国内電機の2012年度(2013年3月期)通期決算、スマートフォン含む携帯電話事業の厳しい実態

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4月末から5月初めにかけて、国内電機各社から2012年度通期(2013年3月期)の決算が発表されました。

そこで、主要各社の「スマートフォンを含む携帯電話事業」について、各社の通期決算資料をもとに2012年度の結果と今後の方針について整理します。

Mobile_phone_shipments_japan

更新
 2013年9月27日 パナソニック:BtoC市場向けスマートフォン開発を中止
 2013年8月01日 NEC:スマートフォンの新規開発を中止
 2013年5月29日

2012年度(2013年3月期)の電機各社の通期決算は、激しいグローバル競争の中で厳しい結果となっており、構造改革と成長戦略の早期実現に向けて2013年度をスタートしています。

近年、薄型テレビ事業が苦戦を強いられてきている中で、業績回復の柱として期待されていた「スマートフォンを含む携帯電話事業」においても厳しい状況となっています。

各社の2012年度決算概況は以下の通りですが、
スマートフォン事業への出遅れ、海外展開への遅れなどにより、
ソニーを除く各社は前年比マイナスとなり、課題事業として構造改革や収益改善に取り組む方針を打ち出しています。

まさに「イノベーションのジレンマ」に陥っています。

  • ・かつては「ガラパゴス携帯」とまで言われたものの、国内の携帯電話市場を制覇してきた各社です。
  • ・しかし、スマートフォンという新たなイノベーションに対し、携帯電話事業での成功体験及びカニバリズムにより、事業転換が遅れた結果かもしれません。
  • ・そもそも、かつての携帯電話事業においては、海外展開は成功しているとは言えなかったので、アップルやサムスンなどのグローバル展開企業に対抗できなかったかもしれません。

参考に先日(2013年3月13日)、Gartnerから発表された「スマートフォンを含む携帯電話全体のベンダー別販売台数」と比べると、国内電機各社と大きな差がついています。

撤退するのか、最終製品ではなく部品に特化するのか、グローバル企業として量産に追随していくのか、新たなビジネスモデルを構築するのか

各社にとって、今年は「スマートフォンを含めた携帯電話事業の方向性を決断する」年になりそうです。

 

NEC

携帯電話端末事業の見直しについて~ 社会ソリューション事業に経営資源をシフト ~
2013年7月31日 NEC、NECカシオモバイルコミュニケーションズ

  • ・スマートフォンの新規開発を中止(現在販売中の機種をもって生産および販売を終了)
  • ・スマートフォンに関する保守は継続
  • ・NECカシオモバイルコミュニケーションズ
    2012年度:290万台の端末出荷
    内スマートフォン約55%、iモード携帯45%

    【参考】
    NTTドコモ:2012年度2,355万台の端末販売
    内、スマートフォン1,329万台、他iモード携帯及びWiFiルータなど約1,000万台

 

担当する事業部門(パーソナルソリューション)の業績
  • ・売上高:5,891億円(対前年比10.9%減)
  • ・営業利益:△37億円(対前年差47億円減)
  • ・携帯電話の出荷台数の減少、個人向けPC事業の非連結化による。
携帯電話事業(モバイルターミナル)の業績
  • ・売上高:2,624億円(対前年比12.8%減)、営業利益:△120億円
  • 携帯電話の出荷台数:290万台(対前年比31.0%減)
  • ・NECモバイリングの携帯電話販売事業は好調だったものの、携帯電話の出荷台数が大幅に減少
  • ・在庫棚卸の評価引当計上、ソフトウェア資産の減損損失で150億円を特別損失計上による。
2013年度の見通し:300万台(前年比3.4%増)
  • ・パーソナルソリューション部門
    売上高:4,850億円(対前年比17.7%減)
    営業利益:△100億円(対前年差63億円減)
  • ・内、モバイルターミナル
    売上高:1,640億円(対前年比37.5%減)
    携帯電話の出荷台数:300万台(前年比3.4%増)
    NECモバイリングの株式を丸紅子会社のMXホールディングスに売却することによる非連結化による。
  • ・携帯電話の開発/生産については、一定のボリュームを確保できる海外サプライヤーとの連携を決断する。

 

富士通

担当する事業部門(ユビキタスソリューション)の業績
  • ・売上高:1兆902億円(対前年比5.5%減)
  • ・営業利益:96億円(対前年差103億円減)
携帯電話及びPC事業の業績
  • ・売上高:8,228億円(対前年比7.5%減)
    携帯電話事業は黒字、PC事業は赤字
  • 携帯電話の出荷台数:650万台(対前年比18.8%減)
  • ・スマ―トフォンへのシフトの中で厳しい状況に置かれており、第2四半期をピークに出荷台数減少による。
2013年度の見通し:520万台(前年比20.0%増)
  • ・ユビキタスソリューション
    売上高:1兆200億円(対前年比6.4%減)
    営業利益:70億円(対前年差26億円減)
  • 携帯電話の出荷台数:520万台(前年比20.0%増)
    売れるモデルへの絞り込み、顧客フロントでのモバイル端末を使用したサービス展開などを加速することが当面の対応となる。
  • ・携帯電話およびPCは、最低でも500万台の出荷規模を確保することが黒字化のポイントとなる。
  • ・NTTドコモ向けの「らくらくホン」は継続するものの、それ以外ではスマートフォンの構成比が大部分を占める。
  • 提案する「ワークスタイル変革」のためには、全体提案の中での携帯電話やPCが重要
    「儲かっている、儲かっていない」という判断で事業を売却するようなことは考えていないが、ボリュームビジネスとして一定の規模を追求しながら単独ビジネスとして黒字化を目指す。

