今年5月末の国内発売以来、驚異的なスピードで拡大しているiPadは、端末からソフト・サービスまでをApple社が強力な垂直統合で展開しています。
垂直統合モデルといえば、かつての日本の携帯電話のビジネスモデルを思い出しますが、それとは少し違います。
- 日本の携帯電話は、端末機はタダで、信頼できるソフトを認定して配付する。そして、ソフトや回線使用料で利益を得るという、回線キャリアの垂直統合です。
- 一方Apple社は、端末機と認定したソフトの販売、それらを利用するためのサービスで利益を得るという垂直統合モデルです。
この垂直統合モデルでタブレット市場を創出したApple社ですが、瞬く間に多くの後続企業が現れ、その多くの企業は、GoogleのAndroidというOSを採用して対抗しています。
以下に、iPadの最新OSであるiOS 4とAndroid端末の最新OSであるandroid2.2の主な機能を比較してみました。
iPad | Android端末 | |
---|---|---|
ハードウェア | Apple | 基本的に自由 |
アプリケーション | 制約有り | 基本的に自由 |
広告 | iAd | 基本的に自由 |
チャネル | AppSTORE | 基本的に自由 |
ブラウザ | Safari | 基本的に自由 |
OS 開発言語 SDK Flashサポート Wi-Fiホットスポット |
iOS 4(2010年秋) 基本的にはObjective-C iOS-SDK 不可 (HTML5とApp Storeの2つ) 不可 |
android2.2(ライセンスフリー) C,C++,Javaなど Android SDK 可 (Flash Player10.1のβ版) 可(同時最高8台) |
※今回のiOS 4へのバーションアップの売りは、マルチタスクや、複数のアカウントをまとめて管理できる電子メール、フォルダー機能等ですが、Androidより優れているとは必ずしも言えません。
2010年度のパソコン出荷台数は3億4,400万台の見込みですが、2012年のiPadの販売は800万台と予測されています。
タブレットPCが、一部の既存パソコンから置き換わるのか、新たな端末として追加となるのかは、もう少し動向を見ていく必要があります。
しかし、従来のパソコンでもない「新しい用途」の市場を創出しつつあるタブレットPC市場において、日本のメーカーが新たな端末を作り、それを利用した様々なサービスが提供されることを願っています。
日本企業には、携帯電話の市場における過去の教訓がありますし、小さな機器に多くの機能を詰め込むことを得意とする能力が残っているはずです。
ハードとソフト、その上のコンテンツ、それらを総合的に組み合わせたサービスを構築し、グローバルの視点で展開していくことが必要です。
- SDK(Software Development Kit) → Android SDK
- 米Googleが、プログラミングの知識がなくてもAndroidアプリが開発できるツールをβ公開 → App Inventor for Android
【参照】iPadの2012年の販売予測、パソコンの2010年度の出荷台数
【参照】主要なタブレットPC
- NEC:LifeTouch
- ASUS:Eee Pad
- DELL:Streak
- 東芝:Folio 100
- Samsung:Galaxy Tab
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