現地時間2017年5月4日に「2017年1Q(1~3月期)の世界タブレット出荷台数」が、IDCより発表されましたので概要を整理します。
更新
2017年8月18日 関連情報:世界タブレット2017年2Q出荷台数とシェア、前年減少も後半に期待
2017年6月19日 関連情報:国内モバイルデバイス市場 2017年1Q実績(IDC Japan)
2017年6月08日 関連情報:2017年度 国内タブレットの市場動向調査(ICT総研)
2017年6月01日 関連情報:2017年第1Q 国内タブレット端末市場実績値(IDC Japan)
2017年5月25日 関連情報:2016年度通期国内タブレット端末出荷概況(MM総研)
2017年5月23日
IDC発表によると、従来型タブレットと2-in-1デバイスの両方を対象にした2017年1Qの世界の出荷台数は、2016年1Qの3,960万台に対して340万台(8.5%)減の3,620万台となっています。
前年同期に対する世界の出荷台数は、2014年4Q以来10四半期連続で減少したことになります。
米Appleが2010年に初代iPadを発売し、その後2013年までは急激な伸びで成長してきましたが、2013年をピークに以降減少傾向が続いています。
その主な要因は、消費者のスマートフォンへの依存の高まりだとしています。
なおIDCでは、従来型のタブレット「スレート型」とキーボード着脱式2-in-1「デタッチャブル型」の2つに分けて分析していますが、この2つのタブレットはまったく異なる方向に進んでいるようです。
「スレート型」は2014年をピークとして現在は減少中で、この傾向は今後も続くと予測しており、一方の「デタッチャブル型」は成長しており、その多くはノートパソコンと共通点を持つ製品へと進化しつつあるとしています。
タブレットの市場が大きく変化するのと同時期、PC市場も非常に悪化しており、「PC市場全体に対する長期的な脅威は、市場が最終的には"デタッチャブルとコンバーチブルの論争がどのように落ち着くか"に影響する」としています。
IDCの見通しでは、「デタッチャブル型」の出荷量は、キーボードを360度回転させるなどしてタブレットとしても使えるノートPCの「コンバーチブル型」を上回っていますが、「デタッチャブル型」の伸びは減速しているようです。
2017年1Q(1~3月期)のベンダー別出荷台数とシェア
2017年1Q(1~3月期)の世界のタブレット出荷台数及びシェアの概要は、以下の通りです。
タブレット全体の出荷台数は、前年同期に対し340万台(8.5%)減の3,620万台となりました。
シェアは、Appleは24.6%と依然トップを維持しましたが、前年同期に対し1.3ポイント減少しています。
世界タブレット、ベンダー別出荷台数の推移
2017年1Qの出荷台数は、以下の通りとなっています。
ベンダー | 今期 | 前年同期 | 増減数 | 増減率 | |
---|---|---|---|---|---|
1位 | Apple | 890万台 | 1,030万台 | △140万台 | △13.0% |
2位 | Samsung | 600万台 | 600万台 | 微減 | △1.1% |
3位 | Huawei | 270万台 | 200万台 | 70万台 | 31.7% |
4位 | Amazon | 220万台 | 220万台 | 微減 | △1.8% |
5位 | Lenovo | 210万台 | 220万台 | △100万台 | △3.8% |
全体 | 3,620万台 | 3,960万台 | △340万台 | △8.5% |
2017年1Qの世界出荷台数の全体は、前年同期340万台(8.5%)減の3,620万台(2016年1Qは3,960万台)となっています。
上位5位までのベンダーでは、Huaweiのみが前年同期に対し増加しただけで、他の4つのベンダーは減少しています。
ベンダー別では、
Appleの出荷台数は890万台(前年度同期1,030万台:140万台減、13.0%減)
- ・9.7インチ新型「iPad」を投入したものの、前年同期比では13四半期連続の減少になりました。
- ・Appleが5月2日(現地時間)に発表した第2四半期(1~3月)決算では、iPadの販売台数は13%減の892万2000台で12期連続の減少となり、売上高は12%減の38億8900万ドルとしています。
Samsungは600万台(同600万台:微減、1.1%減)
- ・「デタッチャブル型」にタブレットのポートフォリオを移行しつつあり、今年に入って3つの製品を発表しています。
- ・2014年にPC事業を撤退してますが、Windows10搭載の「デタッチャブル型」モデルに事業機会を見出そうとしているようです。
Huaweiは270万台(同200万台:70万台増、31.7%増)
- ・Android搭載モデルから、Windows10搭載の「デタッチャブル型」モデルに移行しているようです。