 

パナソニック

携帯電話端末事業の経営資源を新規・成長分野に戦略的再配置(発表PDF
2013年9月26日 パナソニック、パナソニックモバイルコミュニケーションズ

  • ・BtoC市場向けスマートフォン開発を中止、BtoB向け新規分野などへシフト
  • ・当初、2014年3月期にスマートフォン販売計画130万台
    今年度第一四半期(4~6月期)販売台数は10万台、年間販売見通しを22万台に下方修正

 

担当する事業部門(システムコミュニケーションズ)
  • ・売上高:7,409億円(対前年比12%減)
  • ・営業利益:124億円(対前年差49億円減)
  • ・携帯電話の売上減が主な要因
携帯電話事業の業績
  • 出荷台数:282万台(対前年比30.4%減)
2013年度の見通し:260万台(前年比7.8%減)
  • ・セグメント変更により、携帯電話事業は「AVCネットワークス部門」に変更
    売上高:1兆6,900億円(対前年比4%増)
    営業利益:300億円(対前年差217億円増)
    テレビや携帯電話の課題事業の損益改善が鍵になるとして、携帯電話事業の収益改善を優先事項として取り組む姿勢である。
  • ・内、パナソニックモバイルコミュニケーションズの見通し
    売上高:935億円(対前年比1%増)
    営業利益:△11億円(対前年差70億円増)
    携帯電話の出荷台数:260万台(前年比7.8%減)

 

ソニー

担当する事業部門(モバイル・プロダクツ&コミュニケーション)
  • ・売上高:1兆2,576億円(対前年比102%増)
  • ・営業利益:△972億円(対前年差1,044億円減)
  • ・前年度にソニーモバイルの支配権取得に伴う評価差益1,023億円が含まれていたことと、米ドルに対する円安が営業損益に悪影響したことによる。
スマートフォン事業の業績
  • 出荷台数:3,300万台(対前年比46.7%増)
  • ・「Xperia Z」は好調であったのの、他の機種が想定を下回り、スマートフォン事業は赤字となる。
2013年度の見通し:4,200万台(前年比27.3%増)
  • ・想定出荷台数:4,200万台(前年比27.3%増)
  • 販売台数の増加と高付加価値モデルの導入により増収増益を目指し、黒字化を見込む。

 

シャープ

担当する事業部門(AV・通信機器)の業績
  • ・売上高:7,326億円(対前年比31%減)
  • ・営業利益:△98億円(対前年差36億円減)
  • ・携帯電話における一部基幹部品の供給不足や海外メーカーとの競争激化、液晶カラーテレビの販売落ち込みが影響したことによる。
  • ・一方、「液晶部門」では中小液晶の伸長、「その他電子デバイス部門」ではカメラモジュールやLEDなどの販売増と、スマートフォンやタブレット端末向けが堅調に推移した。
携帯電話事業の業績
  • ・売上高:2,296億円(対前年比24.9%減)
  • 出荷台数:611万台(前年比20.6%減)
  • ・2012年度「Feel UX」を提唱し、国内販売の強化を進め、操作性の改善に取り組んだ。
2013年度の見通し:680万台(前年比11.3%増)
  • ・売上高:2,400億円(対前年比4.5%増)
  • 出荷台数:680万台(前年比11.3%増)
  • ・国内シェア維持を優先し、2015年度までの年間出荷規模を700万台維持を想定
    販売台数拡大よりも、今後は収益性確保を優先した事業展開を進め、操作性の改善やIGZO搭載で差別化を図る。

 

参考

販売台数シェア(2013年3月13日、Gartner、携帯電話含む)

Samsung:22.0%(前年比:4.3p増)、Nokia:19.1%(同4.7p減)、Apple:7.5%(同2.5p増)、ZTE:3.9%(同0.7p増)、LG:3.3%(同1.6p減)

World_mobilephone_share_gartner

2012年度の携帯電話全体の出荷台数とシェア(㈱MM総研)

Japan_mobile_phone_share

 

電機各社の決算発表

日本電気 株式会社

富士通 株式会社

パナソニック 株式会社

ソニー 株式会社

シャープ 株式会社

 

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スマートフォンの日本国内メーカー別出荷台数とシェア、2012年と2013年以降の予測、各社発表のまとめ
2013年5月10日、当サイト

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2013年4月2日、当サイト

 

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