及びシェアの概要は、以下の通りです。
タブレット全体の出荷台数は、前年同期に対し670万台(20.4%)増の3,960万台となりました。
2024年第3四半期の前年同期に対する世界の出荷台数は、トップ5ベンダーの顔ぶれはAmazonが今回3位に食い込み第2四半期5位のXiaomiが圏外となった他、4位がHuaweiで5位がLenovoと順位が入れ替わりました。
また、トップ5ベンダー全てが、前年同期に対して増加しています。
出荷台数は、Appleが前年同期に対して1.4%増の1,260万台で依然トップを維持し、2位がSamsungで同18.3%増の710万台、3位はAmazonで同111.3%増の460万台で再登場し、4位がHuaweiで同44.1%増の330万台、5位がLenovoで同14.7%増の300万台となっています。
世界タブレット、ベンダー別出荷台数の推移
2024年3Q(7~9月期)の出荷台数は、以下の通りです。
ベンダー | 今期 | 前年同期 | 増減数 | 増減率 | |
---|---|---|---|---|---|
1位 | Apple | 1,260万台 | 1,240万台 | 20万台 | 1.4% |
2位 | Samsung | 710万台 | 600万台 | 110万台 | 18.3% |
3位 | Amazon | 460万台 | 220万台 | 240万台 | 111.3% |
4位 | Huawei | 330万台 | 230万台 | 100万台 | 44.1% |
5位 | Lenovo | 300万台 | 260万台 | 40万台 | 14.7% |
全体 | 3,960万台 | 3,290万台 | 670万台 | 20.4% |
2024年3Q(7~9月期)の世界出荷台数の全体は、前年同期に対して670万台(20.4%)増の3,960万台(2023年3Qは3,290万台)です。
1位はAppleで、1,260万台(前年同期に対し1.4%増、前年同期 1,240万台)
2位はSamsungで、710万台(同 18.3%増、同 600万台)
3位はAmazonで、460万台(同 111.3%増、同 220万台)
4位はHuaweiで、330万台(同 44.1%増、同 230万台)
5位はLenovoで、300万台(同 14.7%増、同 260万台)
世界のタブレット、ベンダー別シェア推移
2024年3Q(7~9月期)のシェアは、以下の通りです。
ベンダー | 今期 | 前年同期 | 増減 | |
---|---|---|---|---|
1位 | Apple | 31.7% | 37.7% | △6.0 |
2位 | Samsung | 17.9% | 18.2% | △0.3 |
3位 | Amazon | 11.6% | 6.6% | 5.0 |
4位 | Huawei | 8.2% | 6.9% | 1.3 |
5位 | Lenovo | 7.6% | 8.0% | △0.4 |
1位はAppleで、31.7%(前年同期に対して 6.0ポイント減、前年同期 37.7%)
2位のSamsungで、17.9%(同 0.3ポイント減、同 18.2%)
3位はAmazonで、11.6%(同 5.0ポイント増、同 6.6%)
4位はHuaweiで、8.2%(同 1.3ポイント増、同 6.9%)
5位はLenovoで、7.6%(同 0.4ポイント減、同 8.0%)
参考
Worldwide Tablet Shipments Increase by 20.4% in Q3 2024, Reaching 39.6 Million Units
関連情報(当サイト)
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