先日Microsoftが「iPadとの比較広告(第4弾)」を公開しましたが、少し前から国内でも流れているAppleの広告とは訴求ポイントが変わってきています。
理性的ルートか感情的ルートか、両社のタブレット市場におけるポジションや想定ターゲットの違いからくるのかもしれません。
Microsoftは最近、「様々なWindowsタブレットとiPadとを比較したサイト」を立ち上げたり、「iPadの欠点に対するWindowsタブレットの優位性を強調したシリーズ広告」を流し始めたりしています。
Windows側のシリーズ広告では、
- ・これまで、iPadの価格が高いことやOfficeが使えないこと、さらにはストレージが拡張できないことなどを強調し、
- ・今回の第4弾「Windows 8: Baseball」では、Windows8は同時に2つのアプリケーションが表示でき、迅速に業務を遂行できることを強調しています。
一方Appleは、国内でもテレビで流れているように「Designed by Apple in California.」をはじめ、「iPadなどを活用すことで多くの感動が生まれている」ことを強調しているように思います。
もちろん、Microsoftも活用シーンを強調した広告も流していますし、Appleもかつては徹底したWindows対抗の広告を打ってきました。
ブランド構築ルートに違いはあるか?
ブランドを構築するためのルートは、主に「理性的ルート」と「感情的ルート」があると言われています。
- ・理性的ルート
基本性能や独自性などの「物理的特徴に関する認識」 → 品質や信用などの「理性的判断」
- ・感情的ルート
誠実性や親近感などの「抽象的特徴に関する認識」 → 満足感や社会的承認などの「情緒的反応」
どちらのルートも、最終的にはブランドロイヤルティを高めることを目的としていますし、どちらか一方のルートがあればいいのではなく、両方のルートがあって双方が補完し合うことが必要です。
タブレット市場において、MicrosoftとApple両社の広告は、誰を想定ターゲットとして、どちらのルートを優先しているのかです。
- ・企業などで業務用として活用したい人には、理性的ルート
- ・コミュニケーションやマルチメディアのデバイスとして活用したい一般消費者には、感情的ルート
が優先するでしょう。
市場ポジションの違いは影響するか?
市場におけるポジションでも、その訴求ポイントは変わってくると考えます。
- ・マーケットフォロアーやニッチャーであれば、マーケットリーダーと比較して自製品の優位点を強調することが必要でしょうし、
- ・マーケットリーダーであれば、市場内でより強固なポジションを確保し、さらにシェアを伸ばそうとするでしょう。
その視点からすると、今回のMicrosoftの比較広告も、タブレット市場におけるポジションが影響しているのかもしれません。
しかし、これまでのPC市場にける取り組みの延長としてタブレットを一律に考え、しかも一般消費者に対しても同様の訴求手法を使おうとしているのであれば、Windows(Microsoft)の巻き返しは苦労するでしょう。
最近の広告:Apple
Appleサイト
Designed by Apple in California.(Apple.com)
Making a difference.One app at a time.(Apple.com)
Microsoftの比較サイト他
iPad vs. Windows(windows.microsoft.com)
Our recommended PCs(windows.microsoft.com)
参考(当サイト)
Apple「WWDC2013」に見たアップル精神、「Designed by Apple in California.」
2013年6月14日 当サイト
iPadとWindows8(RT)タブレットの比較、マイクロソフトが公開している比較ページのまとめと国内販売機種に置き換えた比較
2013年6月10日 当サイト
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