- ・他社が新型モデルをあまり投入していない中で、積極的に新型モデルを発表して買い替え需要を獲得したようです。
Amazonは220万台(同220万台:微減、1.8%減)
Lenovoは210万台(同220万台:10万台減、3.8%減)
世界のタブレット、ベンダー別シェア推移
2017年1Qのシェアは、以下の通りとなっています。
ベンダー | 今期 | 前年同期 | 増減 | |
---|---|---|---|---|
1位 | Apple | 24.6% | 25.9% | △1.3 |
2位 | Samsung | 16.5% | 15.2% | 1.3 |
3位 | Huawei | 7.4% | 5.1% | 2.3 |
4位 | Amazon | 6.0% | 5.6% | 0.4 |
5位 | Lenovo | 5.7% | 5.5% | 0.2 |
Appleは依然トップを維持しておますが、前年同期に対し1.3ポイント減の24.6%(前年同期25.9%)
2位のSamsungは、同1.3ポイント増の16.5%(同15.2%)
3位にHuaweiが入り、同2.3ポイント増の7.4%(同5.1%)
4位はAmazonで、同0.4ポイント増の6.0%(同5.6%)
5位はLenovoで、同0.2ポイント増の5.7%(同5.5%)
参考
他サイトの関連情報
国内モバイルデバイス市場 2017年第1四半期の実績および予測を発表
2017年6月19日 IDC Japan
スマートフォン、タブレット、モバイルPC、データ端末を合計した、2017年第1四半期 国内モバイルデバイス市場の出荷台数は、前年同期比17.3%増の1,410万台
- ・タブレット端末は、キャリア端末が牽引し、前年同期比で9.7%のプラス成長
- ・ビジネス市場では、苦戦したことから前年同期比で15.2%のマイナス成長
- ・タブレット市場について、キラーアプリケーションの不在やPCとの差別化の難しさという課題が解消されていないと指摘し、今後も出荷が進まない状況が続くと予測
2017年度 国内タブレット端末に関する市場動向調査
2017年6月7日 ICT総研
- ・2016年度のタブレット端末市場は866万台で2年連続減少、2017年度は897万台へ。
- ・2016年度のAndroidタブレットは402万台でシェア46.4%、iPadとWindowsは減少。
- ・個人ユーザーの所有率トップはiPadで16.1%。Androidタブレットは13.9%で次点。
- ・顧客満足度1位はiPadで78.8%、マイクロソフトSurfaceは73.5Pで昨年から低下傾向。
2017年第1四半期 国内タブレット端末市場実績値を発表
2017年6月1日 IDC Japan
2017年第1四半期のタブレット端末の出荷台数は、前年同期比3.0%増の222万台
- ・家庭市場向けタブレットは、前年同期比9.7%増の173万台
- ・ビジネス市場向けタブレットは、同15.2%減の49万台
- ・家庭市場の出荷が好調に推移
通信事業者向けを中心とした通信回線付きモデルが成長を下支え
2017年第1四半期 国内タブレット市場 ベンダー別シェア(出荷台数)
- ・Apple:37.3%
- ・Huawei:23.6%
- ・LG:9.4%
- ・NEC Lenovoグループ:6.9%
- ・富士通:5.0%
2016年度通期国内タブレット端末出荷概況
2017年5月25日 株式会社MM総研
2016年度通期の総出荷台数は前年同期比6.9%減の841万台
- ・SIMロックフリータブレット含む「セルラータブレット」が507.6万台
初の500万台を突破し、比率6割超も初
- ・無線LANのみの「Wi-Fiタブレット」が333.4万台
スマートフォンの画面大型化やSIMロックフリー拡大による影響で、個人向け需要が減少
メーカー別シェアは、Appleが統計開始から7年連続で1位(39.9%)
- ・しかし台数では前年度比7%減で、2年連続で前年割れ
- ・出荷台数の減少要因は、キャリア各社がAndroidタブレットの販促に力を入れた反動で、Wi-Fiタブレット市場が苦戦し、Wi-Fi版iPadも同様に減少した結果
OS別シェアは、Androidが48.7%と4年連続1位、iOSは39.9%、Windowsは11.4%
2017年度以降の出荷台数の予測は、
- ・2017年度:前年度比4.6%増の880万台
- ・2018年度が910万台、2019年度が950万台、2020年度には980万台
- ・今後のWi-Fiタブレット市場拡大のポイントは、学校・教育向けを含めた法人需要であり、その中でWindowsタブレットの本格的な普及も期待
関連情報(当サイト)
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